work_00216_1

アベノミクスの成長戦略として「女性の活躍」が叫ばれる一方、女性は出産後復職を望んでも出産前と対等な仕事に就けない、キャリアアップが図りにくいという現状があります。こうしたマミートラックから抜け出せなくなってしまった女性の中には、子供を保育園に預けてまで仕事を続けるか悩んだ結果、退職してしまう人も少なくありません。

そんな背景の中、今はまだ独身であったり、子供はいないけれど、いずれは子育てしながらキャリアを築いていきたい女性達が知っておくべき、「子供がいても思い通りに働くためのコツ」を、ママ達のセカンドキャリア支援に特化したビジネススクール、東京ワーキングママ大学代表の大洲早生李さんに伺いました。

1.結婚・出産でも会社は辞めない

――女性が出産後、復帰して、やりたい仕事に就いたり、キャリアアップを目指すことは難しいのでしょうか。

大洲早生李さん(以下、大洲):出産後、復職してキャリアアップされた方もいますよ。もともと管理職志向が強かった女性が、育休中にお子さんを連れて海外留学をし、戻ってきて管理職を期待されて活躍しているという事例などもあります。ただしこれは、意識もスキルも相当高い女性達の場合です。

そこまではキャリア志向は強くない場合などは、一旦同じ会社で復帰して、ある程度スキルがついた時点で転職を検討された方が良いと思います。もっとも避けたいパターンは、結婚や出産と同時に安易に退職してしまうというケース。そうなると、子供も小さいし、再就職するための時間の確保も難しい。企業から「そんなに子供が小さくて本当にちゃんと働けるの?」と言われる場合もあり、二重苦三重苦の本当に厳しい状況になります。

マタ二ティハラスメントにあったり、子持ち女性に対する理解がない企業もあるとは思うのですが、それでも、出産後もしっかり働くことを望むのであれば、子供が小さいうちは、まずは復帰してみることをお勧めします。

案外、妊娠するとあまり深く考えずに辞めてしまう女性が多いですが、そうなると、思い通りの条件でできる仕事はさらに限られてきますし、安易に辞めてしまったことによるその後のリスクは相当大きいです。

2.パートナーは働く女性に理解がある男性を選ぶ

――出産後も仕事を続けたい女性は、そもそもどんな男性をパートナーとして選ぶと良いですか。

大洲:一番大事なのは、仕事を続けるという意志を表明している女性に対して理解がある男性であるかということですよね。バリキャリ志向の奥さんに対し、旦那さんは「子どもが小さいうちは家庭に入って欲しい」という考えの夫婦がいましたが、やはり価値観のずれが大きく、すれ違いの日々。そこの価値観が違い過ぎると、子供を持っても連携できません。

また、生活面で協力し合えるという点では、「ひとり暮らし歴の長い人」がおすすめです。全くやらない方もいるので一概には言えませんが、基本的な家事はひとり暮らしをしていた方は一通りできます。

――なかなか家事に協力的でない男性の場合はどうしたらいいですか。

大洲:「相手を育てる」という視点も必要です。例えば、私は夫に家事を協力してもらうために、徐々に彼の得意分野を任せていくということを試みました。彼は洗濯に強いこだわりがあったので、私はノータッチで任せてしまうことにしたんです。男性は、仕事を中心とした社会で生きているので「権限と責任」を意識しました。家事は家の仕事ということで、「この仕事はあなたの仕事です」と、権限を完全に移譲して、役割をはっきりさせる。それで、ぐっとやりやすくなりました。苦手分野の家事は続かないので、パートナーの得意分野を見極めることも重要かもしれません。

子育てについても同様で、意識的に少しずつ旦那さんに子供を見てもらう時間を増やす努力が必要です。常に子供に触れている女性とは違い、男性はまず、「なぜ子育てが大変か」ということがわからないので「子育てってこんなに大変なんだ」と身を持って体験してもらうことで、育児や家事を手伝ってもらう、ひとつのきっかけになると思いますよ。

3.今から身につけておくべきチカラは、「感謝力」と「巻き込み力」

――家庭も仕事も両立するために身につけておくと良い習慣を教えて下さい。

大洲:「感謝の気持ちを表明する力」と、「巻き込み力」は身につけておくと良いと思います。特に「巻き込み力」は重要です。子供が生まれたら、抱えきれないタスクを上手く人に振ったり、旦那さんやファミリーサポート、ママ友など、スムーズに働くための協力体制を構築することが必要になります。私自身もそうですが、比較的自分ひとりで頑張ってきてしまった方が女性に多いのです。母親になってから、周囲をいきなり巻き込こもうとしても、なかなか難しい。私もとても苦労しました。ですから、今から徐々に周囲を巻き込こんで仕事する体制を築いておくのが良いですね。

それから、「感謝の気持ちを表明できる力」も重要。仕事を行う上でお願いはつきものですが、何かを頼んで協力してもらったら、必ず「ありがとう」というお礼の気持ちをしっかりと相手に伝えること。それが出来れば、「協力した甲斐があった」「この人ならまた協力したい」と思ってもらえる可能性は高まるわけです。それはつまり、復職した時に「あの人だったら戻ってきてほしいね」と思われる人材になれるかどうかにも繋がる部分だと思います。結局戻ったところで子供に病気はつきものですし、問題は起きるので、その時に「あの人なら何か肩代わりしようか」と思ってもらえる人であるということが大切です。

それは、それまでの仕事への姿勢で見られる部分でもありますし、復帰する際に面談がある企業であれば、理解が得られるよう「自分としては、こういうステージを踏んで仕事に向かい、貢献していきたいと思っている」という考えを共有しておくことも大切だと思います。

これからの時代、仕事に復帰したい女性は増えていくので、こうした根回しをしておかないと、淘汰されてしまう可能性も十分あります。実際に人事側にインタビューをすると、育休を取っている全員に戻ってきて欲しいわけではないのが現実。しかも、それが原因であっても、業績悪化を理由に解雇となる場合もあるので、本当の理由は分かりにくいです。「なんとなく復帰できてしまった」「復帰できて当たり前」ではなく、危機感とプロフェッショナル意識を持って仕事に臨む姿勢を大切にしてほしいなと思います。

(取材・文=編集部)

work_00216_prof1

●大洲早生李(おおす・さおり)
「世界中の親子に夢・希望・余裕をもたらす社会を創る」をビジョンとしたママと子どものマーケティング・PR会社を経営。セカンドキャリアを目指すママ達の挑戦を支援するビジネススクール「東京ワーキングママ大学」の運営母体である一般社団法人日本ワーキングママ協会代表理事。社会貢献事業として、働くママとその予備軍を対象とした働くママ支援プロジェクト、「キラきゃりママ」の運営も手掛ける。