タグ
2015/11/11

男性向けAVで見かける変わった企画の作品が生まれる背景を、人気メーカー・「SOFT ON DEMAND」の木村真也監督とプロモーション部の長嶺浩平さんに聞くインタビュー後編。前編では、男性がAVに求めるものをうかがった。後編では、女性向けAVとの違いの分析や、変わった企画の作品の売れ行きなどを聞いた。(編集部)

【前編はこちら】男性はAVに何を求める? “変な企画”が生まれるワケをメーカーに聞いた

「ダッチワイフとのセックス」は売れなかった

――逆に、そういった企画を練ったAVの中で、ウケなかったものってありますか?

長嶺浩平さん(以下、長嶺):ダッチワイフとセックスをする……というドラマ風の作品はウケなかったですね。

――なぜでしょう。

木村真也監督(以下、木村):人間が出てないからだよね(笑)。

――ダッチワイフって割と売れてるって聞いたので需要はあるのでは……?

長嶺:結局、ダッチワイフユーザーの多くは、人形が好きだから買ってたわけじゃなかったんだと思います。本当は生身の女を抱きたいけど、抱けないからダッチワイフを使っているという。

木村:うん。あと、ダッチワイフが本当に好きであっても、それを映像として観たいかどうかというと違ったんですね。現実でやってみたい性癖と、映像で見たい性癖って全然違うんですよ。現実で女性のお尻が目の前にずっとあっても、あんまりうれしくないと思うんですよ。たとえお尻が好きでも。でも映像だとエロい。現実だったら興奮するけど、映像だったら興奮しない、ということがあるんですね。

長嶺:手コキとかSMもそうじゃないでしょうか。実際だったら手コキだけで終わらせるのはちょっとイヤだけど、映像で観たらエロい。現実ではSMを好きな人でも、映像で見るとただの芸術作品に見えてしまってエロいと思わないということもあるみたいですね。

女性向けと男性向けの違い

――SODは女性向けのAV作品も作っていらっしゃいますが、男性用AVと女性用AVの違いはどこなのでしょうか。

長嶺:女性が男性用の映像を見ると「痛い」らしいんですよ。作品の中の潮吹きが出てくると、女性は「あっ、痛そう」って思うみたいですね。男性は「気持ちいいから潮吹いてるんだろ」って思って見ているけれど、女性はそうじゃないとわかっているわけだから。そういうこともあって、女性向けのAVには、あからさまなエロっていうのがそこまでありません。男性向けのような暴力的なのは一切なし。だから「しっぽり」してます(笑)。ドラマの部分が長いんです。導入部分ですね。

木村:トレンディドラマにカラミがついてるっていう感じ。9割ぐらいそうですね。

長嶺:いちばん大事にしてるところは、「セックスに行く寸前のところ」なんですよ。男性だったら早送りするようなシーンを女性はほしいんですね。たとえば、男性向けの単体デビューものの作品でも、男性がゆっくりゆっくり脱がせるってことはないんです。女の子自身がゆっくり脱ぐ場合はありますが。逆に女性向けだと、男性が女性の服をゆっくり脱がせて、ゆっくり耳元からキスして。

木村:いちゃいちゃが長い。

長嶺:セックスシーン自体の長さは男性向けのものとあんまり変わらないんです。でも、挿入までが長い。キスから始まって、胸をちょっといじって、みたいな。男性向けより、リアルな普通のセックスに近いですね。

木村:男性向けだと、あえていちゃいちゃしないんです。ユーザーが男優にむかついてしまうから。「お前だけいい思いしてないで、とっととやれ」と(笑)。女性向け作品の現場には何度かしか行ったことがないけれど、キャッキャしながら、本当に仲の良い感じで少しずつ脱がしていくのを撮れたらベストみたいですね。

長嶺:男向けの作品で脱がす描写に時間をとるのはコスプレの場合ぐらいだと思います。

SODインタビュー後編

左:木村真也監督/右:長嶺浩平さん

――話が戻りますが、「地上20メートル空中ファック」「全裸雪山ハイキング」などの作品は売れたのでしょうか?

木村:大コケしました。でもああいう作品って撮るのに何千万円とかかるので、会社にお金がなくなってしまって、じゃあ低予算で何が出来るか、というところから新しい企画が生まれたりもしたみたいです。

――マジックミラーの場合は、どのあたりが男性の心を捉えたのでしょう?

木村:女の子が恥ずかしがっている生の表情を見られるからではないでしょうか。あとは背徳感、ライブ感、外が見えるっていう日常の画とのギャップでしょうか。最近はマジックミラー号が有名になっちゃって、すぐにバレてTwitterで流されちゃうので、なかなか大変です。

――人気の企画のなかで、SODの女子社員のシリーズがありますよね。社員が実際に出演してしまうという。あれはどのへんがユーザーにウケたんだと思いますか?

木村:半分は、ありがたみ、ですね。AV女優さんの場合、エッチするのが当たり前じゃないですか。きれいなAV女優さんのエッチもみんな見たいけれど、一方で脱ぐことが仕事じゃない女の子が脱ぐことにも「ありがたみ」がある。ふだん仕事でエッチしているわけではないから、いい意味で「普通のセックス」なんですね。あと半分は、AVメーカーの女子社員はエッチな業務をいろいろしてるんだろうな、という妄想がユーザーの間にやっぱりあったらしくて。

長嶺:願望もあったんでしょうね。AV会社で働いている女の子にはこういうことをしていてほしい、みたいな。

ライター・シマヅのまとめ「刺激とは何か」

世界各国でAVの人気ジャンルを比較した調査で、日本の第1位は「人妻」という結果が出たらしいです(PornHub.comによる2014年の調査より)。

「10代」とか「女子高生」とかかな、と思っていたので意外だったのですが、木村監督曰く「かわいい女の子がエッチなことをするのは当たり前になってきちゃっているから、バックグラウンドがないとダメ。人妻を寝取る……みたいな背徳感とか意外性が結構大事なんだと思います。単なるかわいい子じゃ、もう刺激が足りない」とのこと。SODでも50代の女優さんが出演する作品が人気だったり、他の職業とAV女優を掛け持ちする「復職AV」というジャンルができたりしているそうです。

今回、お話を聞いて気が付いたのは、「AVは男性にとって、刺激そのもの」であって「生のセックスとして観ていない」のではないかということ。そして、見せ方に違いはあっても、根本的な性的欲求は男も女もそこまで違いはないんじゃないか、ということです。

女性でも、彼氏とのセックスがマンネリを感じたりしますよね。女性も男性も、「エロ」には(程度の差はあれ)「刺激」が大切なのだろう。筆者は、そう思いました。

とはいえ、ユーザーからのリクエストはがきには「おならの作品が見たい」という要望もあり、木村監督は「スカトロというジャンルもあるぐらいだからそういう人もいると思うけれど、おならの臭さは映像で伝えられないからなあ……。音だけならアリなのかな? かわいい女の子がおならをする恥ずかしい表情を見たいというならアリかな……」と悩んでいました。人によって何が「刺激」となるのか、人の欲望は心底深いです。

余談ですが、AVの人気ジャンルは、アメリカだと「レズ」で、スウェーデンとオランダは「milf(おばちゃん)」なのだそうです。

(取材・文/シマヅ) 編集協力:プレスラボ

木村真也(きむら・しんや) 1985年生まれ、2008年入社。2011年「犬の目線でのぞき見る オンナノコの無防備でHなせいかつ」で監督デビュー。「しゃぶりながらシリーズ」や「常に性交シリーズ」など、数々の変な名作を生み出す監督。現在「常に性交シリーズ」の最新作「-セックスが溶け込んでいる日常- 学園生活で「常に性交」女子○生 夏服・文化祭編」が発売中。
この記事を読んだ人は答えてね!
人が回答しています