アカデミー賞で黒人ボイコット騒動 「人種をまんべんなく選ぶ」ことは逆差別にならないのか?

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る
アカデミー賞で黒人ボイコット騒動 「人種をまんべんなく選ぶ」ことは逆差別にならないのか?
ロサンゼルス在住のライターが、現地の視点から情報をお届けします。今回は、アカデミー賞と人種差別について考えます。(編集部)

黒人の俳優・監督がボイコット騒ぎ

現地時間2月28日(日)に予定されているアカデミー賞。今年ノミネート発表された直後に、主要部門の候補者たちが2年続きで白人ばかりだったことから著名黒人俳優・監督の一部が授賞式をボイコットしようとする騒ぎになった。

アカデミーはその事態を重く見て騒動の数日後に声明を発表し、アカデミー会員の選抜方法を見直すと共に、メンバーの人種をもっとまんべんなく構成する構えであることを発表して、ボイコットをしようとしていた俳優や監督たちの怒りをなだめようとした。

「まんべんなく」は逆差別?

この話を聞いた時、全米の大学などでひと昔前に適用されたAffirmative Actionという法律を思い出した。この法律はザックリ言うと、黒人を筆頭とする少数(或いは弱い立場)である人種に対し白人と平等の機会を与えよう、という考えから作られたものだ。しかしこの法律は施行された数年後に「これは逆差別ではないか」と問題になった。なぜなら、白人の生徒Aさんが入学必要事項を十二分に満たしているのに、黒人生徒の人数が枠に足りていないという理由から、必要偏差値を満たしていない黒人生徒Bさんを代わりに入学させる、という大学が目についてきたからである。一生懸命勉強してきたAさんとしては実力ではなく肌の色で不合格となったら怒るのは当たり前だろう。

「白人が多い」という理由で選ばれなかったとしたら…

アカデミーでも今回の事件を受けて人種の枠を念頭に置くことになったわけだが気になるのは、白人でアカデミーに入る資格が十分にある人が、白人が多過ぎるからという理由で入会を先送りにされるかもという懸念だ。人種に気を配ったシステムということで導入されるのであろうが、どうもスッキリしないルールだ。

俳優デンゼル・ワシントンやジャッキー・チェン、大リーグ伝説の名選手で黒人のジャッキー・ロビンソンや最近ではイチロー選手のように、黒人だろうが東洋人だろうが人種を超えて名声を獲得した人たちは多数いる。アカデミー賞に関して言えば、素晴らしい働きをしてもノミネートされなかった人はこれまでにたくさんいる。今年主演男優賞有力候補に挙がっているレオナルド・デカプリオがいい例で、ノミネーション経験は多かれど、これまでに一度も主演男優賞を受賞したことがない。映画『ジョーズ』や『インディアナ・ジョーンズ』シリーズで世界的に有名な監督スティーブン・スピルバーグも映画『シンドラーのリスト』まで監督賞を受賞したことがなかった。

マイノリティは「優先されるべきもの」ではない

今回アカデミー賞の問題発端となった女優ジェイダ・ピンケット=スミスのように、自分の旦那で黒人男優ウィル・スミスがノミネートされなかったからといって、それを直結で人種問題と結びつけて抗議するのはどうかと思う。現代においても人種問題解決にはまだたくさんの課題が残っているのは否めない事実だ。だが、「何々人だから選ばれなかった!」と声高々に言う人々は、往々にして己を省みず、自分の人種を盾にしてクレームを付けたり周囲を責めたてていることが多い。黙々と頑張って周囲の尊敬を得ているマイノリティだっているのに……と筆者などは思ってしまうのである。

画像:MidoSemsem / Shutterstock.com

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

アカデミー賞で黒人ボイコット騒動 「人種をまんべんなく選ぶ」ことは逆差別にならないのか?

関連する記事

編集部オススメ

仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。その両立って本当に必要?改めて問い直すキャンペーンが始まります。

後悔のない30代を過ごしたい。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルに、40歳から自分史上最高の10年を送るために「30代でやっておくべきこと」を聞いていきます。

記事ランキング