命の危険も…低年齢結婚の厳しい実情

国連人口基金(UNFPA)のキャンペーン「Too Young To Wed」より

15歳以下で結婚を強要される少女たちは毎年1,420万人。信じられないような人数であるが、世界保健機関が正式に発表した数字である。この低年齢結婚はインド・中東・アフリカを中心に多く見られ、8~15歳の少女が年上の男性と強制的に結婚させられている。そして、多くの少女が結婚を理由に教育の機会を奪われており、早過ぎる出産の強制や、それによる死亡例 も多く報告されている。世界で実際にあった少女たちの低年齢結婚とその問題についてまとめてみた。

マラウイ共和国:祖父ほどの年齢の夫はアルコール中毒者

現在15歳のマイネスは、13歳の時に自分のおじいさんと同じくらいの年齢の男性と結婚した。その理由は貧困から抜け出すため、そして学校に行き続けるためだった。しかし、結婚した夫が実はアルコール中毒者だったことが発覚。学校にも行けず、家にお金も入れてくれない夫との生活で、彼女の夢は一瞬にして崩れ落ちた。

そんな時、彼女に転機が訪れる。結婚する前に受けた試験がその地域一番だった彼女は、これが理由で家族の元へ帰ることができ、学校へも行けるようになったそうだ。そして現在は自分の経験を語り、一人でも多くの子供達に教育を維持するように導いている。マラウイ共和国では家族に女の子が生まれると、その家の父親は自分自身のことを「金持ちになった」と思うのだという。結婚する時に、新郎から新婦の親へ大金が支払われるからで、それほど女の子に“価値がある”のである。

インド:世界の低年齢結婚の4割

インドは世界でも低年齢結婚数が多い国のひとつである。法律で認められた女性の結婚年齢は18歳だが、約2,400万人が18歳未満で結婚しており、世界の低年齢結婚の4割に達するという。さらに 2013年に、国連が発足した「低年齢結婚撲滅国」への加盟を拒否すると発表している。

しかし、それでも少しずつ変化は起こっている。昨年、ある14歳の女の子が「学業に専念したい」との理由で結婚を破棄して話題となった。インドの低年齢結婚の背景にはアフリカ同様、貧困と伝統があり、「するのが当然である」と考えている人は多いが、これから徐々にその流れが変わって来そうだ。

イエメン:8歳の女の子が子宮破裂で死亡

イエメンでも低年齢結婚は日常的に行われている。2013年9月、信じられないようなニュースが報じられた。8歳の女の子・ラワンが40歳の男性と結婚し、結婚初夜に内出血(子宮を含む臓器の破裂)で死亡したというのだ。のちに政府はこの報道を否定する発表を行ったが、同国では2010年にも、12歳の女の子が出産中に死亡しており、イエメンでの低年齢結婚は深刻な問題となっている。

実は2009年には17歳以下の結婚を禁じる法律が制定されたのだが、その後「イスラム教らしくない」という理由で、即廃止となった。やはりイエメンでは未だ「低年齢での結婚は良い伝統である」というような考えが根強く、25%以上が15歳以下で結婚させられているのが現状である。

低年齢結婚が無くならないのは「伝統」や「貧困」が原因

多くの子供たちが未だ強制的に結婚させられている理由は、大きく分けて4つある。1つ目は「伝統」。多くの国々が前の世代から受け継がれている伝統として、低年齢での結婚を当たり前のこととして捉えているため、なかなかこの概念を崩しにくい。2つ目は「ジェンダールール」。ほとんどの国で、女の子は男の子よりも下に見られているため、家族ができるだけ早く“お荷物”を嫁に行かせたいと思っている。3つめは「貧困」。家族は「娘を早く嫁に出せばかかるお金が減る」「祝い金が入って来る」などと考え、娘をお金と捉えがちである。4つ目は「安全」。危険な地域に生きる親たちは早くから娘を年上の男性と結婚させることで“安全に守られる”と考えている。こういった理由が根強くあるため、なかなか低年齢結婚は無くならないのである。

場所は違えど状況はどの国もあまり変わらない。そして、まだ小学生くらいの少女たちが未来を奪われ、命まで落とさなければならないのは、やはりとてもショッキングな事実だ。国連などの機関は1日でも早くそんな子供たちを救おうと活動しているが、低年齢結婚はやはり“伝統”に基づいた行事であるため、急には変わらないのが現状である。

MihoNamba