あなたの身近にも!今LGBTを知ろう

LGBTという言葉をご存知ですか? L=レズビアン(同性に惹かれる女性)、G=ゲイ(同性に惹かれる男性)、B=バイセクシュアル(男性・女性ともに惹かれる人)、T=トランスジェンダー(心の性別と生まれ持った性別が異なる人)など、現在の社会のなかで「これが普通」「こうあるべき」だと思われている「性のあり方」にあてはまらない人たちを総称する言葉です。「私の周りにはいない」――そんな思い込みが、もしかしたらLGBTの人にとって「働きづらい」環境を生んでいるのかもしれません。「LGBTを含めた、みんなが働きやすい職場とは」この疑問に応えるべく、NPO法人虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さんと、「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」共同代表の遠藤まめたさんにお話を伺いました。

「プライベートの話ができない」LGBTの職場での悩み

日本のLGBT人口は全人口の2~5パーセントと言われています。これは、全人口における外国人や、障がい者、そして左利きの人の比率と同程度。「左利きの人が身の回りにいない」という人はいませんが、「LGBTが身の回りにいない」と考える人はまだまだ多いのではないでしょうか。原因は、まだまだカミングアウト(=自身がLGBTであることを周りに打ち明けること)しづらい社会状況があり、LGBTの存在が「見えにくい」こと。特に、日本ではLGBTを保護する法律の整備が不十分であるため、職場でのカミングアウトは、解雇やハラスメントのリスクが伴います。

カミングアウトできないことがLGBTの働きづらさにつながると話すのは、大学などでLGBTの若者に関する講演を行っている遠藤さん。

「(LGBTの)みんなが口々に言うのは、職場での雑談が難しいということ。プライベートの話になった途端に、何を話せばいいのか分からないという人が多いのです。たとえば、『先週こんな映画を観た』という話をしたときに、『誰と観に行ったの?』と聞かれると、答えづらい。どこまで話せばいいのか常に気を遣う。『クビになっちゃう』というような大きな話でなくても、そうやって日頃から細かく神経を使わなければならない点にストレスを感じる人が多いのです」

企業向けのLGBT施策のコンサルティングを行っている虹色ダイバーシティの村木さんは、
日本の職場でカミングアウトが少なく、当事者の存在が「見えない」ことが、企業のLGBT施策を遅らせていると指摘。

「例えば、車いすの人がいたら、車いすでも使えるトイレを作りましょう、という話になるかもしれないけれども、LGBT施策に関しては、『(LGBTって)本当にうちの会社にいるの?』というところから始めないといけない。『見えない当事者』にどれだけ配慮できるかという意味では、女性活用施策などの他のダイバーシティ施策と比べると、“応用編”なのだと思います」

他にも、LGBTに対する差別的な言動も働きづらさの大きな原因です。昨年虹色ダイバーシティがLGBT当事者1,000人以上を対象に実施したアンケートによれば、職場にて「差別的な言動が全くない」と答えたのはたったの6パーセント。「○○くんってオカマっぽい」「テレビに出ているオネエのタレントって、気持ち悪いよね」――職場でのこういった差別的な言動が、「『ここでは言えないな』という無形のストレスになってしまう」と村木さんは言います。

「女性が働きやすい職場」は、実は「LGBTも働きやすい職場」

LGBTの就職相談に乗ることも多い二人は、「女性が働きやすい職場を選ぶとよい」と助言しているそう。女性とLGBT、両者の抱えるニーズは一見異なりそうですが、なぜなのでしょう。

女性の活用推進に積極的な企業は、「そもそも想定されている社員像がより多様でゆるやか」と話すのは遠藤さん。

「女性が働きにくい職場とは、男性と女性で給料も扱いも全然違い、『子供産むから休みたい』などといった融通が利かず、例外を認めない社風の職場ですよね。『健康でバリバリ働ける男性』しか戦力として捉えない会社では、様々な事情を抱えていたり、多様な考え方を持っている人材は生き生きと働くことはできません。

また、いまだに男性社会的な色合いが強い企業も働きづらい。そういった企業は結束力が強い反面、女性や、男性であっても、ちょっと周りと違う人は排他的な扱いを受ける。接待でキャバクラを利用する会社や、結婚しなければ『一人前』と認定されず、昇進できない会社もあります。女性に興味がなかったり、同性婚という形で結婚の権利を保障されていないゲイ男性にとっては大きな苦痛です」

「差別的な言動」や「男女の役割分担の強要」のない職場へ

村木さんは、「『男女の役割分担の押しつけ』が少ない会社は、そうでない会社に比べ、LGBTの人にとっても働きやすいのでは」と話しています。

「(前述の)アンケートの回答を分析した結果、『「女性は結婚すべきだ」と言われると窮屈に感じる』『職場を異動するときの餞別の品が、女性はスカーフで男性はネクタイだった』といった、男女の伝統的な社会的役割分担を反映したような言動を差別的と感じている方が多いことが分かりました。これらは、女性やシングルの人も窮屈に感じる言動のはず。職場でこういった言動がなくなれば、LGBTの人の居心地はだいぶ改善するのかもしれません」

このほかにも、育児や介護に対応した柔軟な勤務制度はLGBTにも使いやすい制度であることなどから、いわゆる「女性活用施策」が充実している職場も「働きやすい職場」の例として挙がりました。1986年の男女雇用均等法施行以来、「女性のための施策」と打ち出されてきたこれらの施策ですが、実はすべての人にとって使いやすい制度であると言えそうです。

村木さんと遠藤さんにお話いただいた、LGBTが直面しがちな「差別的な言動」「男女の役割分担の強要」に対しては、個人としてすぐに行動を改めることができそうです。しかし、企業単位でLGBTが働きやすい職場を作るとなると、なかなか難しそう。遠藤さんと村木さんは、むしろ企業にこそ、その動機があると語ります。後編では、「企業がLGBT施策を積極的に導入しているワケ」そして、LGBTの問題に対し、「世の女性たちができること」について伺っていきます。

>>>【後編はコチラ】LGBTはあなたには『見えていない』だけ 企業もイメージ戦略として支援に動き出す、いま日本の労働環境は変化のとき

ケイヒルエミ