NHKスペシャル「ママたちが非常事態!? 最新科学で迫る ニッポンの子育て」(1月31日放送)がさまざまな反響を呼んでいます。子育て、特に乳児を育てる母親の大変さを脳科学や生理学、進化学の観点から解析し、画期的だと話題になったこの番組。子育て中のママたちはどう見たのでしょうか? 実際に今、迷い悩みながら赤ちゃんの育児に奮闘している0歳児ママ3人にその感想を聞いてみました。

出産・育児の問題を、科学で解明する

この番組では、出産前後に分泌される女性ホルモンの値などに注目。主に3つの問題について、最新科学を駆使しその答えに迫っていました。

Q:子育てが孤独で耐えられないと感じるのはなぜか?
A:出産直後、ホルモンのエストロゲンが激減するせい。進化の過程を見ると、人類はもともと母親だけでなく数人で“共同養育”をする生き物なので、あえてひとりでは無理と思えるようにホルモンが働くのではないか。

Q:赤ちゃんの夜泣きや2歳のイヤイヤ期がひどいのは、母親の子育てが間違っているから?
A:脳科学的に見て、夜泣きやイヤイヤは人間の子ども特有の“必然的な行動”。子供の脳が未発達なため起こるので、母親のせいではない。

Q:出産後、夫に対してイライラしてしまうのはなぜか?
A:ホルモンのオキシトシンと関係がある。授乳時に分泌するこのホルモンは、子育てする仲間には“愛情”を感じさせるが、育児に非協力的な人間は敵とみなして“攻撃”させる。


※詳しくは番組ホームページを参照ください。NHKスペシャル「ママたちが非常事態!? 最新科学で迫る ニッポンの子育て」特設ページ

0歳6ヶ月の子を育てている新米ママ(20代・専業主婦)のAさんは、「赤ちゃんの世話は想像よりずっと大変で、『こんなの産む前には聞いてなかった』と思うことばかりでしたが、この番組を見て『そうだったんだ!』と腑に落ちました」と番組の感想を語ります。

「人間が“共同養育”をすることも知りませんでした。これまでひとりで育てなければと気負っていたけれど、番組を見て、『他の人に預けていいんだ』と思えました」

現在はさっそく赤ちゃんを一時保育に預ける手続きをしたり、一緒に子育ての苦労を分かち合えるママ友を捜したりしているそう。また、「赤ちゃんはまだ夜、数時間おきに起きるので、精神的にも体力的にもきついけれど、番組では夜泣きのメカニズムも解き明かしていたので、泣かれても『なんで?』と悲しく感じることはなくなった」と語ります。

「目からウロコが落ちた」との声も

3人の子の母であるBさん(30代・幼稚園教諭)は、経験から来る余裕があり、現在0歳8ヶ月の第三子は「ひたすらかわいくて癒しの存在」だそうですが、番組を見て「目からウロコが落ちた」ひとり。

「番組の内容は知らないことばかりでした。職場の幼稚園では4年保育もしているので、2歳児のイヤイヤ期については基礎知識があり、実際にそれで悩んでいるお母さんから相談を受けることも多いのですが、子供の脳が未発達で、それゆえに起こる必然的なことだとは知らなかった。これからは、お母さんたちにそういった説明もできると思います」

また「最近、上の子たちについイラッとしてしまうのですが、それは赤ちゃんの育児に非協力的な人間に対して攻撃的になってしまうからなんだと、納得がいきました」という発見もあったそうです。

女性ホルモンのせいだけ?という疑問も

「番組の内容に納得がいった」「役に立った」という感想が多い中、首を傾げる人も。0才11ヶ月の子を育てるCさん(40代・マスコミ勤務)は、「番組が母性という言葉を使い、一緒に子育てをするべき夫(男性)の分析はしない内容に疑問を感じた」と言います。

「たしかにホルモンの影響はゼロではないけれど、『子育てがつらいのは女性ホルモンのせいだ』と強調すると、『それなら母親だけの問題でしょ』と片付けられてしまう。例えば、専業主夫の立場などで子育てをしているお父さんは、孤独を感じない? 男性には“母性”に相当するような脳の変化は起きないのでしょうか」

さらに「そもそも、子育てをする母親が孤独なのは、子育てを分担してやるべき父親が家にいないから。科学的な問題ではなく、社会の問題では」と疑問を投げかけていました。

夫のサポートは限界がある

番組でも、日本の男性の育児時間は欧米に比べて半分以下だということは指摘されていました。3人のママたちも、夫は長時間労働のため家にいない時間が多く、とても夫に育児を任せられる状況ではないそう。

「夫はウンチのついたおむつも替えてくれますが、翌朝も仕事に行かなきゃいけないから、夜泣きの対応はさせられません」とAさん。「外で働く男性に育児は無理。共同養育が理想かもしれないけれど、現実的に考えて、母親の負担を軽くするには、保育園や幼稚園に預けるしかないのでは」とBさん。Bさんが勤務する幼稚園でも「子供を預け始めて育児から少し解放され、ママ友もできて明るくなるお母さんが多いですよ」とのこと。

Cさんは「職場復帰するため、子供を生後8ヶ月で保育園に。そのときは『まだ1歳にもなっていないのに』と子供に対して負い目を感じましたが、実際に預け始めたら、肩の荷がすっと下りて、気持ちが明るくなりました」と自身の経験を語ってくれました。「日本では赤ちゃんを他人に預けることに抵抗があるママが多く、自分の親世代からも『預けるなんてかわいそうよ』なんて言われてしまいがちだから、この番組が『赤ちゃんの面倒はみんなで見るものなんだ』と言ってくれたことは、意味がありますね」とも。

賛否両論を巻き起こした「ママたちが非常事態!?」。その続編とも言えるNHKスペシャル「私たちのこれから #超少子化 ~安心子育てのための処方せん~(仮)」(2月20日(土)午後9時00分放送)では、子育てを取り巻く社会システムや男性の役割について討論形式で考えていくそうです。「ママたちー」にそういった視点がないと不満を感じた人にとっても注目ですね。

(小田慶子)

■関連リンク
NHKオンデマンド(番組が有料で視聴できる)
NHKスペシャル「ママたちが非常事態!? 最新科学で迫る ニッポンの子育て」特設ページ
NHKスペシャル「私たちのこれから #超少子化 ~安心子育てのための処方せん~(仮)」

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