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2016/01/13

11日に行われた千葉県浦安市の成人式で、松崎秀樹市長は「出産適齢期は18歳から26歳だと言われている」とし、「人口減少のままで今の日本の社会、地域社会は成り立たない。若い皆さん方に大いに期待したい」と述べた。25歳から30歳の女性にインタビューを行い、この発言に対する思いを聞いた。(編集部)

社会の中での26歳女性

産婦人科の医師によれば、肉体的な意味での「出産適齢期」は確かに存在するようだ。第一子はその年齢で産むのがいいのかもしれない。しかし、これを行政側が、20歳の若者たちに向けて、公の場で言うべきことだろうか。悪気はないのかもしれない。だが、これは完璧に「よけいなお世話」である。

26歳までの女性たちのすべてが、出産できる環境にあるとは限らない。非正規雇用の女性が増え、生活すらもままならないこともあるし、正社員になれたとて大学を出て仕事をするとしたら、26歳はせいぜい仕事歴3年程度。その段階で出産するといって休暇をとったら、今後の仕事上のキャリアがうまく立ち行かないかもしれないと、悩む女性も多いだろう。同世代の結婚だったら、経済的に成り立つのだろうか。

そんなことを考えもせずに、「少子化だから産め」と上からものを言うことが、どういうことなのか、この市長はわかっているのだろうか。

出産するか否かやその時期は、自分が決めること

そもそも、誰がどういうタイミングで結婚するのか、あるいは結婚せずに産むのか、一生産まないのか、そんなことは個人の自由である。人は国のために子をもうけるのではない。「国と地域のために産め」というのは、そらおそろしい話だ。

25歳の女性は「キモイ」と切り捨てた

知り合いにちょうど25歳の女性がいるので、この市長の話をどう思うか聞いてみた。

「キモイ」彼女は一言で切り捨てた。

「私の人生、勝手に決めるなよ、これ以上、抑圧するなよと思います」さらにしばらく考えて、こう言った。

「まだまだ結婚なんて考えられないし、今の給料だったらシングルマザーも無理。子どもうんぬんより、仕事で一人前になるのが先です。子どもはほしいと思っているけど、仕事と経済的なことを考えたら、35歳までにひとり産めたらいいなという感じですね。26歳までに産めというなら、すべての生活費をくれ、と思う」

28歳になる女性は、カリカリしていた

もうじき28歳になる女性にいたっては、カリカリしていた。

「大学を出て入った会社が倒産して転職。今の会社の給料は安い上に人使いが荒い。ほぼブラック企業ですよ。そんなところでも働かなければ生きていけない。結婚とか出産なんて、夢のまた夢みたいな生活してる。大学を出て、2、3年勤めて専業主婦になれた時代とは違うんです!」

確かに……。

30歳の女性は、自分の幸せを見つけていた

恋愛や結婚への感覚も、市長の時代とは違う。30歳になったばかり、旅行会社に勤める友人は、にこやかにこう言う。

「私は一生、ひとりでもいいやと思ってる。恋愛もここ3年くらいしていませんが、気楽でいいですよ。恋愛しているときは、気持ちのアップダウンが激しかったけど、今はずっと穏な気分でいられる。この気楽さを手にしてしまったから、恋愛よりもっとストレスがたまりそうな結婚なんて、しなくていい。会社に40代のステキな独身の先輩がいるんですが、ひとりでも全然さびしくないって言ってるし。仕事して趣味があって友だちがいれば、それでいいんじゃないかと思うんですよね」

“上から目線”のオジサン説法はムダ

こういう女性が増えているのだから、ますます結婚や出産について、上から目線でものを言うことはムダなのだ。それ以上に、行政側の信用を失墜しかねない。多様になっている個人の生き方を、行政がどうサポートしていけるのか。そこを第一に考えてほしい。一律に「産めよ育てよ」の時代ではないし、そんな個人的なことを強要・推奨してはいけないのだということを認識すべきではないだろうか。

(亀山早苗)

亀山早苗

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