川崎貴子の「自立という幸福」第五回

不倫議員の妻はなぜ夫を許したのか? 緊急時に名を上げる妻の“野心”とは

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不倫議員の妻はなぜ夫を許したのか? 緊急時に名を上げる妻の“野心”とは

議員が取得する事が是が非かの論争も含め、彼のお蔭で男性の育休が広まるのではないかと期待を込めてウォッチしていた宮崎謙介議員。全国の女性達を一斉に敵に回す「妻が出産間近」という絶好のタイミングで、タレントとのお泊り不倫を週刊文春に撮られました。結局逃げ回るも議員辞職表明、そして、針のムシロ会見を涙目で開く羽目に。

夫の育休を広めると公言していた彼は、「不倫したら議員辞職する」という華麗なる判例を置き土産にして政界を去ることになりそうです。「余計な事をしやがって!」と、内心迷惑がっている政治家は一人や二人じゃないでしょう。

「じゃあ、恥かいてきなさい」と夫を送り出す

さて、今回の騒動がハニートラップだったのか? 脇の甘い男の当然の顛末だったのか? そこらへんは興味の対象外で、私が気になったのは妻である金子恵美議員の「事のおさめ方」でした。彼女は、夫からの不倫衝撃告白を受け、「どうしたいの?」と確認。「やり直したい」という夫に対して「じゃあ、恥かいてきなさい」と、世間から逃げ回っていた夫に会見を促したと報道されています。

産後の精も根も尽き果てた体で、我が子の誕生と言う幸せの絶頂から不幸のどん底へ突き落されたタイミングで、この判断はなかなかできるものではありません。現に、SNS上では、多くの著名な男性や男性経営者達が「器がでかい!」「あっぱれ!」と称賛の嵐。彼らが反射的に賞賛してしまうという現象に関しては、「彼らに都合の良い何か」を感じずにはいられない意地悪な私がおりますが、(だって、彼らは妻の不貞は絶対に許さない)その件はこの際横に置かせていただくとして。

不倫を乗り越えたヒラリー・クリントン

報道されていない夫婦の修羅場もあったであろうし、この後離婚するかもしれないし、子供の事を考えて「今だけ」の判断かもしれないけれども、今の所報道されている事だけを見る限り私は、

「彼女は政治家なんだな、それも野心のある」

と、思わずにはいられませんでした。

かつてのヒラリークリントン(当時は大統領夫人、弁護士)が、大統領だった夫ビル・クリントンと女子大生モニカ・ルインスキーとの不倫騒動で、夫を許し、離婚しなかった事は、私の中で「米国キャリア女性」のイメージを大きく覆された事件でした。

ところがその後、彼女が政界進出し、あれよあれよと言う間に大統領候補にまで上り詰めるのを見て、「ああ……」と次第に腑に落ちて行ったものです。
彼女は、「アメリカという離婚大国で、精神的苦痛を乗り越えて離婚せず、夫の不貞を乗り越えた女性」というタフなイメージと、女性達の同情と共感に後押しされてキャリアを積み、今では世界中が認める「米国女性大統領に最も近い政治家」です。

じわじわと名を上げる金子議員

彼女のサクセスストーリーを見る限り、夫の不倫を許したという彼女の判断は、「起きてしまったものは仕方がない」という諦観ではなく、自身がこれから挑むキャリアの為の野心に満ちた決断に思えてなりません。

今回の金子恵美議員も、情けない夫と反比例してじわじわ名を上げています。政治家に必要な「人間的な器の大きさ」や「決断力」「タフさ」などが連日報道され、これまた政治家に必要な「有権者が応援したくなる」ような「同情」や「共感」を見事一身に集めています。この後、結果的に離婚しようと何しようと、彼女の印象は既に出来上がりつつあるのではないでしょうか?

彼女は市議から県議、そして国会議員にまで上り詰めた叩き上げです。妻としては発狂してもおかしくないような目に遭いながらもなお、最後は政治家としての彼女の野心が「今は取りあえず許す」というジャッジを下したのではないでしょうか?

芸能人たちの不倫解決事例

方や、職業が変われば「野心のジャッジ」は真逆のベクトルに走ります。モデルの高垣麗子は、スピードスケートの清水宏保と結婚した際に、当時専属モデルをやっていた雑誌内でその幸せな結婚式の様子を大々的に載せました。

ところが、結婚して間もなく夫が銀座のホステスさんとの浮気をフライデーされます。驚いたのは、その報道が出るやいなや離婚した彼女の決断の早さ。女優の竹内結子も藤原紀香も同様に、夫達が写真を取られてすぐに、「話し合いすらしていないのでは?」という速さで、まさに電光石火の逃げ足で離婚しています。

モデルや女優、特に彼女達のように、女性達に憧れられるタイプの芸能人にとって、「浮気をしている夫」「それに耐える妻」はマイナスイメージでしかありません。現代女性に取ってその夫婦の形態は少しも羨ましくなく、結果的に彼女達がキラキラして見えなくなり、憧れの存在から失墜する羽目になりかねない。よって、「浮気夫という汚点」を一秒でも早く切り捨てる必要があるのでしょう。彼女達のキャリアを作る、彼女達のイメージの為に。

自分の仕事に対して、真に野心のある女達は、離婚と言う究極にプライベートな問題さえ客観視して感情に飲みこまれない。幸せかどうかは別として、それはそれであっぱれな、女の生き様であると言えます。

(川崎貴子)

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