犬山紙子×吉田尚記対談(中編)

ムカつく発言は「相手へのインタビュー」で受け流せ 犬山紙子×吉田尚記アナ対談

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ムカつく発言は「相手へのインタビュー」で受け流せ 犬山紙子×吉田尚記アナ対談

コラムニスト・犬山紙子さんとニッポン放送アナウンサー・吉田尚記さんによる、人に言われるとイラッとする「クソバイス」についてのインタビュー第2回目。第1回目では、クソバイスをしてしまう人の心境や、どう受け止めるといいかについて語り合ってもらいました。今回のテーマは、クソバイスにどう立ち向かうか。吉田さんからは、「クソバイザーとの会話はインタビューだと思えばいい」というアナウンサーらしい意見が飛び出しました。

【前編はこちら】イラつくアドバイスをしてくる人の心理とは? 犬山紙子と吉田尚記アナが分析

『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)

クソバイスは受け流すしかないのが現状

――吉田さんの著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)は、コミュニケーションを勝敗のない“ゲーム”として捉えて解説する本です。犬山さんはご覧になって、どんなことを思われましたか。

犬山紙子さん(以下、犬山):コミュニケーションをゲームとして捉えると、クソバイスはどう返すのが一番なのかな、という疑問が浮かびました。会社内でクソバイスをされて、相手を気持ち良くさせる返しをしたら、次はもっとどぎついクソバイスが来るじゃないですか。例えば、不妊に悩んでいる人に「子どもは?」って聞くとか、触れられたくないところをエグる、笑えないクソバイスをしてくる人もいる。

吉田:それはひどい。放送では、そういった話題には絶対に触れないですよね。普通、公共の場で発言することでもないですし。

犬山:吉田さんはマスメディアの方だから「言っていいこと・悪いこと」の基準をしっかりお持ちだと思うんですが、まだまだきっちりされていない方が多くて。子どもができなくて本当に悩んでいて、お金をたくさんかけている人に「早く子ども作れよ」と言うのは、やっぱりゲームとして捉えられない何かがあるのかなと。

吉田:笑えるレベルの話を何度も振ってくる……ということなら、そういうふうに会話で調子に乗る人って、そこからあんまり能力値が伸びないというか、同じ話の繰り返しが多いから「またかよ」って聞き流したりできますが、深刻な話題だと難しいですね。言い返すというより、どう自衛するかがポイントになってくる。

犬山紙子×吉田尚記対談(中編)

吉田尚記さん

「クソバイス返し」を知っておくだけで楽になる

吉田:犬山さんはこの本に載っている、クソバイスに対して言い返す「クソバイス返し」を一度も使ったことがないということですが(前編参照)、一度も著者の方が使ったことがないことがいっぱい書いてある本というと、『完全自殺マニュアル』(太田出版)が思い浮かびました。本の性質的に、著者の鶴見済さんは書いてある内容を実行していない。あの本は、最初に「本当に辛くなっても、最悪の場合はこの本があるんだと思ったら楽になる」という主旨のことが書いてあるんです。ああ、確かにその通りだなと。クソバイス返しも、実際に使うのは難しいけれど、いざとなったら―例えば本当に会社を辞める気になったら使える、要は“受け身”を覚えておくことができる本ですよね。

犬山:そうです。なので、実際に使ったことはないんですが、心が楽になればいいなと思って。

吉田:ちょっと脳科学的な話をしてもいいですか? 池谷裕二さんの本に書いてあったのですが、被験者に体に害はない電流を無理やり流す、いつ流れるか分からないけど電流を流すという、ストレスの度合いをはかる実験があって。この実験、「電流は全くコントロールできないので、単に耐えてください」と言う場合と、被験者にスイッチを渡して「本当にヤバイと思ったら押してください」と言う場合とでは、ストレスが倍くらい違うんですって。実はスイッチはダミーなんですけど、「電流を止められるスイッチだよ、使えるかもよ」と言われるだけでストレスが半分になる。

犬山:へー! 『言ってはいけないクソバイス』を、そういう解釈で受け止めていただけるのもめちゃくちゃうれしいです。

「相手を気持ちよくする」という意識

吉田:心を踏みにじるようなものではない、笑える範囲のクソバイスの場合、究極のパターンとして、「向こうが気持ちよくなってもらう」というのがありますよね。「あはは、馬鹿なことになっている」と思ってスルーする、という。

犬山:いいですね。お互いの幸せで。

吉田:ラジオのゲストの方で、ドヤドヤドヤとしゃべったあと、めちゃくちゃ気持ち良さそうな顔をして帰って行くとうれしいんですよ。

犬山:それって逆に気持ち良いですね。気持ち良く帰したんだー! と。

吉田:逆に好きになっちゃうこともあります。とあるゲストさんもそうだったんですけど、1mmも嫌いじゃないです。すごく気持ち良さそうにして帰って行ってくださったんですけど、二回目に会ったときに僕のことを覚えていなかったんですよ。最高だなこの人、二回目もまた新作だ!と(笑)。

犬山:あはは(笑)。それは最高だな〜。めちゃくちゃ経験値が高い! 吉田さんみたいに、相手を気持ち良くさせて、自分がそこを楽しめる心境にもっていく方法を聞きたいです。

犬山紙子×吉田尚記対談(中編)

犬山紙子さん

クソバイスする人は「インタビューされたい」

吉田:僕はクソバイスがきた瞬間に、「やりやすい!」と気持ちが楽になるんです。子どものときはそうじゃなかった気がしますけど、アナウンサーになると、放送をおもしろくするのが目的であって、僕の自意識がどうとかは関係ないから。会話に自分の表現とかいらないですもん。自分の話じゃなくて相手の話にしちゃえばいいんじゃないですかね。

犬山:それ、いいですね! 全て相手の話にすりかえる。すごい! 使える。相手からまず「あんたこうしなさい」と来られるじゃないですか。それをすべてかわして、相手の話にもっていくという。

吉田:クソバイスをする方のほとんどが自分のことをインタビューしてほしいんですよね。

犬山:本でも似たようなことを書いていて、クソバイスしちゃった人への話に対し、「インタビューをされている妄想をしろ」と。クソバイスをされたら相手にインタビューをする。自分の触れられたくないところは触れられずに、相手の話をさせるというところにもっていけるかもしれませんね。そのかわり長い時間相手と話さなければならないというデメリットもありますが(笑)。

>>後編へ続く

(撮影:竹内洋平)

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