4人に1人が流産を経験―友人に打ち明けられたら、どう言葉をかければいい?

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4人に1人が流産を経験―友人に打ち明けられたら、どう言葉をかければいい?

赤ちゃんが産まれてくることを心待ちにしていたのに、流産してしまった――。

働きながら妊娠したことがある女性の23.2%(約4人に1人)が流産を経験しているという調査結果を、今年の2月に全国労働組合総連合(全労連)が発表しました。流産は決して珍しい話ではありませんし、実際に経験した人にとっては本当につらいことです。

妊娠初期に流産の可能性を考えて、安定期に入ってから職場や友人に妊娠の報告する人も多いですが、それでも妊娠・出産には何が起こるかわからないもの。友人や家族、同僚から流産や死産を打ち明けられたとき、どのような言葉をかければいいのでしょうか。流産や死産によってお子さんを亡くした家族へのグリーフケア(※)を行っている、聖路加国際大学大学院ウィメンズヘルス助産学教授の堀内成子(ほりうち・しげこ)さんと、客員研究員の石井慶子(いしい・けいこ)さんにお話を伺いました。

※悲嘆ケアともいう。身近な人を亡くし、複雑な精神状態にある人をサポートすること。

打ち明けられるのは、心を開いている証拠

――友人から流産を打ち明けられたら、安易に同情したり励ましたりするのはためらいます。どういう言葉をかければいいんでしょう?

堀内成子さん(以下、堀内):流産したと打ち明けるということは、相手に対してある程度、心を開いている証拠だと思います。普通、流産を経験した人はなかなかそれを口に出せないんです。

石井慶子さん(以下、石井):だからこそ、相手が今どんな状況かゆっくり聞いてあげることが大事です。どう反応していいかわからないとしても、急に他の話をしてはぐらかしたりせず、「大変だったね」「つらいよね」と気持ちを受け止めたり、「その後の体の調子はどう?」と心配したり、相手に寄り添うよう意識するといいでしょう。あとは「話してくれてありがとう」と伝えること。とにかく「話を聞きますよ」という雰囲気を醸し出してください。

堀内:そうですね。友人であれば、その人がどれだけ赤ちゃんが産まれてくるのを楽しみにしていたか、流産に至るまでに何があったか、“背景”を知っていると思います。想像をめぐらせながら、流産や死産がどれほど悲しいことだったか、一緒に考えてあげてほしい。根堀り葉堀り聞き出すのではなく、話を聞いて痛みを共有してあげるのがいいでしょう。

流産経験があっても「わかるよ」はNG

――流産経験のある人は、「自分も同じだったから、わかるよ」と共感するのがいいのでしょうか?

石井:つい「わかるよ」という言葉をかけてしまいたくなりますが、流産や死産の経験は人それぞれ。自分が経験した状況と、相手の状況が同じとは限りません。例えば、「私も流産したけど、新しい命を授かったよ」と言って元気づけようとする人もいるかもしれないけれど、それはあまり効果的ではないんです。流産したばかりの人は、先の見通しなんて立てられません。経験があればこそ、いろいろアドバイスしたくなりますが、その気持ちは抑えて、話をひたすら聞いてあげましょう。

堀内:他の例を出して「わかるよ」と伝えたところで、悲しみの中にいる人には響きにくいでしょうね。大事なのは、やっぱり「あなたの話を聞かせて」と寄り添うことです。あらゆる死別のケースにおいて言えますが、「黙ってそばにいてもらえたのが一番うれしかった」とおっしゃる方が多いので。

メールでの報告なら、返信はシンプルに

――メールで流産したことを打ち明けられた場合はどうでしょう。仲のいい友人にはメールで打ち明けるケースも最近は多いと思います。

石井:メールならばなおさら、下手に同情したり慰めたりしようとせずに、「大変だったね」など、シンプルな返信が一番いいでしょう。顔が見えないので相手の温度感がわかりませんし、踏み込まれたくない境界もつかみにくいですよね。「また次をがんばろう」とか「気分転換してね」といったメッセージには怒りを覚えることもあります。できるのは「いつでもそばにいるよ」というスタンスで見守ることです。

堀内:現に泣いている人に向かって、「泣かないで」と言葉をかけるのはよくないですね。どうしても涙が出てしまう時期はあるもの。それを無理やり止められる方が本人にとってはつらい場合もあるでしょう。悲しくて泣いてしまうのは普通のことなので、メールでも相手の感情を汲み取って受け止めるようにしてください。

左:堀内成子さん/右:客員研究員の石井慶子さん

左:堀内成子さん/右:客員研究員の石井慶子さん

「忘れない」ことがケアにつながる

――あえてその話題を避けようとしないほうがいいのでしょうか?

堀内:「ショックから立ち直るために赤ちゃんのことを忘れなきゃ」というのは完全に逆効果。無理に赤ちゃんのことを忘れようとしなくていいんです。今はそばにいないけれども、「お空にいるんだ」という感覚を持つというか。確かに、ある時期その子はお腹の中に宿っていたと思えるように。

石井:悲しみに暮れる日を乗り越えて、少しずつ日常に戻っていくにつれ、赤ちゃんのことを忘れてしまいそうになる自分を責めるお母さんもいるんですよね。産まれる前に亡くなってしまったから、まわりの人もだんだん忘れてしまうんですよ。自分のおなかの中にいた感覚を覚えているお母さんとしては、わが子の存在が忘れ去られるのが悲しいんです。だから周囲の人も、亡くなってしまった赤ちゃんを忘れないでいることが、お母さんのためになるのではないでしょうか。

■関連リンク
天使の保護者ルカの会

(成瀬瑛理子/プレスラボ)

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