勉強も仕事も頑張って、しっかりと結果を残しているのに、どうしようもなく“男運”が悪い。努力すればわかりやすい成果がでるものと違い、時に恋愛は残酷な結果をもたらす。恋愛について、多くの人にインタビューをしてきた亀山早苗さんは、「浮気される女性には“できた女”が多い」と分析する。なぜ彼女たちは男に軽んじられてしまうのだろうか?(編集部)

裏切り者の二人の恋愛物語

15歳年下のフリーターと、出会い系で知り合って関係をもつ40代主婦。彼女は夫を裏切り、彼は同棲しているしっかり者の彼女を裏切る。ふたりは、日常的にだらだら過ごしているというところで互いの中に自分を見つけるように、「なんとなく」共に時間を過ごす。

『恋の渦』『愛の渦』などが話題となった三浦大輔監督による『裏切りの街』が、dTVで独占配信され、配信している作品の中で1位の視聴数※を獲得するなど人気を博している(※2016年2月1日~14日現在)。

男をヒロインに奪われた女を分析する

ヒロインに寺島しのぶ、相手役のフリーターに池松壮亮。このふたりの不倫劇も興味深いのだが、池松演じる菅原と同居している里美(中村映里子)との関係がおもしろい。

里美はばりばり働くキャリアウーマン。残業は多いし家に仕事は持ち帰るし、常に疲れている。だが、里美をもっと疲れさせているのは、働かない菅原の存在。それでも彼女は、できた女性なので、「今のあなたでいい」と、毎日、彼のために、黙ってテーブルに2000円を置いて会社に出かけていく。彼がバイトを無断欠勤してクビになっても、働こうとしなくても、彼女が文句を言うことはない。

だが、できすぎた女性が男をいらだたせる。結局、彼は出会い系で人妻と知り合って、なんとなく関係を続けてしまうのだから。

浮気される女の特徴

パートナーに浮気される女性は、「できた女」であることが多いと、取材を通して実感している。相手に不信感を抱いても問い詰めない、自分ががんばれば彼は感謝してくれる、彼が何をやっても母のように受け止める。そうやってがんばる女が裏切られたりするものなのだ。

そしてがんばっている女性のほうが、どこか相手に引け目を感じて、さらに尽くしてしまう。尽くしているとわからないように、けなげなやり方で。結果、男は増長していく。男と女の間には、常にこうした理不尽な力関係がある。

ヒモを養う女性の日常

「自分が彼の役に立っていると思えると、こういう関係からなかなか逃れられないんですよね」

彼との関係に不満があるのに、何も言えずに我慢してしまうというトモミさん(仮名・27歳)はそう言った。同い年の彼とは学生時代からつきあい始め、2年前からは一緒に住んでいる。当初は結婚を前提としての同棲だったが、この2年間で、彼は3回も転職しているのだそう。

「とはいえ、転職と転職の間は、バイトしたりしなかったり。ここ半年くらいはほとんど何もしてない。折半するはずの家賃も、このところずっと私が払っています。最初は『今は人生の夏休みだと思って充電するよ』と言っていた彼も、充電しすぎて壊れちゃってる感じですね。なのに、彼を見放すことができないんです、私」

そんな彼をわかってあげられるのは自分だけ、私でなければ彼を救えない、彼は私だから甘えているんだ。そんなふうに思ってしまうらしい。

無償の愛という名の束縛

「友だちには、あんたがますます彼をダメにしていると言われます。そうかもしれない。だけど、彼に去られてひとりぼっちにはなりたくない。しかも、ここまで尽くしてきて、今さら捨てられるのも悔しい。他の女性にもとられたくない。そんな思いがいろいろ交錯して、何でもするから私を見捨てないでという気持ちになってしまうんです」

どうしてそこまで卑屈になるのか。男として魅力を感じているわけでもないと彼女は言う。客観的に見たら、こういう男は許せないとさえ言いきる。それなのに、彼と別れることはできないとも断言するのだ。

「私のそばにいてくれる唯一の人だからかもしれない。子どもの頃から私、あまり親に愛されている実感を覚えたことがないんです。私を愛してくれた最初の人が彼だという気がしています。だから彼への要求がどんどん下がってきて、今はいてくれるだけでいい。自分の洋服や化粧品も買えない状態だけど、それでも彼に去られたくないんです」

無償の愛というと聞こえはいいが、彼女は自分を投げ出すことで彼を無言で束縛しているとも言える。

ふたりがそれでいいなら、他人が口を挟むことではないのかもしれない。彼のために働き続ける彼女がいつか疲弊して、「自分のために生きる」楽しさもあると思えるようになったらいいのに、と密かに願っている。

亀山早苗

この記事を読んだ人は答えてね!
人が回答しています