『Mr.Babe』編集長・倉科典仁さんインタビュー

「ぽっちゃりは“+α”で武器に変わる」 新雑誌『Mr.Babe』編集長インタビュー

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「ぽっちゃりは“+α”で武器に変わる」 新雑誌『Mr.Babe』編集長インタビュー

ぽっちゃりした男性、通称“ポチャメン”向けのファッション&ライフスタイル誌『Mr.Babe』(ミスターベイブ)が26日に創刊された。モデル=スタイルが良いという概念を覆す同誌は、コーディネート企画、ストリートスナップ、元プロレスラー・佐々木健介さんやTKO・木下隆行さんらのグラビア&インタビュー、ぽっちゃり男子好きの女性のリアルな声など、盛りだくさんの内容。デザインもおしゃれで、女性が読んでも「ポッチャリ男子っていいかも!」と魅力を発見できるパワーにあふれている。

そんな同誌の編集長をつとめるのは、“メンナク”の愛称で知られる『MEN’S KNUCKLE』を立ち上げた編集者としても知られている倉科典仁さんだ。『ウートピ』では倉科さんへのインタビューを前後編で掲載。前編では、ぽっちゃり男子の良さや、「イケメンじゃなくてもモテる」ことなど『Mr.Babe』で伝えたいことうかがった。(編集部)

“ポチャメン”雑誌、創刊の意図は

『Mr.Babe』表紙

日本人男性の3人に1人はBMI25以上

――”ぽっちゃり体型”の男性をターゲットにした『Mr.Babe』ですが、創刊の理由を聞かせてください。

倉科典仁さん(以下倉科):5年くらい前からこのテーマでやりたいと考えていたんです。30代、40代になったら、お腹や胸……僕らは「ワガママボディ」って解釈をしてるんですけど、「ワガママなところ」が膨れ始めるじゃないですか(笑)。それに合わせた洋服ってなかなか見つけにくかったりするんですよね。

だけど働き盛りの30代、40代って、もう睡眠時間を削ってジムに通いみたいなこともできないし、だから服に身体を合わせるじゃなく、服を身体に合わせよう、という提案です。

今や日本人男性の3人に1人はBMI25以上というのは純然たる事実、だけどその3分の1の方に対して、雑誌が何も提案しないのかというのは前々から疑問でした。それにランチの量や電車のシートの幅、エアコンの温度設定……あげたらキリがないほど、世の中全体が「普通サイズ」の方たち基準で色々なものが作られているじゃないですか。洋服のサイズ感もそのひとつですよね。

――たしかに。

倉科:僕自身、ぽっちゃり体型ということもあって、普通の体型の方ではわからないことが沢山あるんですよ。”ぽっちゃり”の中にも色々なタイプがあるんです、昔柔道をしていたから腿ががっしりしているだとか、お腹だけぽっこりしてるとか、色々な人がいるんです。そういう気持ちって当事者じゃないとわからないと思うんですよ。

ポチャメン”雑誌、創刊の意図は

編集長・倉科典仁さん

――キャッチコピーも「30代からの”ぽっちゃりメンズ”のためのファッション&ライフスタイルマガジン」と直球ですね。コンセプトが独特な雑誌ですが、周囲の反対はありましたか?

倉科:反対というよりは「理解できない」という言い方が正しいかな。「デブの本? 誰が読むの?」みたいな反応ですね。とはいえ、大きいサイズを扱っているブランドさんの数字がどこも右肩上がりだという数字をみると、理解してくれましたけど。

ぽっちゃりにも“良し悪し”がある

――表紙のジャック・ブラックさんが象徴的ですけど、キメ顔よりも笑顔のモデルさんが多いのも特徴ですね。

倉科:ジャック・ブラックさんってコメディ映画の人ですけど、かっこいい役も演じられますし、ハリウッドの中でもとても人気のある俳優じゃないですか。マイホームパパでもありますし、色々な奥行きを持っているんです。そんな風に男性にも女性にも受ける人、エンターテイメントなぽっちゃりを目指しています。”ぽっちゃり”だって清潔感と明るさが標準装備されていたら、人生の足かせにはならないんじゃないかな。

ポチャメン”雑誌、創刊の意図は

『Mr.Babe』誌面より

――なるほど。

倉科:それに「Mr.Babe」を作るに当たって、30歳前後の「大人女子」に「ぽっちゃり男性ってどう思う?」という話をヒアリングした結果、大人の女性の大半は、別にぽっちゃりしてるからダメだってことはないんですよね。女性たちのアンケートの結果で言えば、清潔感で前向きで明るくて健康的な”ぽっちゃり”は優しさや余裕を感じるし、包容力があるような気がすると。

なので、病的なぽっちゃりじゃなければ、結婚対象にいいのかもしれないと。浮気もしないだろうし、自分にコンプレックスがあるから人にも優しくできるのでは、というイメージを持っている。

――本誌にも「良いぽっちゃり・悪いぽっちゃり」という企画もありますね。モテナイポチャメンはネガティブだと。

倉科:今って、インタビューに出てくれたTKOの木下さんもそうですし、バナナマンの日村さんやザキヤマさんもけっして暗くないし、自分がデブであることをギャグにしたりして、親しみやすさを出して武器にしていますよね。

芸人さんだけではなく、世の中前向きなぽっちゃりさんはたくさんいるじゃないですか。そういう雰囲気を共有したほうが前向きな気持ちになりますし。

今回一冊作ってみて、なおさらその気持ちが強くなりました。女性に対してもリアルにインタビューしていますけど、最初は疑ってかかってたんですよ(笑)。キレイ事で「ぽっちゃりが好き」って言ってるのかな、と。でも「そうじゃない、何度も付き合ってきたし、嫌なところもいいところも知ってる。なんならウチの旦那はぽっちゃりです」って写メを見せてくれたり。そういう話を聞いていると、僕自身もどこか引け目を感じていた部分がどんどんなくなってくるというか、コンプレックスが開放されてくるんですよね。こんな気持ちを読者の人に感じてもらえれば、良い人生が切り開けるのではないかと。

イケメンではなくても”イイ顔”ならモテる

――無理に”イケメン”を目指さなくてもいいというか。

倉科:イケメンって生まれ持ったところも大きいでしょう。イケメンじゃなくても”イイ顔”ってあるじゃないですか。

本誌に出てくれた島田洋七さんもおっしゃってましたけど、師匠が全盛期の時はモテたそうです。人気漫才師っていうのもありますが、”イイ顔”してるよね、と。だからイケメンじゃなくてもネガティブにならずに、何かに向かって努力していたり、前向きだったり行動するとおのずと異性からもモテてくるのではと思います。

――美男子やイケメンではなく”イイ男”なんですね。

倉科:”イイ男”ってイケメンってだけじゃないですからね。僕が以前やっていた『MEN’S KNUCKLE』という雑誌はモデルにホストくんたちを起用してるんですけど、だいたいお店でナンバーワンの人ってものすごくイケメンという人ばかりでもないんですよね。「なぜこの人がナンバーワンなんですか?」とお店の人に尋ねると、とにかく努力していると。トークや周りに対する気遣い、ホスピタリティですよね。努力するからナンバーワンでいられる期間も長いですし、最初のつかみは悪くたって、一度テーブルに座ると受けが良くて指名が入るんだと。

逆に顔の良いイケメンくんたちもたくさんいますが、そこにおんぶにだっこというか、ルックスだけでチヤホヤされていると、サービス業という本来の部分を怠ってしまうこともあるかもしれないな、と思うことがありますね。もちろん、全員が全員じゃないですが。

ポチャメン”雑誌、創刊の意図は

『Mr.Babe』誌面より

――コンプレックスや短所を武器にしていこうというポリシーがこの雑誌にも出ていますね。

倉科:これも木下さんの発言なんですけど、いくらハートが良くても、最初の第一印象はやっぱり見た目。洋服はプレゼンテーションの材料になると思っているので、そこを入り口にして、人と親しくなる。そこから色んな話ができるようになるし、内面の魅力も伝わると、だから洋服って大切ですよね。

――逆に、ぽっちゃりした女性はどうでしょうか?

倉科:その質問、最近よくされるんですけど、そこはあまり関係ないんですよ。例えば、今のところぽっちゃり女性の雑誌「ラ・ファーファ」さんと合同で企画をみたいなことも考えていなくて、ぽっちゃり男性だからぽっちゃり女性と、という方針はありません。

――誌面を見ると、キャッチコピーも勢いがあって、気持ちが明るくなるなと感じました。

僕はクルマが好きなんですけど、人間って車に例えられるのかなと思っているんです。例えばイタリア車とかドイツ車、フォルムもかっこいいし、スピードも早いし、街を走っていたら振り返りますよね。これは人間に例えるなら、ファッションモデルのようなスタイルの良い美女かもしれない。たしかにすてきですけど、ふつうの国産の1700ccくらいの車って、燃費もいいし税金も安い、神経質にならなくても安心して乗れて、それはそれで良いじゃないですか。男に当てはめるとしたら、イケメンはフェラーリで、ぽっちゃりは安心できる優しい国産車なのかもなって考えているんです。

『Mr.Babe』が提案したいのは、国産車ボディにフェラーリ的なオプションパーツをつける、みたいなことなんです。ファッションもそうですし、ぽっちゃりだけどダンスが上手いとか、語学が堪能とか……、そういうギャップって魅力的じゃないですか。自分で一つ武器を持つと、自分自身も楽しくなるし、おのずと女性にも自信が持てるようになると思うんです。

――同じことが女性にもいえますよね「私太っているし…」って思うよりは、ポジティブになったほうが良いと。

倉科:そうしたら見方が変わるかもしれないですよね。何か一つ得意なことがあれば、それを全面に出したほうがいい。

ぽっちゃりはこう見えてもデリケートなんですよね。ぽっちゃりであることに怯えてるし、すぐ落ち込んだり。僕もそういう時期がありました。だから「Mr.Babe」は読者の背中を押してあげる雑誌になれるといいなと思っています。

>>>後編に続く

(藤谷千明)

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