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2015/12/07

パナソニックの濱松誠さんが「One Panasonic」の活動について語った前半に続き、登壇者4名とモデレーターであるNewsPicks編集長の佐々木紀彦さんがパネルディスカッションを行った。メンバーは濱松さん、「秘密結社わるだ組」を結成した富士ゼロックスの大川陽介さん、イノベーター達の祭典「しんびじ」を開催したNTT東日本の沼田尚志さん、「遊ぶように働き、働くように遊ぶ」をテーマに「team Fantasy-sta.」を立ち上げているJR東日本の村上悠さん。話題は30代という年代の持つ意味から、イノベーションの定義まで幅広い。

【前編はこちら】“大企業病”は30代が変えていく 「One Panasonic」が目指す社内イノベーション

心・技・体のバランスがとれた、チャレンジには最高の年代

佐々木紀彦さん

佐々木紀彦さん(以下、佐々木):本日ご登壇下さっている皆さんは全員30代ですけど、大企業において、30代という層はどういう存在なのでしょう?

大川陽介さん(以下、大川):エネルギーを一番持っていて、かつ能力を持っている層ですよね、やっぱり。大きな組織の中で、ボトムアップで何とかしていこうと動きと、トップダウンで何とかしていこうという動きの狭間でコントロールできるのは、30代かなと。

濱松誠さん(以下、濱松):大川さんの言う通り、心・技・体が一番いいバランスで保たれているのが30代ですよね。ただ、僕の個人的な考えでいえば、年代はさほど関係ないと思います。もっと早くにチャンスがあれば、もっと早く活躍できる人はたくさんいるだろうなと思いますもん。

村上悠さん(以下、村上):会社を手法として捉えると、その作法が分かり、会社の使い方を理解できるようになってきたのが30代でしょうか。ちょっと遅すぎたかな、とも思いますけど。20代の時には、自分のやりたいことを前面に押し出しすぎて、提案しても結構失敗していました。

沼田尚志さん(以下、沼田):僕はね……評価が気になる年代ですね。すみません、サラリーマンで(笑)

出世はイノベーションを妨げるか?

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佐々木:でも、いい視点ですね。個人的には、やっぱり社内で出世した方がいいと思うんですよ。出世した方が、やれる幅は広がりますから。イノベーションや社内政治を含めた、出世との関連についてどう見てらっしゃいますか。

濱松:これが難しいところで、パナソニックや他の大企業では、いいか悪いか別として「出世」というものが何を指すのか分かりにくいんですね。「35歳で課長」とか「29歳で執行役員」とか滅多にいない訳ですし。イノベーションと出世の関係でいえば、LINEの元CEOである森川亮氏や、ドワンゴ取締役の夏野剛さんも断言していたんですけど、イノベーションを起こす奴は出世できないんですよ。

佐々木:なるほど。

濱松:ただ、一方で「One Panasonic」「One Japan」をつくっておいて、5年後や10年後、ちょうど僕達が部長や課長として出世する頃まで存続させていれば、部下達に面白いことをやらせることができる。だから、30代のうちに大企業で面白いことをやっている人間同士でネットワークを形成しておくというのは重要なんです。ちょっと質問の意図とはずれてしまいますけどね。

大川:僕はその点、凄く葛藤しているところで、「わるだ組」を通じて社内で既に繋がりができているので、仕事するのがラクなんですよね。一方で、この勢いで出世してしまったら、マネジメントに時間をとられて、自分のやりたい仕事に注力できなくなるんじゃないかと危惧しています。僕、勤怠管理が苦手で、一か月分まとめて出して怒られるタイプなので(笑)

村上:やりたいことをやるために、「出世」はひとつの手段としてあるな、と思います。一方、イノベーションについて話すときには、「イノベーションとは何なのか」という定義づけも必要だと感じています。「team Fantasy-sta.」の活動でいえば、やりたいことをやるために、試行錯誤しながら提案の精度を高めるんですね。

関係者や専門の方にじっくり話を聞いたり、主催する勉強会に社外の方に参加してもらったり、実際に勝手にやってみたり、です。そういった試行錯誤をしているうちに、「One Panasonic」や「わるだ組」みたいなプロジェクトと出会って、思いがけない化学反応が起きる瞬間があるんですよ。そして物事が一気に進む。

その瞬間こそ「イノベーション」だと考えているのですが、ここで重要なことは試行錯誤は誰にでもできる、ということです。そういう意味では出世しても試行錯誤できるし、試行錯誤しながら出世もできると考えています。

変化に目覚めつつある大企業へ

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佐々木:私も最近取材をしていて、大企業の意識がかなり変わってきたなと感じるんですよ。「スタートアップと組まなきゃいけない」とか。「自分の会社について、もっとこういう風にしたらイノベーションが起こるな」という部分はありますか?

沼田:会社の上層部が「イノベーション」に興味を持ち始めてきたな、というのは強く感じています。その分、自社の抱えるリソースにもっと目を向けてほしいと思っていますね。

あと、これは大企業ならではだと思うのですが、研究所を擁している会社も多いですよね。NTT東日本には「NTT研究所」という施設があるのですが、そこはめちゃくちゃ宝の宝庫なんです。でも、ゴールは論文を書くことであって、ビジネスに役立てることではない。その資源をビジネスに活用できるよう、協力していきたいと考えています。

大川:外部の人と繋がるのって、意外と簡単なんですよ。逆に、社内で繋がる方が難しいと感じています。どの部署にも、着火剤のような熱いイノベーターが存在しているんですが、なかなか評価されていなかったりする。そういう人達を繋げていけたらいいなと思っています。

まあ、これは上層部に頼んだところで仕方ないので、僕らが勝手にやるしかないんですけども(笑)

村上:トップ、ミドル、若手それぞれに「何かやってやろうぜ」という空気がないと、イノベーションは起こらないんですよね。

社内の繋がりで言うと、僕らが主催する勉強会では、もともと「くすぶっている20代向け」に開催したんですけど、意外と4~50代の管理職クラスが参加してくださって、世代を超えて熱い議論している。面白い状況だなと思います。そこからプロジェクトが生まれるようになってきているし、もっと勉強会の質を上げて、そのうち「会社」が生まれるようになったらいいと考えています。

大企業が豊富に抱えているリソースを使い倒して、楽しいことをやりたいですね。その結果、それってイノベーションだったよね、ということだと思います。

小泉ちはる

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