『マルガリータで乾杯を!』主演・カルキ・ケクランさんインタビュー(後編)

女性が“ヒーローのお飾り”に終わらない作品が増えてきた 変わりつつあるインド映画と社会

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女性が“ヒーローのお飾り”に終わらない作品が増えてきた 変わりつつあるインド映画と社会
カルキ・ケクランさんインタビュー

カルキ・ケクランさん

主演映画『マルガリータで乾杯を!』では、生まれつき身体に障がいを抱えながらも、アグレッシブに生きる少女の成長を演じているカルキさん。作品の内容は、身体障がい者のセックスや、同性愛にまで及ぶが、こうしたテーマに対するインドの観客の反応は如何なものだったのだろう?

【前編はこちら】「異色の“ボリウッド”仏人女優、カルキ・ケクランさんが語るインド社会「女性の多様性への理解が浅い」

インドでは同性愛は違法だが…変わりつつある社会

——『マルガリータで乾杯を!』では、身体障がい者のセックスや同性愛が正面から語られています。インドで公開された時に、どんな反響がありましたか?また、インドではセックスや同性愛についてオープンに語る空気が出来つつあるのでしょうか?

カルキ・ケクランさん(以下、カルキ):映画の公開前には、1週間程度のロードショーだろうと言われていたんです。でも、観客の反応が良かったので、結果、5週間上映されました。世代を越えて愛していただき、特に主人公と彼女を支える母親の絆が感動を呼んだようです。私が一番嬉しかったのは、イスラム教徒でアンチゲイの私の運転手が、この映画を観て号泣して出てきたこと(笑)。「人がどんな風に苦労を乗り越えて成長していくのが分かった」と言ってくれました。

ただ、インドでは同性愛は違法なんです。LGBTを支援する団体やプライベートな組織ももちろんあるのですが、まだ自由に話せるテーマではありません。障がい者は社会に出さない傾向もあるので、家に閉じこもってしまう。この映画のヒロインのモデルは監督の従妹なのですが、彼女の母親は障がい者と健常者が交流できる組織を設立した人物です。そうした活動のおかげで、社会全体の変化も見えつつはあります。

多様性を受け入れるためには、まず「接すること」

カルキ・ケクランさんインタビュー

カルキ・ケクランさん

―—映画では、障がい者と健常者、性的指向、宗教など、さまざまな違いを乗り越える様子が描かれています。インドは多様な文化・風習・民族が混在する社会ですが、その環境で育ったカルキさんが考える、ダイバーシティ(多様性)推進のために個人ができることは何でしょうか?

カルキ:他者の違いを受け入れいるか、拒絶するかというのは、その人の生まれ持った性格でもあるのですが、大事なのは「認識すること」ではないでしょうか。障がい者に対してもそうですが、特に小さい頃から、学校でも障がい者とともに学べるようにすることが大切。接する機会がなく、相手を理解できなければ壁を築いてしまいます。もちろん、学校だけではなく、親の教育も大事です。インドでは、女の子より男の子を大切にする傾向があるのですが、平等に扱うべきだという意識も芽生えてきています。小さい頃の経験が後の人生に影響するので、幼い頃から教えるべきです。

——またカルキさんご自身の話を伺いますが、大学は英国に留学し、演劇活動をされています。欧州にとどまって女優を続けることもできたと思いますが、インドを選ばれたのはなぜ?

カルキ:「あえて」というより、故郷なので心に従ってインドに戻りました。まず演劇の世界に入り、広告などで生計を立てながら活動していましたが、たまたま映画のオーディションを受けて映画業界に入りました。5年後のことは考えられない性格で(笑)、目標を立ててしまうと、いろいろな可能性に気づくことなく、人生を制限してしまうように感じてしまいます。ですから、巡ってくるチャンスを活かして生きていくというのが私のやり方です。

女性が活躍できるとはいえ、ボリウッドもやはり男性の力が強い社会です。女性はヒーローのお飾り的存在の映画が多かったのですが、ここ5年くらいでその傾向が少し変わりつつあります。『マダム・イン・ニューヨーク』以外にも、『女神は二度微笑む』(12年)、『Queen』(14々 ・日本未公開)といった女性が主役の映画が増えています。少しずつ意識が変わりつつある。インド映画はこれからが楽しみな時代になると思います。

■作品情報
マルガリータで乾杯を!
脚本・監督:ショナリ・ボース
出演:カルキ・ケクラン、レーヴァティほか
配給:彩プロ
2014年/インド/100分
10月24日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
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