人間の都合で大量生産される動物たち

賛否を呼んだ、ファミリーマートの「フォアグラ弁当」発売見合わせ。「動物はあなたのごはんじゃない」というフレーズを掲げるNPO法人「アニマルライツセンター」の代表理事・岡田千尋さん、理事・長井英明さんに話を聞いた。

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植物を食べるほうが効率的

――「植物はどうなのか?」という質問へはどう回答されているのですか?

岡田千尋さん(以下、岡田):まず、植物と動物は生物的に「痛みを感じるかどうか」ということに違いがあります。ただもちろん、植物も無闇やたらに踏み潰していいかといったらそうではないので、配慮は必要です。また、菜食を選ぶ理由のひとつは、肉食はより多くの植物を食べることになるから、ということがあります。動物は植物を大量に食べます。その動物を人間が食べるよりも植物を食べたほうが効率的に食べることができます。

――なるべく食べる量を減らす方が地球の負担にならないということですか?

岡田:飢餓に苦しんでいる人がいたり、農地が30年前から増えておらず、水不足などで減少していることを考えたときに、食べたいだけ食べ続けていいのだろうかと。牛だと11キロの植物を食べると1キロの肉ができるという低効率さです。その牛を食べる量を減らして、植物をより多くの人に配分していくほうが良いのかなと考えています。

狭い飼育環境で踏み潰される鶏も……

――岡田さんがビーガンを選ばれた理由は?

岡田:『動物の解放』という本を読んで、自分が営んでいる食生活が全世界につながっていることがわかったからです。工場的な畜産を知り、動物にこんなに辛い思いをさせるなら、私は食べなくても充分に楽しいからいいやと思いましたね。販売されているお肉が、昔ながらの放牧で育っている動物のものばかりであればもしかしたら私は肉食をやめていないかもしれません。

――工場的な畜産とは?

岡田:たとえばバタリーケージと言われる鶏を飼育するケージでは、ケージが狭いのでほかの鶏に踏み潰されて死んでしまう鶏もいるような状況です。豚も母豚は妊娠クレートという向きも変えられない狭い場所に詰め込まれていたりします。これが当たり前だと思う人もいるかもしれないけれど、一頭一頭に思いを馳せると、どれだけ辛い状況なのかと思います。広い場所で自由に駆け回れる状態で育ったものを食べるべきではないかと。

――大量の需要を賄うためには仕方ないという見方もあると思います。

岡田:低価格化が一番の問題だと思います。ある養豚場を経営されている方は、放牧養豚をやりたくて養豚業に入ったそうです。でも、最初は知識もノウハウも少なく、豚が逃げてしまうこともあって、だんだん閉じ込めるようになった。すると次は効率性を求めるようになって、価格が高いと市場で戦えないので、頭数を増やして一頭あたりのスペースを狭め、増やしては狭めた。結局、6,000頭をかなり狭いスペースで飼うシステムになってしまったと言っていました。もっと食べたい、もっと安く食べたいという欲求のしわ寄せは物を言わない動物にいくということだと思います。

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バタリーケージと言われる鶏を飼育するケージ(画像提供:アニマルライツセンター)

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日本の養豚場の8割以上で使われている妊娠ストール。メス豚は一生のほとんどをこのストールの中で過ごす(画像提供:アニマルライツセンター)

ストレスフリーの畜産とは

――農家のなかには、放牧をされているところもあります。

岡田:はい、こちら(アニマルライツセンターが制作した)のパンフレットで紹介している「ぶぅふぅうぅ農園」に伺ったことがあります。ここでは子豚が思う存分走り回って、仲間とじゃれて、人にも懐いて、お腹をごろんとして「なでて」ってしてきたり。犬と同じですで、とってもかわいいんです。6~7か月で殺されてしまう命でも、そういうストレスフリーで育てられたことが重要なのではないかと思いました。ハム会社など大企業のなかでも試験的に妊娠豚クレートを使わない飼育を始めたところもあります。ストレスフリーに育てられたものを今までと同じ価格で提供することは難しいと思いますが、健康に育った動物ということに価値を感じる方もいるのではないかと思います。

動物に感謝するなら、その尊厳を守った「食べ方」を

――「動物はあなたのごはんじゃない」というフレーズを聞いて、私は「みんな絶対に食べてはいけない」「肉を食べる人は野蛮」という意味なのかな? と不思議に思っていました。そうではないんですね。

岡田:そういうことではないです。「いくらでも自分の食べたいだけ食べられる」「安い価格でも食べられる」という思い込みが工場的な畜産を招きます。命は貴重なものなので、人間の都合で増やしたいだけ増やして、食べたいだけ食べるのは違うのではないかと。「いただきます」って感謝して食べているからいいでしょと言われることもあるのですが、感謝しているのなら(パンフレットの『ぶぅふぅうぅ』農園を指差して)こっちでしょ、って。無配慮に食べていたらどうしても大量生産になります。殺される動物にも尊厳があるのだから、人間としては尊厳を尊重していただかなくてはならないのではないかと思います。

長井英明さん:海外では「ミートフリーマンデー」をオノ・ヨーコさんやポール・マッカートニーさんが推奨しています。週に1回、もしくは1日1食だけでも肉が入っていない食事を食べようという試みで、こういった限定的な取り組みであれば日本でも受け入れやすいのではないかと思います。

――急に全部っていうのは難しいですよね。

岡田:なかなか難しいですよね。欲求を制御するのは難しいので、それは気づいた人、やりたい人がやればよくって、多くの方にはまず問題に気づいて、ベターな選択をしてもらうというのが始まりなんだと思います。

――工場的な畜産の現状を変えたいという部分を知らないと、ただ肉食を否定するというだけの話にも見えてしまいます。

岡田:私たちもまだ運動として未熟なので、伝え方に問題はあるのだと思います。「動物はあなたのごはんじゃない」というのは、ただ食べちゃだめということではなく、動物も生き物だよということを伝えたかったのです。もちろんできるだけ食べない方がいいのですが、生き物をいただいているというのがどういうことなのかについて考え続けるということを、これからも伝えたいと思っています。

小川 たまか/プレスラボ