NHK『サキどり』収録レポート

LGBTの市場規模は約6兆円 NHKが特集する、ダイバーシティの最先端

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LGBTの市場規模は約6兆円 NHKが特集する、ダイバーシティの最先端

11月5日から、東京都渋谷区で同性カップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」がスタートしました。同区の取り組みは海外メディアでも大きく報じられ、米国のニュース専門放送局CNNでは、「同性カップルにとっては大きな一歩である」と評価。その一方で、「日本にはLGBTの人たちを差別から保護する国の法律がいまだにない」「多くのLGBTたちは、秘密の生活を送り続けている」ということについても指摘しています。

日本におけるLGBTの社会的関心が高まるなか、社会はLGBTの人たちをどのように受け入れていくべきなのでしょうか? 11月15日(日)に経済番組『サキどり』(NHK総合 朝8時25分~)にて、写真家のレスリー・キー氏、そして女装家でエッセイストのブルボンヌ氏をゲストに迎え、MCのジョン・カビラ氏と片山千恵子アナウンサーとともに、LGBTと共存するこれからの社会について考える「LGBTと切り拓く未来」が放送されます。その収録現場を訪れてみました。

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レスリー・キーがLGBTを撮影する理由

LGBTめぐる最前線をNHKが紹介

右から、片山千恵子アナウンサー、写真家のレスリー・キー氏、女装家・エッセイストのブルボンヌ氏、MC・ジョン・カビラ氏

現在、日本のLGBTにスポットライトを当てるプロジェクト「OUT IN JAPAN」で、1000人のLGBTを撮影するレスリー・キー氏。これまでレディー・ガガやビヨンセ、松任谷由実AKB48など著名なアーティストの撮影を手掛けてきたレスリー氏は、日本を拠点に活動を展開しています。

このプロジェクトについての思いについて、「世界21カ国で同性婚が成立するなか、日本がアジアで一番最初の同性婚が可能な国になるように先陣を切っていってもらいたい」「写真を通して魅力的な人がたくさんいるということを知ってもらえたら」と話します。

これに対して日本におけるLGBTの事情に詳しいブルボンヌ氏は、「昔は写真に残すのは表現活動をしている人に限られていたところ、ごく一般の人でも顔を出す人が増えて、見た目でつながっていくというのは素晴らしいこと」といいます。

また、ブルボンヌ氏はLGBTを取り巻く最近の日本の変化について、「(女装家である)私のような色味の強い人がNHKに出られる時代になったということだけでも大きな変化だと思います。昔は、色物や夜の歓楽街の住人としてしか見られなかった存在が、『こういう人もいるんだ』と真面目に語ってもらえるようになってきたんだなと実感します」と語ります。

LGBTにクリエイターが多いのはなぜか

LGBTめぐる最前線をNHKが紹介

レスリー・キー氏

番組では、アパレルの分野で感性を発揮し、ヒットを飛ばすゲイのデザイナーを取材。LGBTにクリエイターが多い理由について、両氏は次のように考察。「アンテナを張り巡らせているので感性がするどい。不自由ななかで自分のスタンダードを作っているので鍛えられているんだと思います」(レスリー氏)、「社会に認められていないという反動的なパワーが、より努力しようとか才能を磨こうという後押しをしてくれると思います。あと、性的なものって自分内面を見つめることにもつながるので、よりアーティスティックな感覚が身につきやすいのかもしれません」(ブルボンヌ氏)。

LGBTをターゲットにした商品やサービスの市場規模が約6兆円規模ともいわれるなか、番組ではLGBT向けの細やかなサービスを打ち出す高級ホテルや、LGBT向け生命保険の開発など新たなビジネスについても紹介されます。

LGBTめぐる最前線をNHKが紹介

NHK『サキどり』より

また、会社の福利厚生の制度拡充やLGBTを包容する会社の変化によって、カミングアウトを決意した人も登場。そうした会社の風土について、社員からは、「多かれ少なかれ切り口を変えれば誰もがマイノリティであり、LGBTを受け入れてきちんと働ける会社は自分もきっと受け入れてもらえるんじゃないかなと思うし、働きやすいだろうと思います」というコメントも。LGBTフレンドリーを打ち出す企業は、働きやすい職場というイメージを持ちやすいことが窺えます。

「(こうした企業は)アメリカとかフランスは当たり前ですけどね。日本も早くLGBTが普通になるように変わっていって欲しい。それがグローバリズムだと思う」(レスリー氏)

「『会社に(LGBT当事者だと)言えない』という人が多い一方で、『仕事と性的嗜好って関係ないじゃない』っていう声もあると思うんですけど、仕事ってコミュニケーションのなかで、恋愛や結婚の話っていくらでも出てきますよね。そうすると自分の性的嗜好を隠している人にとっては、一日の大半を過ごす空間のなかで、本当は彼氏なんだけど彼女って言い換えとか、結婚の話をうやむやにしないといけないとか実情なので、ストレスが溜まっていくのはありますよね」(ブルボンヌ氏)

LGBTめぐる最前線をNHKが紹介

ブルボンヌ氏

日本はLGBTの権利向上をリードできる

最後に、収録を終えたお二人に話を聞きました。

――日本がアジアでLGBTの普及活動のリーダーシップを取ってほしいとお考えになる背景とは?

レスリー氏:アジアにも色々な国がありますが、宗教によって同性愛が罪とインプットしている人も多いです。そこを変えていくのは、なかなか難しい。そういう意味では、日本は宗教問題がないので、アジアのなかでLGBTの権利向上をリードできるチャンスがあるのではないでしょうか。「OUT IN JAPAN」も、いまは日本だけでの展開ですが、ゆくゆくは「OUT IN TAIWAN」「OUT IN SINGAPORE」というように国を広げていきたいと思っています。

――LGBTの制度改革だけでなく、個人レベルでの偏見をなくすためには何が必要でしょうか?

ブルボンヌ氏:結局は、偏見も教育が生むし、多様性を育むのも教育ですよね。全員が豊かな心を持とうっていうのは理想論かもしれませんけど、昔女性に参政権がなかったけどいまはあるように、ムーブメントというのは起こせるわけだから、全体の意識が変われば個人も変わっていく部分はあるんじゃないかな。

両氏ならではの鋭い切り口で、LGBTが活躍できる理想の社会について語られた同番組。収録を通して、いま日本で高まりをみせているLGBTへの社会的関心を一時のブームで終わらせることなく、未来につなげていこうと訴える強い意気込みが感じられました。

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