「私を選ばない男は頭がおかしいわ」ヴィヴィアン・ウェストウッドに学ぶ、自己肯定感と女の人生

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「私を選ばない男は頭がおかしいわ」ヴィヴィアン・ウェストウッドに学ぶ、自己肯定感と女の人生

「服というのは、姿勢や立ち居振る舞い、身体の動きに影響を与えるものなの。ファッションのエロスは、どこを守りどこで攻めるかを考えることだと思う。女性は本質的に、どこを見せてどこを隠すかを選択する。服を通して自分を表現することができるわけ」
——ヴィヴィアン・ウェストウッド
(『ヴィヴィアン・ウェストウッド自伝』DU BOOKSより。以下、括弧内の発言は全て同著より引用)

ヴィヴィアン・ウェストウッド自伝が発売に

『VIVIENNE WESTWOOD ヴィヴィアン・ウェストウッド自伝』が3月4日、DU BOOKより刊行された。反逆精神を常に持ちながら、伝統性やエレガンスを兼ね備えたアヴァンギャルドな服飾デザインで知られるヴィヴィアン・ウェストウッド。本人へのロング・インタビューと、関係者の証言により構成された本著は、その波乱万丈なライフ・ストーリーだけでなく、1950年代から現在までのサブカルチャーの変遷を、彼女の目を通して追体験できる貴重な内容となっている。

1965年、子持ち離婚と新しい恋

1941年、イングランド中部ダービーシャーで生まれた彼女は、アートやファッションの世界とは程遠い労働者階級の家庭で美術教師を目指していた。最初の夫、デレク・ウェストウッドとの間に長男ベンジャミンをもうけるが、3年後の1965年に離婚。当時はまだ、子どものいる若い女性の離婚はセンセーショナルな出来事だったという。

後にパンクロック・バンド、セックス・ピストルズのマネージャーとして一躍有名となるマルコム・マクラーレンに出会ったのは1967年。2人はすぐに恋に落ち、共同でブティックをオープン。過激で挑発的なデザインのTシャツなどを販売し、業界内でも知名度を上げていく。

「マルコムに会って、わたしは恋に落ちた。すてきな人だと思った。そして、今もその気持ちは変わらない。マルコムと共に経験したことはわたしの宝物。マルコムのいない世界は、ブラジルが存在しない地球のようなもの….彼はカリスマ性があって、才能豊かだった。本当に彼のことが好きだった。ハチャメチャなところがあったけれど、それでも彼のことをもっと知りたいと思っていた」
——ヴィヴィアン・ウェストウッド

子育てポリシーは「理想をもたせること」

本著の最大の「ヤマ場」もやはり、ヴィヴィアンとマルコムの出会いから破局までの数年間に起きた、破天荒なエピソードの数々だ。溢れんばかりの才能と、圧倒的なカリスマ性を持っていたマルコムは、その反面、嫉妬深くて猜疑心の塊のような人物だった。自分でもコントロールできない不安や恐怖心により、しばしば攻撃的になった彼は、その矛先をバンドメンバーや自分のパートナー、さらには子どもたちにも向けていたという。

今となっては信じられない話だが、ヴィヴィアンがデザイナーとして経済的な安定を得るようになったのは、マルコムと破局して以降であり、当時はトレーラーハウス生活を強いられるほどの貧乏を味わっていた。しかし、そんな日々も親子3人(ヴィヴィアン、ベンジャミン、そしてマルコムとの間に生まれたジョー・コーレ)にとっては、「幸せな記憶」として残っているそうだ。

「子どもをもてたことはすごく幸運だった。子どもたちを授かったことは、わたしに起こった最大の幸福のひとつ。子どもたちを誇りに思っているわ。あの子たちは人様に迷惑をかけたことが一度もないの。思うに、子どもたちにしてやれる一番大切なことは、理想をもたせてあげることじゃないかしら」
——ヴィヴィアン・ウェストウッド

「不安になったことは一度もないし、むしろ僕は楽しかった。うちにお金があるようにはまったく思えなかったけど、そんな暮らしをママはすごく楽しんでいた。(中略)わお、ママってすごくかっこいい。こんな田舎にママみたいな人はひとりもいない、って。とにかく、僕はママが大好きだったんだ」
——ジョー・コーレ

 

エレガント路線で成功、貧乏からの脱出

その後、19世紀以前のヨーロッパの衣装からインスパイアされた「エレガント路線」へと転向。セレブ・ファッションとして不動の地位を築き上げる。2006年には、ファッションデザイナーとしての貢献により、てデイム (DAME)の称号を授与された。

「わたしの心のどこかに、自分のように一流ファッション・ブランドの後ろ盾がない人間だって、才能と勤勉さと語る言葉を持ち合わせていれば、マーケティング戦略だけに頼らずとも生き残れるということを証明したいという気持ちがあったのはたしかね。」
——ヴィヴィアン・ウェストウッド

ヴィヴィアンの尽きせぬ自己肯定感が幸せを呼ぶ

現在は、元教え子で25歳年下のアンドレアス・クロンターラーと結婚し幸せな日々を送っているヴィヴィアン。紆余曲折を経ながら女手一つで2人の子どもを育て上げ、ファッション・デザイナーとしても成功した彼女のパワーには、ただただ圧倒されるばかり。

「わたしは自分の容姿に絶対の自信があるの。この部屋の女性の中でわたしを選ばない男は、よほど頭がおかしいか見る目がないか。身体にも自信があるわ。この身体でずっと楽しませてもらってきた….。(中略)わたしは根っからの異端児なの。なんでも直観的で、人と同じことをしても、どこか満足できない。そういうので満足できた経験は一度もないわね。それに、いばっていうことでもないけど、わたしはそうとうな変わり者よ。調和の時代といわれる現代では奇特な存在ね」
——ヴィヴィアン・ウェストウッド

(黒田隆憲)

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