瀬田クリニックグループ統括院長・後藤重則氏インタビュー(前編)

自分の細胞でがんを治す「免疫細胞治療」とは? 最先端の治療を医者に聞いた

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自分の細胞でがんを治す「免疫細胞治療」とは? 最先端の治療を医者に聞いた

川島なお美さん、北斗晶さん、最近では生稲晃子さんと、種類は違えど、がんと懸命に闘う女性芸能人の話題が多く報道されるようになりました。今年に入り、検診の意識が高まったという人は多いのではないでしょうか。がんを早期発見するために検診に行くことはもちろん大切ですが、現在の医学では、気を付けていても北斗晶さんのように検診で見逃がされてしまったり、進行の早いがんを患ってしまったりする可能性は十分にあります。それでは、いざがんになってしまったら、どのような心構えでどのような治療を考えていくべきなのでしょうか。

「がんと診断されてもそんなに落ち込まないでほしい」と話すのは、瀬田クリニックグループ統括院長である後藤重則氏。後藤院長は先日、がん研有明病院顧問・前婦人科部長である瀧澤憲氏と共著で『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』(PHP研究所)を上梓しました。本書では、女性のがんに焦点を絞り、最先端治療である免疫細胞治療の症例から治療全体における課題、がんを治療していく上で患者が持つべき心構えなどが網羅された、がんに悩む女性にとっての必読書となっています。

今回は後藤院長に、免疫細胞治療の概要やがん治療を行う際に必要な心構えなど詳しいお話を伺いました。

最先端がん治療

『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』(PHP研究所)

自分の免疫細胞を使ってがんを攻撃する「免疫細胞治療」

――この「免疫細胞治療」とはどのような治療方法なのでしょうか。

後藤重則院長(以下、後藤):「免疫細胞」とは、ウイルスや細菌を攻撃する働きをする様々な細胞の総称です。その免疫細胞を採血によって体外に取り出し、増殖させたり強化させたりしてから体内に戻し、がん細胞を攻撃する力を高める治療法が「免疫細胞治療」です。免疫細胞の種類や、細かい治療法はいくつかあります。基本的に2週間おきに採血をして免疫細胞を培養して増やし、それを点滴で体内に入れていくので、入院の必要はなく、通院で治療ができます。

1980年代に米国国立がん研究所のローゼンバーグ博士が開発し、一気に世界中の注目を集めるようになったことで盛んに研究が行われました。日本では1999年に我々、瀬田クリニックが日本初の免疫細胞治療の専門医療機関として開院しました。現在では、まだまだ数は少ないですが、国内にあるいくつかの病院で治療が受けられるほどまで普及してきています。

――免疫細胞治療のメリット、デメリットはなんでしょう。

後藤:メリットとしては全身治療でありながら、外からの力でがんを取り除いたり攻撃したりするのではなく、もともと自分の体内にある細胞を使うため、苦しい副作用や身体的負担が極めて少ないという点です。少し熱が出たり眠くなったりはありますが、抗がん剤であるような髪の毛が抜けることはありません。そうした負担がないことで気持ちも明るくなり、治療に対して前向きになれる、生きる意欲がわいてくるといった精神的な効果を実感された患者さんはたくさんいらっしゃいます。デメリットとしては、免疫細胞の数に見合った分しかがんを攻撃できないので、限度があるということです。がん細胞が多くて膨大という場合には、外科治療(手術)、化学療法(抗がん剤治療など)、放射線治療などの標準治療を併せて考えていく必要があります。

「免疫細胞治療」とは?

瀬田クリニックグループ統括院長・後藤重則氏

またデメリットではないのですが、免疫細胞治療のような先端治療は、誰にでも当てはまるのかまだ検証できているものではありません。標準治療が現段階で普及している中で最も良い治療であって、そこからプラスして自分に合うものを選択して良い効果を期待するのが先端治療です。ですから、「標準治療の代わりに行う最も良い治療法」という考え方ではないということはわかっていただければと思います。

免疫細胞治療は現状、高額という問題もあるが…

――標準治療との使い分けや組み合わせによって、自分に合った治療法であれば選択していくという考えが大切だということですね。免疫細胞治療の費用面はどうでしょう。

後藤:実は、免疫細胞治療は現段階では健康保険を使えないため、治療に際して患者さんの費用負担が高額になることが一番の問題となっています。3ヶ月から半年(長い場合は1年)をかけて1サイクルの治療を実施しますが、それで約200万円前後を要してしまいます。ただ、厚生労働省や行政などの法制度は確実に進んではいますので、今後5~10年の間で承認する動きが広がっていくのではないかと思われます。多くの方に免疫細胞治療の知識、関心を持っていただいて、治療が受けやすくなるように応援していただければ幸いです。

【後編はこちら】がんと診断されても大丈夫 落ち込まずに生きる“病気の捉え方”を医者に聞く

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