フェアトレードブランド「ピープル・ツリー」代表 サフィア・ミニーさんインタビュー(後編)

人は社会的意義で服を買うのか? フェアトレードブランド代表の思い

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人は社会的意義で服を買うのか? フェアトレードブランド代表の思い

フェアトレードブランドの先駆け的存在「ピープル・ツリー」代表のサフィア・ミニーさんへのインタビュー後編。

インタビューのため訪ねたのは、自由が丘にあるピープル・ツリーの直営店。以前のフェアトレードの洋服といえば、「デザインがちょっと……」「品質にムラがある」などのイメージがつきまとったが、丁寧な縫製で作られた部屋着からフォーマルにも使えるワンピースまで、幅広いアイテムが揃う。

【前編はこちら】SNSで「意識高い系」と揶揄されるのは日本だけ フェアトレードの欧米事情

社会的意義があっても、質やデザインが良くないと売れない

ファッションアイテムのデザインについて話が及んだとき、同席していたPR担当の女性が言った。「そもそも、フェアトレードにサフィアさんが着たい服がなかったというところから始まったんですよね。“エスニックすぎる”って言って(笑)」。

サフィア・ミニー(以下、サフィア):そうなんですよ!例えば、社会起業家として10年前からダボス会議(世界経済フォーラム)に出席しているのだけど、そうすると、プレゼンができるようなスーツや、イブニングドレスなどもピープル・ツリーで開発しなくちゃいけなくなったんです。それはすごくチャレンジでした。

会議中のあるランチ会でのことなのですが、私が次のスピーカーとして立ち上がる直前、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが入って来て私の目の前に着席したことがあるんです。もう「アーッ!」って(とその時の心境を叫ぶサフィアさん)。彼女があんなに美しいとは思わなくて、言葉が出なくなりそうに。ブラッド・ピットはさておき(笑)。そういった場所でフェアトレードの服を着るとなると、やっぱり新しく開発する必要があったんですよね。

――「フェアトレードだから、意義があるから良い」と提供する側も胡座をかいていてはいけない、ということですね。

サフィア:これはどこの国でも同じだと思いますが、商品のデザインや品質が価格にあったものでないと売れません。消費者は、フェアトレードだから、オーガニックコットンだから買う、というわけではないんですよね。なので、デザインの美しさとか、洗っても長く着られるとか、通常のブランドと変わらない商品にしなければ。

映画『ザ・トゥルー・コスト』が描くもの

――そういう状況のなかで、“おしゃれなアイテム”として消費者に手に取ってもらうにはデザインなどにも工夫が必要ですね。デザインは日本向けや欧州向けで変えているのでしょうか?

サフィア:変えています。デザインチームが東京とロンドンにあって、それぞれが洋服や雑貨のデザインを行っています。あと、マーケットによってどういう商品が必要なのか、その商品を提供できるフェアトレード団体や社会的企業があるかどうかをリサーチもします。そのプロセスに大体1〜2年かかりますね。ドイツやオランダでは、「もっと都会的にしたい」という需要があるので、オーガニックコットンだけではなく、スーツと一緒にも着られるような面白い商品の開発ができました。

――ファッションといえば、ミニーさんの取り組みも取材されているドキュメンタリー映画『ザ・トゥルー・コスト』が公開中です。女優のエマ・ワトソンさんなど、影響力のある著名人のインタビューが複数収められており、エシカルファッションに関心の薄い人にも広く訴求できそうですね。サフィアさんがこの作品に関わることになったきっかけは?

サフィア:監督のアンドリュー・モーガンが、バングラデシュのラナ・プラザで起きた縫製工場の事故のニュースにショックを受けて、ネットで色々と調べているうちに、私の著書『NAKED FASHION』を見つけたんです。映画のリサーチのためにコンタクトしてきたので、俳優コリン・ファースさんのパートナーでアクティビストのリヴィア・ファースさん、ファッションジャーナリストのルーシー・シーゲルさんなどを紹介しました。人権問題や環境破壊、消費者の意識などを多層的に取り上げて、現在の経済システムの問題点がよく分かる映画になっていましたね。

未来のための“服の買い方”

――ファストファッションは既に若い女性たちの間に浸透していて、完全に切り離すのは正直なかなか難しいと思うのです。消費者はどんなところから意識を変えていけばよいでしょうか?

サフィア:最近はフェアトレードの商品もネットで簡単に購入できたり、手に入れやすくなっています。もし新品の服を買うのであればエシカルのものを選ぶとか、そもそも、古着を工夫したりして「新品を買う必要はない」という考え方もありますよね。ファストファッションを大量に買うよりも、よく考えてエシカルファッションを上手に買って、大事に使っていくことが大事だと思います。

「ピープル・ツリー」代表のサフィア・ミニーさん

『ザ・トゥルー・コスト』より/(c)TRUECOSTMOVIE

――世界中を飛び回り、とてもパワフルに活動しているサフィアさん。そのエネルギーの源は?

サフィア:ヨガとオーガニックな食事ですね。あと、ステキな仲間が多いので、彼らにすごく支えられています。

サフィアさんの活動にも密着した映画『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション 真の代償~』は12月下旬まで渋谷・アップリンクにて公開中。来年1月16日~1月22日に名古屋シネマテークで上映後、大阪、京都などで順次公開予定。

■公開情報
『ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション 真の代償〜』
監督:アンドリュー・モーガン プロデューサー:マイケル・ロス
製作総指揮:リヴィア・ファース、ルーシー・シーゲル
出演:サフィア・ミニー、ヴァンダナ・シヴァ、ステラ・マッカートニー
ティム・キャッサー、リック・リッジウェイ
配給:ユナイテッドピープル 特別協力:ピープル・ツリー 協力:Dr.Franken
2015年/アメリカ/93分

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