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2014/04/16

学費も住居も食事も無料! 女性の社会進出を支えるサウジアラビアの豪華な国営女子大学

サウジアラビアと聞いてどんなイメージが湧いてくるだろうか。日本は同国から長年に渡り石油を輸入しているため、オイルのイメージが強いだろう。また、サウジアラビアの女性のイメージというと、イスラム教の女性が身に纏う黒い服(ブルカ)の着用義務や、女性が1人で外出してはならないなどの、自由度の少ないイメージが強いかと思う。そんなサウジアラビアに、学費や住居も無料で通える豪華な女子大学があり、人気を集めているという。

女性の大学進学者が増加し、社会進出の動きも

イスラム社会の伝統では、男女の役割がきっちり分担されている。男は外で働き、女性は家で子育てや家事を担当する。女性は守るべき存在とされていて、外に出て働いたり、専門的な知識・技術を学ぶのは稀なことだ。イスラム法を国の根幹としているサウジアラビアでは、このイスラムの伝統的価値観のもとで国が運営されていて、これまで女性が社会で活躍することはなかった。しかし近年、サウジアラビア政府は女性の就学環境や雇用制度を整え始めている。

外国人労働者の多いサウジアラビアでは、1994年から労働力を自国民化(サウダイゼーション)する政策を進めている。女性の教育水準を高めることで、これまで就労機会の限られていた女性の雇用を創出し、国内の経済を自国民で回し、活性化させるねらいがある。その結果女性の大学進学者は増加し、専門的な教育を受けた女性達が様々な分野で活躍するようになってきている。しかし、先に述べたような伝統を重んじる国内の保守派の人々は、このような女性の社会進出の動きに対して懐疑的な視線を送っている。

そんな中、サウジアラビア政府は2011年、首都リヤドに女子専門の国営大学、プリンセスヌーラ女子大学を創設。敷地は800ヘクタールで、学生達が移動するための電車が通っているほどの広さ。経費のほぼ全てが政府の資金で賄われている。ここで雇用されているのはほとんどがサウジアラビア人女性で、大学が女性の雇用創出の役割も担っている。

至れり尽くせりの待遇・プリンセスヌーラ大学

プリンセスヌーラ大学は学費も、学内の住居も無料。しかも部屋は広く、豪華な個室で、各部屋にシャワー、トイレ、キッチンがついていて、まるでホテルのような作りだという。もちろん光熱費も無料。そして1日1枚、食事のチケットが支給され、学内のフードコートで利用できる。まさに至れり尽くせりの待遇だ。

同大学には教育学部やコンピューターサイエンスなど、15の学部が設置されている。外国人向けのアラビア語学科には、日本・アジア・アフリカなどの55か国から約400人の学生が学びに来ている。もちろん外国人の学費も無料だ。

なぜ無料なのかというと、莫大な予算が教育にあてられているからだ。サウジアラビアは近年、将来を見据えて、教育に力を注いでいる。未来への投資とも言えるだろう。財務省によると、2014年は、歳出の25%(560億ドル)が教育費にあてられる予定。お金を払って学校に通うのが当たり前の日本人からしたら羨ましい限りだ。

自由な外出はできず、大学内の規律・セキュリティーは厳格

しかしそこはサウジアラビア。日本の常識と比べて不自由な点も多い。日本だと大学は男女の出会いの場でもあるが、サウジアラビアでは結婚前の男女交際は認められていない。結婚相手はお見合いで決まるケースがほとんど。このため大学に通っている女性達は、恋愛や結婚ではなく、将来の仕事に関心が向いている人が多いようだ。

そして日本のように自由に外に買い物に出かけたり、映画を観に行くことはできない。家族や夫などの同伴者がいてはじめて外出することができる。サウジアラビアでは女性は守られる存在なので、大学内の規律・セキュリティーは厳しい。日本の生活に馴染んでいる人には不自由に感じるかもしれないが、この国で生まれ育った人にとっては当たり前のこと。中には不満を持つ人もいるが、大多数はこの伝統の中で学生生活を楽しんでいるようだ。

中沢諒