『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』トークレポート(後編)

「まだ終わってない。落胆もしてない」SEALDsが語る日本社会の未来

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る
「まだ終わってない。落胆もしてない」SEALDsが語る日本社会の未来

明治学院大学国際学部教授・高橋源一郎さんと、学生団体「SEALDs」による対談集『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』(河出書房新社)出版記念のトークイベントレポート後編。参加メンバーの高橋さん、明治学院大学4年の奥田愛基さんと牛田悦正さん、上智大学4年の芝田万奈さんは、前編ではデモや本への反響について語り合った。後編の話題は、安保関連法案が強行採決されたあとの思いや、今後の活動について。「50年後の未来」にまで話は及んだ。

【前編はこちら】高橋源一郎×SEALDsがデモを振り返る「女性スピーチは未来への想像力がある」

絶対に止める、と思って活動していた

高橋源一郎さん(以下高橋):みなさんご存知の通り、安保関連法案が強行採決されてから1ヶ月以上経ちました。いま、その中でSEALDsが何を考えているのか。それ以降、何を考え、どこへ向かっているのか、この本が発売された後の話をしたいと思います。まず、総括ですね。安保関連法案が通って、どう思いましたか?

芝田万奈さん(以下芝田):法案が通ってしまったことは、すごく悔しかったです。絶対に止める。本当にとめられるかもしれないと思って活動していましたから。でも、活動を続ける中で、政治家の方が変わったなという印象はあります。5月や6月に奥田君と一緒にいろんな政治家に会いに行って、「この法案はどうにかなりませんか?」という話をしていたんです。でもその時は、う~んとか、あぁそうだね、といった反応だったんですが、8月とかになってから、向こうから電話があって、「SEALDsどうするの? 手伝えることはない?」みたいな感じで、誘いの声がかかったんですよね。国会の外の声を聞いてくれていた。それはすごくよかったなと思います。

牛田悦正さん(以下牛田):あの頃、芝田さんは会うたびに泣いてたよね。

芝田:もう本当にやりたくないと思って。

奥田愛基さん(以下奥田):一番前に出て、働いてくれていたんです。警備の関係で警察に怒られたり、政党の派閥があったりするので、この時間にこの政党の誰々さんが来て、この人が来るなら、この人は来れない。この人には挨拶をしておかないと、みたいなことを調整してくれていました。

高橋:有能な秘書みたいな感じだったんだ。

奥田:いや、秘書というと、僕がこれをやりたいからスケジュールを調整しといて、という感じですけど、そうではなくて、どんどんスケジュールが決められていく(笑)。逆に裏BOSSだよね。

SEALDsがメンバーが語る未来

右:高橋源一郎さん、左:奥田愛基さん

芝田:明日はこれです!行ってこい。みたいな。

高橋:本当に忙しかったね。心はすり減ってるいない?

芝田:すり減ってないですね。わたし、結構強いんです。このふたりはデモが一番盛り上がっていた時、風邪を引いて熱を出したり、すぐに気持ち悪いとか言ってたんですけど、はぁ!?  と思って(笑)。最後は、わたしもさすがに疲れて、にんにく注射を打ったりしましたけど。

牛田:とにかくすげーことをやったんだ。やればできるんだ! と思いました。何より、日本の社会の中でデモが普通になってきたことが良かったですね。デモに影響力がないとか、デモに意味はあるのかとか、そういうことを言うこと自体がダサイぐらいにデモが一般的になった。「SEALDs」がどうこうというよりも、世の中がそう変わってきたことを実感しています。僕の周りだけかもしれないですけど、デモの話が普通になってきた。ただ、片手間にデモに参加することが僕のポリシーだったのに、今日も取材、明日も取材で勉強ができねー! みたいなことはあって、きつかったですね。基本的に昼の3時頃に起きて、まずはYoutubeを見て、夜7時に起動するので、活動を始めようと思ったら国会前に連れてかれていたので、1日を国会前で過ごして終わりみたいな(笑)。

奥田:デモに対して、日本ではマイナスイメージがあったと思うんですが、そこからスタートして、憲法学者の樋口陽一先生や小林節先生、哲学研究者の内田樹さんまで、60年安保の時以来40年ぶりにデモに参加する、ということがある意味、普通になるところまでいった。けれど、結局、力が及ばなかった部分もあって、ほんとに悔しいです。今まで若者は政治には無関心と言われきたんですが、それが政治うんぬんかんを超えて、声をあげることが普通という世の中に広がったことは、いい変化だと思います。

まだ終わってない。落胆もしていない

高橋:総括はそんなところだね。ここからは、今、活動していることを話してもらいたいと思います。みんな、今も活動は継続している。ただ、今までのように国会前に行ってということはなく、バラバラに活動している。牛田君、この前さ、ラジオでライムスターの宇多丸さんとSEALDsのコールの音楽的考察を話していたでしょう。政治の話がメインではなくて、政治の音楽的考察みたいなね。今、関心あることはそういう感じ?

牛田:僕は最初からそういう感じです。細かい政局の話はぶっちゃけどうでもいい(笑)。僕は政治をもっと広い意味でとらえているんです。音楽を奏でて、それによっていいなと思う人がいる。いいなと思う人がふたりいるとして、そのふたりがすごく対立してたとしても、その音楽を介して共感が生まれる。それ自体が政治的だと思うんです。

奥田:音楽に政治は関係ない。その発言事態が政治的な発言だったりするしね。

芝田:法案が通ってから1ヶ月以上が経ちまして、自分の中で「休めた」と感じた時は、あまりなかったです。燃え尽き症候群のようなものもなくて、ほかのメンバーもますますやる気になっています。今は次の参院選に向けて動き出しています。若者の投票率が低いと言われて続けているので、それなら、まずは大学とか投票所を増やしてみようと、いろんな政治家に会って一緒にやってくれないかという話をしたり、選挙委員会に働きかけています。役所だけでなく、大学、駅とか、町の中で投票ができたらいいいですね。来年の夏までは「SEALDs」のメンバーとして活動して、SNSでの情報発信、デモもやりつつ、学者の会、高校生グループの「T_ns SOWL」、ママの会とも一緒に協力して、活動をしていきたいですね。

高橋:終わっても、忙しいんだ。

芝田:全然終わってる感じはないですね。落胆したこともないです。

牛田:終わったなら、始めればいい。あの名言があるおかげで、みんなに「終わってんなら」と問いかけると、「始めるぞ!」と返ってきますから。

奥田:僕は「民主主義ってなんだ?」ということを、もっと勉強したいですね。あと、理念的な事や国会前でデモを起こすだけでなく、制度的なところでも、何かできるんじゃないかと思うんです。国会の審議中、どうやったら影響をあたえられるか。夢みたいな話かもしれないけれど、重要な法案を決める時は、世論調査を反映するとか、最低限タウンミーティングを増やすとか、世論が反対した場合は1年かけて説明をして国民投票をするとか、そういうことができないかな、と考えています。

「SEALDs」は来年夏に解散。彼らの未来とは

高橋:もっと先、50年後は何をしていると思う? どうしていたい?

牛田:牛田悦正全集を出す! 弟子たちが、僕の全集の編纂をやっているみたいな。

高橋:壮大な夢だなあ(笑)。

SEALDsがが語る未来

高橋源一郎さん

奥田:これ(『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』)も入るの?

牛田:初期の本は載せない(笑)。卒論はこれに載っていいレベルにしなきゃな。あと、音楽アルバム10枚ぐらいは出しておきたい。研究者や大学の教授になりたくて、授業はとりあえず僕のラップを聞いてもらう。研究内容としては、正直、民主主義にまったく興味がないので、経済の問題を研究したい。経済の中に入り込むよりも、経済というジャンルが成立する条件とかを研究したい。50年後は民主主義は当然できていることを前提に考えているんですが、今はそれすらもなくなってきているから、関わっています。

芝田:あまり考えたことはないですね。最初から、いわゆる「政治」には興味がなかったし、私の中では民主主義がメインテーマなわけではなかったんですけれど、震災があって、原発の問題が起こって、ちょっとおかしいなと。自分が生きたい社会じゃないぞ、と思って活動を始めたんです。今は課題が民主主義だけれど、今後は変わっていたらいいなと思います。「SEALDs」は、あくまでわたしが使っているツールでしかない。

奥田:50年後、生きてるのかな。来年まで生きてられるのか? みたいなことも思ったりもするんですけど。今年の夏死ぬんじゃないかな、と思いましたから。

芝田:よく生きてたよね。

牛田:確かに体弱いし、体力はないけど。

牛田&芝田:生命力が強い(笑)。

牛田:体調が悪いかも、と言いながら、人が倒れてるのを大丈夫? って看ていられるみたいな。

奥田:意外にしぶといのよね。50年後……。そのときのメディアがどうなってるのかとか興味あるなー。90年代はインターネットで革命が起きる! みたいなことですごく希望的に語られることが多くて。でも、それは半分ぐらい当たってるけど、インターネットが生まれたことで、民主主義が達成しましたか「?」みたいなところもあると思うんです。自分たちなりのメディアのあり方、集まれる場所が必要だと思っています。デモという緊急的なアクションも大切だけど、どうやってその情報をある程度みんなで共有したりするのかとか。動画制作が元から趣味なので、もっと動画に絡めたメディアを作ったりとか。

SEALDsがが語る未来

奥田愛基さん

牛田:ユーチューバーになりたいってこと?

芝田:今の言い方だと、ユーチューバーだよね。

奥田:そう言われたら、今言ったこと全部一気にやめたくなったわ(笑)。あとは、これから50年で田舎が超過疎化してくると思うんですよね。全国の全市町村の40%なくなるみたいな話があるじゃないですか。僕は、中学生のときに家を飛び出して、高校生まで八重山諸島の鳩間島という、人口50人のちっちゃな島で暮らしていたので、どうなるんだろう? ということにすごく関心がありますね。50年後、超過疎化した田舎で、人はどう飯を食っていくか。ひょっとしたら2040年には「どうやって明日生き残るか?」みたいなことを一生懸命話してるかもしれないですね。まあ、なんにせよ全部なハッピーな社会には生きてないと思うのでそれなりに頑張って生きます。

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

「まだ終わってない。落胆もしてない」SEALDsが語る日本社会の未来

関連する記事

編集部オススメ

多少の肌トラブルがあっても若さで乗り切れるのは20代まで。用賀ヒルサイドクリニック院長の鈴木稚子先生と一緒に、30代からは自己流の習慣を見直しましょう。

激務の通勤生活、今年で何年目? ふと気づけば、プライベートの暮らしは仕事に押しつぶされてぺちゃんこに。何のために頑張っているのかわからなくなることさえありますよね。「いつまでこんななんだろう」「働き方を変えたい」「でも方法が分からない」この連載では、そんな悩みや迷いをえいやっ!と乗り越えて、“ライフ”に“ワーク”をぐんと引き寄せてしまった彼女たちに話を伺います。

記事ランキング
人が回答しています