パソナ東北創生 戸塚絵梨子さんインタビュー

「被災地ではなく、ひとつの街なんです」29歳の女社長が東北創生を目指す意味

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「被災地ではなく、ひとつの街なんです」29歳の女社長が東北創生を目指す意味

近年、“地方創生”という言葉がよく聞かれるようになりました。東京への一極集中を解消し、国内の各地域における社会の活性化、問題解決、就業機会の創出などを目指す取り組みのことで、安倍政権での最重要課題としても掲げられ、現在注目を集めています。

人材派遣会社のパソナでも、社内ベンチャー制度を利用して、地方創生を始めた女性がいます。彼女の名前は戸塚絵梨子さん。東日本大震災時に東北ボランティアに行った経験が立ち上げのきっかけになったそう。

東北の状況について「最初は絶望的だった」と語る戸塚さん。震災から5年、人々はどんな表情を見せているのか、ボランティアでは何を感じたのか、話を聞きました。

東日本大震災後、休職して現地のボランティアに

――まず最初に、ここまでどのような経緯でやって来られたか教えていただけますか?

戸塚絵梨子さん(以下、戸塚):新卒で(株)パソナに入社し、人材派遣サービスの営業をやっていました。そして、自分がこれからどういったことをやっていきたいか考え始めた、社会人二年目の終わり頃東日本大震災が起こりました。その時は将来何かにつなげようとか考えていたわけではなく、まずはボランティアに行こうと、友人たちとレンタカーを借りてガレキの撤去に行きました。いざ行ってみるとあまりに甚大な被害で、どこまでも同じ光景が広がっていました。その経験から現地のことが忘れられなくなってしまったんです。

1週間ほどいたなかで自分たちが作業できた場所はほんの一部分で、これは復興までに何年かかって、どれだけの人の数が必要になるんだろうと正直絶望的な気持ちになって帰ってきました。その後も自分が何か関わっていけることがあればと、会社の有志で月に1回福島県郡山市に通い始めました。

ただ、1ヶ月に1回行くと皆さん「ありがとう」とすごく温かく迎えてくれるのですが、住んでいる人たちがどういう暮らしをしているのかが全然見えてこなくて。自分たちがやっていることが彼らにとってどういう意味があるんだろうということが気になりだしました。今後、継続的に関わっていくために何ができるのかを現地に行って知りたいと思い、震災の半年後くらいに会社に休職したいと申し出ました。

そこから人事的な調整を経て、2012年の6月にボランティア休職制度を使って休職し、岩手県釜石市の一般社団法人三陸ひとつなぎ自然学校に職員として入りました。

――休職にするにあたって不安はありませんでしたか?

戸塚:最初に行った1週間のボランティアでできることがあまりに小さかったので、本当のところがわからなかった。そしてそれを知るために長期的に現地に入りたいと考え行動に移したので、全て自然な流れでしたね。だから、一念発起というよりは関わり続けたいという思いが起点になって動いた、という感じでした。

東北の海

東北の海

ボランティアで感じた変化と成長

――長期的に行ってみて、キツいことやしんどいこともあったのではないでしょうか。

戸塚:こんなことを言ったら不謹慎と思われるかもしれませんが、9割方楽しかったんです。私がお世話になった社団法人はボランティアの受け入れもしていて、ボランティアで来てくれた人にガレキ撤去や、仮設商店街、漁師や農家の方のお手伝い等のコーディネイトをしつつ、自分も船に乗るなど農業や漁業の現場を知ることができました。

更に、震災直後のフェーズをこえて、街づくりの核になる部分やビジョンをみんなで考えていく時期でもあったので、その部分に携わることができたのも大変貴重な経験でした。現在ここにはどういった地域資源があるのか、その土地の歴史や風土、そして住んでいる人たちについて調査をして、ひとつひとつ把握しながら、作業を進めていきました。

また、ボランティアに来るのは大学生や会社を転職するまでの期間を利用した若い人が多かったのですが、一緒に活動をする中で、彼らのすさまじい変化や成長を間近で感じ、ここはものすごい力を持つ場所だなと思いました。

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右が戸塚絵梨子さん

「何かできるんじゃないか」という視点は間違っていた

――最初のボランティアでの絶望的な気持ちから変化があったのですね。

戸塚
:最初にボランティアで行ったときはガレキがあって“被災地”、という一括りのイメージだったものが、釜石に住んだことで、ここはひとつの街なんだと当たり前のことに気づくことができましたし、個性やそこに住んでいる人や文化に魅力を感じました。東京出身なので、なかなかふるさとと思える場所もなかったのですが、間違いなく釜石は第2の、もしかすると第1のふるさとだと感じています。

最初は「何かできるんじゃないか」「何ができるだろう?」と思っていたのですが、実際行ってみると地元の人に助けられてばかりなんです。農業にしても漁業にしても現地の人たちは生きること、日々の暮らしの先生のような存在ですし、自分たちが食べているものがこういう構造で口に入っていたんだなと知ったり、仮設住宅や仮設店舗という恵まれた環境ではない中で復興に対する強い意志をもって前に向かっていく姿に逆に勇気付けられたり、0からみんなで1を生み出すこと、創り出すなかでわからないことや学ぶことだらけで、「何かできる」という視点が違うんだなと気付きました。

【後編はこちら】震災から5年の今考える、これからの東北創生「現地で経済を回したい」
■イベント情報
株式会社パソナ東北創生取締役の石倉佳那子さんが登壇します。パソナ東北創生を戸塚さんと創業された方で、現在は東北に住み、新しい働き方や暮らし方を推進する業務に従事しています。

「~ Asu-Pro Vol.1 ~」
アスリート、音楽家、起業家……あらゆる分野で頑張る人がコラボレーション!
ディナーとともに、トークと音楽を楽しむイベントです。
日時:2015年12月16日(水)19:30~21:30(受付19:00~)
会場: 東京タワーTOWER’SDINER
住所:東京都港区芝公園4-2-8東京フットタウン2F
(東京メトロ大江戸線「赤羽橋駅」徒歩8分)
参加費:一般3,000円/学生2,000円
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詳細はこちら
【お申込み方法】
① Face book:上記ページにて「参加」をクリック
② E-mail:asupro123@gmail.com にて名前を記載の上、参加の希望を明記

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