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2016/01/30

嫌いな人のアカウントばかりつい見に行ってしまう、他人の投稿が鼻につく……。今の時代、SNSに振り回されずに生きるほうが至難の業ではないだろうか。SNSを題材にした作品はここ5年ほどで多数登場し、いまだ語られることの多いテーマだ。

 

『わたしはあの子と絶対ちがうの』(とあるアラ子/イースト・プレス)は、音楽や映画や本に詳しくない、フツーのアラサーである著者の自伝的コミックエッセイ。キラキラと充実したFacebookの投稿や、Twitterのサブカル知識合戦など、他人のSNSを意識し、イラ立ち、アピールし合う様子があけすけに描かれている。人はなぜ、SNSで誇張や自慢をしたがるのか? なぜそれを見てイラ立つのか? 著者のとあるアラ子さんに、SNSにおける他人と自分の距離感について語っていただいた。

人の“盛り癖”は治らない

――人のSNSの投稿にイラ立ったり、自慢したくて誇張した“盛り投稿”をしてしまったり、SNSに関するエピソードが作中にたくさん登場していますが、……身に覚えがありすぎて、読んでいてなかなかグサグサきますね……。

とあるアラ子さん(以下、アラ子):そうなんです。そもそも私自身、マンガの中のアラ子を盛って描いちゃいましたし……。描いている最中は気づかなかったんですが。

――どのあたりを盛ってしまったのでしょうか?

アラ子:実際の私は比較的ガッチリした体型なのに、作中のアラ子をかなり小さめに描いちゃっているんですよ(笑)。あと、性格も、マンガの中のアラ子は思ったことをすぐストレートに言っちゃうところがかわいらしさにつながっていますが、私はここまで真っ直ぐじゃないです。自分をさらけ出していて良い、といった感想をいただくことが多いんですけど、相当自分のことを“かわいいキャラクター”として描いてしまいました。SNSで培った盛り癖の影響ですね。盛り癖は治らないですね。

――SNSでは今までにどんな盛った投稿を……?

アラ子:mixiが流行する前のBBS文化のころからやらかしていた気がします。高校卒業後、就職組だった私は、「今日もお給料でこんなに買い物しちゃった!」とか自慢を書き込みまくっていましたね。本当は安い給料で地味に暮らしているだけなのに。

リア充・人脈自慢……意図を感じる投稿はムカつく

――今だとFacebookでありがちな投稿ですね。

アラ子:いや、Facebookなんて全然、生易しいですよ。当時は回線が遅くてそんなに証拠画像を載せる必要がなかったので、文章で盛り放題でしたから。もう「盛り」っていうか「虚言」の域まで達していた気がします。

――ただ、見る側が受けるダメージはFacebookのほうが大きい気がします。「今日は海でBBQした」という文章だけの投稿を読むのと、海で水着でみんなで肉を持っている写真を一枚どーんと載せられるほうが、ウッとなりません?

アラ子:まぎれもない証拠画像ですからね! もうぐうの音も出ないというか……。それに画像って、文章よりも情報量が多いので、その投稿で見せている内容以上の意図を勝手に感じてしまうんですよね。「BBQに行った。楽しかった」だけではない何かを伝えたいのでは……? と。まぁインドア派のやっかみかもしれませんが。

――イケメンとばかり一緒に写真撮っているとか、「お肉おいしかった」という投稿なのになぜか肉と一緒にキメ顔で自撮りしているとか……。

アラ子:その写真を撮っているその瞬間は、現場の楽しさより、後日画像をアップすることを考えているわけじゃないですか。「お肉がおいしい」という事実より、そっちの自意識のほうが気になってしまうことはありますね。ただ30代になると、海! BBQ! 水着! などの、「リア充全部乗せ」みたいな投稿はあまり見なくなりますよ。

「事務員の友達」とは書かない不思議

――どうしてなんでしょう?

アラ子:男も女もボディーラインが崩れるからですかね。だから、たまに同世代の水着BBQ画像を見ると、嫌味じゃなく純粋に「かっけー!」と思うようになりました。仲の良い地元の友達が自分の水着画像をこっそりアプリで加工して脚の長さを伸ばしていることに気づいたときは、さすがに笑いましたけど。そういうことも含めて、別にイライラはしないんですよね。もしかしたら、自分の興味が今はそこにないから、嫉妬心がわかないのかもしれません。5年前の私だったら「死ね!」と叫びながらブラウザを閉じてそうですけど。

――自分のその時々の興味や状況によって、自慢と捉えるかどうかも変わってくるんですね。自慢と言えば人脈自慢系もありますよね。「モデルやっている友達のナントカちゃんとご飯に行ったよ」のような投稿。

アラ子:その“モデル”っていうキーワード必要か!? とつい心の中で突っ込んでしまいますよね。だって例えば、「事務員のお友達と会ったよ」、「フリーターのアラ子ちゃんと遊んだよ」とは別に書かないじゃないですか。なんで私と遊びに行ったときは私の職業を書かねぇんだよ、って(笑)。

【後編はこちら】SNSで無意識に盛ってしまう恐怖 「いいね!」を求めて“偽りの自分”が肥大化

(編集協力:プレスラボ)

朝井 麻由美