脊山麻理子×北条かや対談

仕事で“女性らしさ”を活かすのは卑怯? 脊山麻理子×北条かや対談

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仕事で“女性らしさ”を活かすのは卑怯? 脊山麻理子×北条かや対談

「女性だから……」と言われて優遇された、または不遇な目に遭った経験はありませんか。仕事では、女性であることを活かす人や活かすことに抵抗を感じる人もいるかと思います。

今回は、“女性”を売りにするとはどういうことかを分析した本『キャバ嬢の社会学』(星海社)の著者である北条かやさんと、元日本テレビアナウンサーである脊山麻理子さんに、「女性が仕事をすること」について対談していただきました。

脊山さんは現在、フリーアナウンサーとして活躍する一方、グラビア写真集を発売するなど美貌を活かした活動でも注目を集めています。また北条さんも、先に紹介した『キャバ嬢の―』は、自身がキャバクラで働いた体験を元に執筆。帯カバーにキャバ嬢風の写真を掲載し、デビュー作ながら大きな話題となりました。

TOKYO MX『モーニングCROSS』での共演で知り合ったという二人は、端から見れば“女性らしさ”をうまく乗りこなしているようにも見ます。しかし、「個人を見てもらいたい」「性的に見られたくない」などの悩みもあったようです。第三回でお送りする対談の一回目は、「仕事で女性らしさを出すことへの罪悪感」をテーマに語り合います。性的な部分を売りにすることに抵抗があったという脊山さんの転機となるエピソードとは?

「女性を活かす」ことが肯定されるとき、否定されるとき

ーー働くにあたって女性であることを意識する機会や女性らしさを活かすことはありますか。

脊山麻理子さん(以下、脊山)
:私がいるテレビ業界は、男性は男性らしく、女性は女性らしくといった風土で、女性は可愛くしている人が多いですね。例えば、男性は力が強いなら重いものを持つ、頭のいい人は頭を活かす、外見がいい人は外見を活かす、それと一緒で女性らしさを活かすという価値観です。また、個人的にも男女平等が語られるとき、男女同じようにするのが必ずしも平等ではないと思います。なぜ女医と言うけど男医とは言わないの?と言う人もいますが、女性の医者が少なくて珍しいから女医と言うのであって、あえて女医と言うのをやめましょう、とするのとは違うと思います。そして、珍しいがゆえに目立ったり得したりするのは当然だと思います。

北条かやさん(以下、北条):私も仕事では女としてたぶん得してきたところがありますね。ライターとしてフリーランスでやっている人は、男性が多いんです。女性である私の場合は女性問題について書いてくださいという仕事を受けることも多いです。私自身もそれを女が斬るから面白いと思ってこだわって書かせていただいています。ただ、それで批判されることもあります。私は社会学を6年やって出版デビューしたんですが、その時の書籍『キャバ嬢の社会学』の帯カバーに、私自身の“キャバ嬢”風の写真を載せたんですね。すると、色々な男性の学者から「ずるい」「汚い」と批判を受けました。脊山さんがおっしゃったように私は女性の特性を出しただけと思っていたんですが、なぜか反論することはできなかったんです。結局は、帯の写真で女を出すことに対して、女を売りにすることの罪悪感がありました。

無機質な人形への憧れを抱く、女として見られたくない心

脊山:初めてかやちゃんと会ったとき、「私は女性を売っているんじゃないんです」っていう訴えを外見から強く感じました。少し病的に痩せている感じがして、痩せている人は相手に対して性の対象としてみられたくないといった思いを持っている人がいるから。かやちゃんを密着する数分のドキュメンタリーを番組でつくったときに、自宅の部屋のシーンがあったんですけど、「私は部屋を可愛くするような人じゃないですよ」という言葉が聞こえてくるような、シンプルな部屋で。部屋を人にみせるときって何かしらのこういう風に見られたいっていう自己演出が入るんです。かやちゃんは趣味が球体関節人形集めなんだよね。

北条:はい、球体関節人形に憧れていて、メイクや服装もそこに寄せている部分はあります。外見はメイクや洋服で女らしく振舞うけれど、性的には侵入してこないでという思いがあるのかもしれません。男性から求められることを拒絶したくて、女性として魅力がない痩せた体型でいよう、という歪んだ自己主張をしているのかも。

脊山:実は、私も女子アナになりたてのときにブライス人形にハマっていた時期があって。そしてそれはちょうど男の人からモテたり女性として羨望のまなざしでみられたりするときでした。若かったこともあり、「女子アナ・脊山麻理子」としてではなく、「脊山麻理子」個人をみてもらいたいんだという気持ちがあったけれど、うまくいかなくて。毎日笑顔を頑張って振りまいている日常が、感情なく無機質に笑える人形への憧れにつながっていたのかも。かやちゃんが球体関節人形に自己投影するのも、同じような理由かなって思ったんです。

歳とともに変化 女らしくなることの受容と意欲

脊山麻理子×北条かや対談

脊山さんの写真集をめくりながら話すお二人

ーー脊山さんも北条さんのように、外見を評価されることに悩む時期があったんですね。考え方が変わるきっかけはありましたか。

脊山:いまはこうして水着のお仕事もさせていただいていますが、17歳のとき『プレイボーイ』に出た際は、実は水着は嫌だと断ったんです。性的な部分を売りにすることに抵抗があったし、まず自分は巨乳ではないし……と。自信がなかったんです。その頃小池栄子さんとか、巨乳のグラビアアイドルが活躍していたことも関係しているのかな。

ひとつめの転機は、アナウンサーになったばかりの23歳のころ。杉本彩さんに仕事でインタビューをさせていただいたとき。セクシーで、かつ優しい包容力に圧倒されました。これまで、セクシーというのは男性対象の魅力なのかなと思っていたのですが、女性の私をも包み込むセクシーさをもった彩さんに出会ってからは女らしさを前向きに捉えることができるようになりました。

次の転機は、26歳くらい。若さとチャンスの両方を持っていて女子アナとしての恩恵を最大に受けているときでした。RIKACOさんとパリのロケにご一緒したとき、40歳近かった彼女に対して完敗したと感じたんです。肌や髪がピカピカですごく美しくてお洋服も恰好よく着こなされているんです。どうしたらそうなれるかと質問したら「自分を磨くこと、何もしないのは怠慢だよ」と言われました。それ以来、RIKACOさんと同じジムに通い始めました。これから歳をとっていくにあたって最高の努力をしようと思ったんです。精神面では杉本彩さん、肉体面ではRIKACOさんからの影響が大きいです。

最後は、29歳の転機です。独立のタイミングで、30歳からは自立した大人としてやっていこう、30歳からは女として扱ってくれないだろうと自信喪失もしていたときです。今考えればおかしい話なのですが……。なので、30歳以降になってからグラビアのお仕事の依頼がきたとき、私をまだ女として評価してくれるんだと思って嬉しかったんです。それで頑張ろう! と。しかも『アイドルすぎる33歳』というタイトルを付けていただき、アイドルとして10代で挫折したことがあったのにも関わらず……。

北条:私も以前、脊山さんと同じように「美しさのためにどういう努力をされているのですか」と質問したことがありましたね。

脊山:確かにそうですね。今、もう自分が言う側になったんだと気づきました。(笑)

脊山麻理子×北条かや対談

「私ももう、言う立場になっていたんですね」と脊山さん

【中編はこちら】「女は得だ」と批判されても“女の得”を手放すな 脊山麻理子×北条かやが語る

(撮影:竹内洋平)

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