TENGAと春画展がコラボイベントを開催「性に対するハードルを取り払いたい」

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TENGAと春画展がコラボイベントを開催「性に対するハードルを取り払いたい」

性的なものは、隠すべき、恥ずかしいもの。そんな価値観はまだまだ強く存在します。そのような現状を打開したいと、セルフプレジャーグッズを制作する株式会社TENGAと、開催当日の12月18日に来場者19万人を突破し、現在も記録を更新し続けている春画展のコラボイベントが行われました。

受付開始10時間で完売となったプレミアチケットを手にいれたライターの小泉ちはるさんが、当日の様子をレポートします。(編集部)

動員19万人をこえた春画展

怒涛のごとく迫りくる年の瀬から逃げ回るばかりの日々ですが、2015年はいかがだったでしょう。安保法案や東京オリンピックのエンブレム問題、「五郎丸ポーズ」など、さまざまな出来事の陰で、実は「春画」が密かなブームを巻き起こしていたことをご存知でしょうか。

東京・永青文庫で開催されている国内初の「春画展」は、18歳未満入場禁止であるのにも関わらず、来場者が19万人を突破するという異例の大反響。(編注:12月21日に20万人を突破)それを受け、「春画展」と株式会社TENGAの人気女性用セルフプレジャーアイテム「iroha」とのコラボレーション企画として、奥深い春画の世界を堪能できる「春画のいろは~一夜限りの春画Bar~」が12月18日に開店しました。「18歳以上の女性またはカップル限定」であるにもかかわらず、瀟洒なバーに、定員を超えるお客さんが詰めかけました。

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春画のいろは イベントメインビジュアル。左側にirohaの新製品が紛れ込んでいる

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紛れ込んでいたのは、一番左の「りんごとり」

リリースを出して10時間でチケットが完売

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広報の工藤まおりさん

「リリースを出して10時間以内にチケットが全て完売してしまいました。もうちょっと公開していれば、より大規模な会場が必要になったかもしれません」(株式会社TENGA 広報宣伝部 工藤まおりさん)

それにしても、なぜ女性向けに「春画展」とコラボすることになったのでしょう?

「日本は性に対するハードルが非常に高い国だと感じています。『春画展』が日本で開催されると決まった時、性に対するハードルを感じている者同士、何か一緒にできないかと思いまして、春画展日本開催実行委員の浦上満さんにご挨拶させていただいていました」(工藤さん)

生の春画を前にあれこれ話しているうち、気づけば老若男女関係なく盛り上がっていたのだそう。

「ちょうど12月23日に発売する新商品『iroha+(イロハプラス)』のプロモーションについて考えていた頃でした。春画と絡めることで性についてもっと明るいイメージにしていけたらと思いまして、『春画のいろは』を企画しました」と工藤さん。

日本は性に対するハードルが高すぎる

確かに、諸外国に比べて日本の性に対するハードルの高さは特筆すべきものがあります。「春画展」の国内開催にあたっても苦労は並々ならぬものだったようで、「春画のいろは」内で行われた浦上さん×望月かおるさん(美術出版社 編集部)×島貫泰介さん(美術ライター/編集者)のトークイベントでは、浦上さんが「春画展」の開催を各美術館からすげなく断られたというエピソードを明かしました。

「2013年に大英博物館で開催された『春画――日本美術の性とたのしみ』では各紙がこぞって最高クラスの評価をつけ、大成功を収めたのにも関わらず、東京国立博物館では『年齢制限があるから』という理由でチラシを置いてももらえなかったんです」(浦上さん)

加えて、JRへ「春画展」の広告出稿を打診した時にも、ちょっとした揉め事が生じたとのこと。

「9月1日から1ヶ月間、JR山手線で広告を出したんですが、18禁のイベントの広告はJRにとって初めてだったそうなんですよ。で、一応OKですが、図柄はチェックしますからねと念を押されました。そこで、大英博物館でも大人気だった喜多川歌麿の『歌満くら』を広告デザインとして提出したんです。そうしたら、男女の性を感じさせるという理由でNGにされてしまって」(浦上さん)

「春画展」と銘打っているのに、そんな理由で却下されたら元も子もない気がしますが……。

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JRの広告でNGを出された喜多川歌麿の『歌満くら』と浦上満さん(左)

“触手モノ”に“擬人化”……。江戸時代の明るく前向きな性の妄想

トークイベントでは、世界的によく知られた春画から、「春画展」では見られない江戸時代の性具にフォーカスした春画までを公開。春画は歌川広重や葛飾北斎ら、歴史上に名を残す偉大な浮世絵師達がこぞって手掛けており、単純に男女の交合を描くだけでなく、狂歌や当時流行した参考書のパロディなど、あふれんばかりのユーモアで「笑い絵」とも呼ばれています。それが、今も昔も人をひきつける理由なのでしょう。

中でも一際目をひくのが、やはり葛飾北斎の「喜能会之故真通」。大蛸と子蛸が美しい海女を襲っているという、いわゆる“触手モノ”の先駆けのような絵ですが、浦上さんによると「19世紀のフランスで大評判だったが、猟奇的な絵だと思われていた」そうです。しかし、描かれている地の文をよくよく読んでみると、「この機会を今か今かとずっと待っていたが、やはりいい女だ。これは竜宮城に連れていかなければ」と喜ぶ蛸と、「私もタコ(名器)だタコだと言われていたが、本物の蛸にはかなわない」とまんざらでもない海女との落語のようなやりとりが繰り広げられており、思わずくすっと笑ってしまいます。まさに「笑い絵」の真骨頂です。

「だからこそ、目を三角にしてうんうん唸りながら春画を鑑賞するなんて、野暮なんですよ」と浦上さんの弁舌が冴え渡ります。

もう1点、一見春画には見えませんが、女性が立派な着物を着た張り型を捧げ持っている浮世絵も紹介されました。春画には男性器(張り型)を擬人化した作品も多く、ゲストの間から「かわいい!」という声も。

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春画の女性の表情は皆明るかった

「春画のいろは」に参加し、様々な作品を見て気が付いたのは、春画に描かれる女性の表情が皆楽しそうで、活き活きとしていることです。江戸を生きた人々にとって、いかに性が日常的で、肯定的なものだったかがひしひしと伝わってきます。

トークイベント終了後は、会場に展示された浦上さん秘蔵の春画を鑑賞したり、春画談義に熱心に耳を傾けたり、「iroha+」を手に取ったりする参加者の姿が見られました。女性にとって、より性が身近で、心地よいものであるように。一夜限りの春画Barは、性を、ひいては人生を謳歌するためのヒントを教えて、その幕を閉じたのでした。

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