『37.5歳のいま思う、生き方、働き方』イベントレポート

「嫌なことに向き合ったら、自分の軸ができた」30代後半になって気づいた“振り返り”の重要性

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「嫌なことに向き合ったら、自分の軸ができた」30代後半になって気づいた“振り返り”の重要性

アラサー世代にとって、30代半ば~後半はごく近い未来だ。その時に自分はどうなっているだろうか。今から何をすればいいのか、迷いのある人も多いだろう。

メディアでロールモデルとして取り上げられるのは、起業家やバリキャリ女性が多い。そんな中で刊行された『37.5歳のいま思う、生き方、働き方』(クロスメディア・マーケティング)は、経歴も職種も個性もバラバラで特段著名というわけではない男女7名が、自分のこれまでの過去と徹底的に向き合うことで、仕事とは何か、人生とは何かを、まだまだ発展途上の37.5歳という視点でリアルに綴った一冊だ。

筆者は神谷圭祐氏、高知利香氏、佐藤良久氏、林賢明氏、堀越かすみ氏、中村一浩氏、安岡美佳氏の7名。7名は1974年~1979年生まれで、本書タイトルの「37.5歳」とは彼らの平均年齢である。

同書の発売を記念して、1月20日にはブックファースト新宿店にてトークイベントを開催。安岡氏を除く筆者6名と、同書の編集者・田中庸一氏が登壇した。

「行動力と人」が書籍刊行に繋がった

学生時代のアルバイト仲間である神谷氏と佐藤氏。お酒を飲んでいたときに、「本を書いてみたいね」と話しあったことが、今回の本を執筆するきっかけになったそうだ。二人は酔った勢いもあり、その場でビジネススクール時代の友人や高校卒業以来会っていなかった同級生、さらには知り合ったばかりの人にまで声をかけていったそう。そうして声をかけられた5名を含めた筆者の7名は執筆のプロではないものの、皆「自分がやりたいと思ったから」という理由で今回の刊行に至ったのだ。

全員が全員友人同士というわけでもなかった7名が奇妙な繋がりで集結し、自分の人生を赤裸々に綴った書籍を刊行した。その思いもよらない縁と軌跡には筆者たち自身が最も驚いているようで、登壇した6名が会場に集まった多くの観客に対してその喜びを表現していたのが印象的だった。人生はふとしたきっかけや人との出会いでどう転ぶかわからない。自分らしい生き方は簡単に見つからないかもしれないが、だからこそ自分を信じて前に進む。本書の内容にも沿う刊行の経緯を聞き、本書はただの自己啓発本ではないと感じた。

「どんな女性になりたいか」を考えた先に見つけたものとは

アパレルメーカー勤務からフリーアナウンサーに転身し、現在は通販番組のアドバイザーや大学のキャリア講師をしている高知氏は、社会人3年目で「自分が女性であることの壁」にぶつかったことを綴っている。新卒でアパレルメーカーに入社した時には「都会でオシャレに働くキャリアウーマン」という自分の未来像を手にし、意気揚々としていたが、激務が重なり生理も止まり、突発性難聴にもなってしまった。社会において、女性には男性同様の根性論が通用しないことを痛感したという。

その時、高知氏が「家庭と両立できるほどゆとりのある働き方で、日々楽しいと感じられる仕事。そして年をとっても女性として魅力的でいられること」というぼんやりとした欲しい将来を得るためにしたことは、「なんかいいな」を見つけてとりあえず行動することだった。明確な目標を定めることは難しい。なれるかどうかもわからない。しかし後悔と妬みのある人生だけは歩みたくない。そう思った高知氏は結婚式の司会をする女性の記事を見て、アパレルメーカーを辞める前に週に1回アナウンススクールに通い始めた。そうしてフリーアナウンサーの道を開いていったのだそうだ。

イベントで高知氏は今回の執筆について、「自分の弱さや心の中にある見たくないモノと向き合うことで、自分の軸ができた。悩みや心の中にあるモヤモヤは、それとちゃんと向き合うことで薄くしていけるのかもしれない」と語った。ぼんやりでも「こんな感じの女性になりたい」という未来像を描き、「なんかいいな」と思ったことを「とりあえず行動する」。“やりたいことをやっている自分”の見つけ方は、高知氏の姿から学べる女性も多いはずだ。

「自分にないもの」ではなく「自分にあるもの」に目を向ける

25歳で未経験ながらフルコミッション営業の世界に飛び込んだものの、会社の掲げる目標数字に届かず、月給30万円から手取り5万円という落差の日々を経験した堀越氏。

そんなどん底でもがいていた堀越氏は、「自分は仕事ができない」と自らを決め付けていたことに気付く。優秀な営業マンと比較し、営業力や人脈など自分にないものばかりに目を向けていたことで「自分にあるもの」を見失っていたという。真面目な性格、やる気、勉強熱心なところ。そんな取柄しかない自分ならば、勉強し知識を身につけお客様にとって有益な情報提供を継続することで信頼を得てゆくしかない、と思えたのだそう。周囲の人間と比較するのではなく、自分の知識と人間力を向上させよう、という考え方に転換し、努力したことが功を奏して、その後は社長賞に連続入賞するまでに成長し、31歳で独立した。

本書の執筆作業を通じて堀越氏は「つらい環境に陥り、もがき苦しんだからこそ、自分の心に眠るパワーを目覚めさせることができた。ダメなりに自分の力で前進しようとする過程で、何を拠り所に生きてきたかを客観的に見れた。今は自然体で自分を受け入れられるようになり、清々しい」と語る。自分の良さ、働く意味、生きる意味は何か。過去を振り返ることでそんな根源的な問いを重ね、自分を肯定できるようになったという。

一番の自己啓発は、自分の過去を振り返ること

本書で筆者たちは、仕事や人生における成功体験だけでなく、就職活動の失敗、リーマンショックで会社が傾いたこと、北欧の地で陥ったネガティブスパイラル、婚約破棄、家族の不幸、震災での経験といった、思い出すのも辛い自身の過去について真正面から語っている。そしてこれまでの過去から紡ぎ出した人生のヒントを、自分自身の言葉で綴っている。

同書は、業界の第一人者や著名な経営者といった視点で書かれたものではないからこそ、よりリアルで力強い言葉として伝わってくるものがある。まだまだ発展途上の人生で、これまでの挫折や失敗を糧に、今をどう生きているか。ひとつひとつの文章は、アラサー世代にとって得るものが多いはずだ。本書の発起人である神谷氏はイベント終盤、「世の中にはたくさんの自己啓発本があるけれども、一番の自己啓発は自分の過去を振り返って本にすること。他人はいろいろな良いことを言うが、自分にフィットするものは自分の過去にある」と総括した。改めて、本書で少し年上の先輩たちから学べることは人生の正解ではなく、人生の正解の導き方なのだと実感した言葉だった。

■開催情報

『37.5歳で思う生き方、働き方』イベント
「森の対話会 〜自分を整える時間〜」 著者が執筆の際に自分との対話のために向かったという山中湖の森の中で、自分と向き合う企画を4月上 旬に開催します。 静かな森に身を置いて、心と身体を整え、自分の本当の声に身を傾けます。 都会の喧騒から離れ、いつもとは違う自分に出逢ってみませんか。
・お問合せ
企画・開催:株式会社Project Design Office 中村一浩/n-kazuhi@nifty.com

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