大企業30sイベントレポート(前編)

大企業病は30代が変えていく パナソニックが目指す社内イノベーション

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大企業病は30代が変えていく パナソニックが目指す社内イノベーション

組織改革やイノベーションといえば、ベンチャー企業の代名詞だ。東大、京大、早慶といった難関大学の学生達が、刺激とやりがいを求めて一流企業の内定を蹴り、こぞってベンチャー企業に就職したという話題も尽きない。

しかし、それは本当だろうか? 新しくて面白いことは、ベンチャーにしかできないのだろうか? 大企業にだって、いや、むしろ大企業だからこそ、できることがあるのではないか?

そんな想いを持つ人達を対象に、ソーシャル経済ニュース「NewsPicks」が「大企業30’s-日本企業のイノベーションは30代から始まる-」と題して、11月17日にトークイベントを行った。会場のSAPイノベーションカフェには、大企業に所属しながらイノベーションの創出に挑む、30代の若手社員4名の話を聞こうと130名ほどが集まった。

登壇者の肩書きには、パナソニックやJR東日本、NTT東日本、富士ゼロックスといった、そうそうたる企業の名が並ぶ。「融通がきかない」「官僚主義」と揶揄される巨大な組織で、熱く、面白い仕事をするにはどうしたらいいのか。赤裸々に語られたイベントの内容を、濱松誠さん(パナソニック)のトークを中心とした前半、そして4名の登壇者と、モデレーターであるNewsPicks編集長・佐々木紀彦さんのパネルディスカッションを中心とした後半に分けてお届けする。

大企業の強みは有形無形の豊富な資産があるところ

濱松さんは2006年にパナソニック(当時は松下電器産業)に入社した後、海外コンシューマー営業やインド事業推進を経て、社内人事に異動。2012年3月に有志の会「One Panasonic」を立ち上げ、社内外を巻き込んでイノベーションを進めているという。「One Panasonic」は2012年3月に設立してからというもの、2000人を超える参加者を擁している。

「One Panasonic」の濱松誠さん

「One Panasonic」の濱松誠さん

濱松誠さん(以下濱松):一般的に大企業病といえば、「スピードが遅い」「事なかれ主義」「縦割り組織」といったものが挙げられます。上司や後輩が愚痴っていることも多いでしょうし、僕自身もそう思います。しかし、一番怖いのは、そういう愚痴や不満すらも言わなくなること。変えようとしなくなることです。

「僕の話は、本日参加されている皆さんのためというよりも、皆さんの回りでくすぶっていたり、目が死んでいたりする人に伝えるために聞いていただきたい」と、濱松さんは力強く続ける。

濱松:大企業の強みは、人、モノ、技術、信頼といった有形無形の豊富な資産があることです。僕は、これ以外にはないと思っていますね。「One Panasonic」は一言で言うと、組織の中で役職や先輩後輩といった垣根を越えた交流を通じて、志や知見、人脈を拡大し、新しくて面白いサービスが生まれる土壌を作っていくことをミッションとしています。

その中で僕が大事にしていることは、「志」です。言葉がきついかもしれませんが、「志=パッション」がなければ、どんな試みも無価値だと思います。加えて、行動や知見、人とのつながりが肝要になってきます。

濱松さんは、「イノベーションは一人では実現できません。必ず、仲間の存在が必要になってきます」と言う。

濱松:交流会のように、みんなが集まれる場を継続してつくりつづけることで、縦・横・斜めのあらゆる方向に仲間を増やしてきました。さらに、今まで巻き込めていなかった人たちを巻き込むために、いろいろな工夫もしています。たとえば、私たちは製造業なので、交流の際に「モノ」を中心においた交流を試みるなどしています。事業部ごとにお勧めしたい商品や、売りたい商品を持ち寄ります。すると、場が盛り上がり、社内での連携が生まれやすくなるのです。

人同士の交流というと、どうしても、社内より社外の人とつながることに目が向きがちだ。しかし、いま勤めている企業のOBなど、もっと社内に由来したリソースを活用すべきだというのが濱松さんの意見。

濱松:「会社を卒業したOBとつながって何かをやる」という文化で有名なのはリクルートです。でも、リクルートだけの文化と諦めてしまってはもったいない。自社にそういう文化がなければ、自分達で作ってしまえばいい。それが、僕が強く伝えたいことです。

自分の言葉で想いを伝えなければ、何も変わらない

濱松:また、社長や常務、専務……。大企業だと雲の上の人のように感じるかもしれませんが、Facebookなどを通じてどんどんつながり、一緒に食事に行きましょう。皆さんの言葉でしか、皆さんの想いは伝わりません。

これはパナソニックだけではなく、全ての大企業が抱える問題だと濱松さんは述べている。

濱松:「One Panasonic」の活動をしていく中で、他にも、登壇者の一人である大川陽介さんが結成した富士ゼロックスの有志ゆるネットワーク「秘密結社わるだ組」、同じく登壇者であるJR東日本の村上悠さんが主宰する「team Fantasy-sta.」など、面白いことをしている人達と出会えました。

僕がセルフ(一人称)で語ったことが「One Panasonic」になり、「One Panasonic」で語ったことが「One Japan」として大きく拡大していく……。情熱が伝播していくのだと実感しています。

【後編はこちら】30代に必要なのは会社のリソースを“使う”という意識 出世にとらわれないキャリア構築とは

(小泉ちはる)

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