ブルボンヌ連載「ワガママと自由の境界線」 第30回美人に仕事をとられる

真の敵は“美人”じゃなく下世話な男上司よ ややブス自覚女の人生相談

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真の敵は“美人”じゃなく下世話な男上司よ ややブス自覚女の人生相談

ブルボンヌ連載「ワガママと自由の境界線」

■ややブスの私。美人に仕事をとられました

私はブスです。ただ女芸人のハリセンボンほどではない、印象に残らないくらいのややブスです。なので、どちらかというと、コミュニケーションとかセンスの良さで自分を出してきました。しかし、最近入ってきた男の上司が、若い美人の子をひいきするのが解せません。彼女が遅刻しても怒らないですし、何かと甘いです。さらに経験がないのに私の仕事を彼女にわたしてしまいました。愛やモテでは美人にすべて譲っているのに仕事までも全部もっていって、腹が立っています。ややブスの私はどう生きていけばいいでしょうか。(メーカー営業 27歳)

はるかと春菜じゃ、ブスの質が全然違うわよ

ステキよー!「ややブス」自覚っぷりがステキ。でも「ハリセンボンほどではない」って二人の人間をまとめる乱暴さはどうかと思うわ。はるかと春菜じゃ、ブスの質が全然違うよ!(結局一緒にディスってる)

まあ、個人的な「好み」とは別にした、一般的美醜の基準ってのは、「顔のパーツの黄金比」とか、「全女性の顔を重ね合わせた平均値的な顔が理想」だとか、「売れっ子有名人のパーツ配置が流行」とか、時代とコミュニティごとにそこそこ明確にあるからね。この時代の日本の、物理的美醜の評価傾向を理解して、自分の造形がすっぴんだと偏差値どのくらいで、メイク偽装すればどのくらいっぽく見えるか、っていう客観視ができてるってーのは、生き抜く上での自分戦略を立てるにはとても良いことだと思うの。(「ややブス」自称をそこまで拡げて褒める。)

ここまで理路整然とご自身の「ややブス」ポジションを語れるあなただから、現物を拝むまでもなく、本当に「ややブス」なんでしょうね。でも、目の前に現れた「若い美人」に、「わかっちゃいるけど、あんまりだ」な現実を思い知らされてしまったわけね。

実は私も「ややブス」なの

ここで再確認しておきたいのは、アタシは偽装メイクと詐欺ショットでキレイな女装扱いを受けることもたまーにありますが、プライベートでは疲れた43歳のひ弱なゲイおじさんで、男らしい筋肉質が人気のゲイ業界内では、造形的にも生業的にも「ややブス」か「めんどくさいプロ」扱いを受けている、あなたに近いマインドだってことなの。

ただ自分の場合は、「若いイケメン」には嫉妬を覚える以上に、自分がその子をかわいいと思っちゃう同性愛ならではの切り替えができなくもないのよね。でもあなたからしたら、若い美人は敵以外の何者でもない。そして愛やモテならともかく、美醜が関係ないはずの仕事まで奪うなんて!とショバを荒らされたことにご立腹なのよね。

どんな職業だって美醜で扱いの差はあるわね

でも、仕事が美醜の関係ない分野なのか、といえば、やっぱり関係あることがほとんどじゃない?いわゆる、モデルや女優、アイドル、コンパニオン、水商売は言うに及ばず、人前に出ることが多い受付・窓口や広報なんかも美醜が仕事スキルとして大きく動いてる。そしてそれ以外の多くの仕事でも、表面的には美醜が無関係とされていても、現場レベルでは美醜によって契約が動いたり、役職の引き立てがあったりするのよ。これは、仕事が人間同士のコミュニケーションでなりたっていることがほとんどで、人間は相手の美醜に感情が左右されがちである以上、仕方がない現実。RPGだと、体力知力ばかり上げがちだけど、現実社会はカリスマの値もすごく重要ってことよね。

ただ、あなたの今回の相談内容も含めて、こういう現場レベルの話の場合は、個人の「好み」が大きく関わってくるわね。ちょっと極端な例だけど、昔からゲイって噂のある作家さんについて、前に出版業界の方に聞いたら、その方は担当編集者を肉付きのいい男らしいタイプじゃないと受け入れなかった、なんて話もあって。そういう人に対しては、たとえ「ふふふ。どんな先生もアタシの色香でこましてやるわ」みたいな枕すれすれ美女編集がいても、手も足も出ないわけよ。

つまり、美醜問題ってのは「一般評価」レベルの話と、現場の個別案件があって、前者はセンター試験的、後者に関しては科目も評価もバラバラな私立大の試験、って例えてもいいと思うの。そして、これまた極端な例を出せば、一般評価の高いフェミニン系イケメンが、野郎ウケするゲイ業界にいると意外と非モテの卑屈になってしまうように、実感としての幸福度は、当人が肌で感じる現場での愛され感こそが重要なんじゃないかと。

真の敵は男上司の下世話さよ

実は今回の件も「最近入ってきた男の上司」というたった一人の「好み」や「性格」によって引き起こされた問題よね。これが「最近入ってきたオネエの上司」だったら、ものすごく気が合った上に、一緒になって「あいつ美人なだけでなんでもできねーわよね!」と魔女会議もできたかもしれない。

そういう意味では、自身の美醜に悩んだり、若い美女を逆恨みするのは本来はナンセンスで、真の敵は、その上司のベタな好みと、仕事にそれを持ち込むベタな下世話さなのよ。そしてこういう不運な巡り合わせは、今回はたまたま好みによる女性部下の美醜差別だったけれど、学歴差別や性別差別、趣味差別、いろんなテーマでいくらでも起こり得る人間関係だってことよね。

「ややブス」自意識に囚われすぎずに!

多分、アタシもあなたも「ややブス」という「ええええ、分かってますとも」な自意識が、ともすれば「そうよね、アタシはややブスだから!」と、必要以上にひがませてる面もあると思うの。ドライな客観視ができてるようでいて、実はそのテーマに囚われまくってるというか。

よく考えたら、ただの古くてベタな、たった一人の新人上司の判断ってだけだもの。そんなことのために、あなたの人生全てに暗雲を感じる必要もないし、たまたま造形については一般美醜で高得点を得てる同僚を敵視する必要もないのよ。

なーんて人様に言いながら、美醜問題は大なり小なり、一喜一憂の元にもなって一生つきまとうことも分かってるんだけどねー。どうせ完全取っ替えは無理な話、なるべく自分自身が楽しくいられる心向きと環境作りに精を出しましょ。

エンジョイ・ハッピー・ややブス・ライフ〜!

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その、呪われたドレスを、脱ごう。