できる女性に相応しい服装ふるまいとは

牧志穂さん

近年急増する女性取締役、執行役員、本部長等上級管理職を対象に、博報堂が記者会見での振舞い、対応や服装、身だしなみなどのコンサルティングを行うトップ広報プログラム「女性エグゼクティブ編」の提供を2015年8月より始めた。「公の場で何を着たらいいのかわからない」というニーズに答え、メーカーと提携し実際にスーツまでも開発。洋服だけでなく、下着の選び方にまでふれる徹底ぶりだ。プログラムについて博報堂PR戦略局の牧志穂さんにお話を聞いた。

そもそも、働く女性の服装ルールが確立していない

――トップ広報プログラム「女性エグゼクティブ編」を始めた背景について教えてください。

牧志穂さん(以下、牧):もともと、男性エグゼクティブの方に向けて以前からプログラムを提供していたのですが、3年くらい前から、女性の方の参加が増えてきたんです。「役員に女性がいるので女性向けのプログラムが欲しい」との声も多くいただいており、今回、女性向けのプログラムをリリースさせていただきました。

企業が打ち出したい広報戦略に伴い、どのようなふるまいがトップに求められるか、という点では男性と女性で共通しているところもありますが、特に服装に関しては、「働く女性の服装のルール」というものがそもそも確立していないんですよね。

――確かに、オフィスでの女性のファッションは自由度が高いともいえますが、その分、あらたまった席で何を着ればいいのか、というルールは男性に比べぼんやりしていますね。

:ファッション雑誌を見ても40歳より上の世代ですと、スーツスタイルは「参観日、謝恩会、お受験」といったシーンが多く、働く方の、特に人前に出ることの多い立場にある方の服装は見つからないんですよね。なので、一気にパーティー服のようにきらびやかになりすぎてしまったり……。

――新内閣発足時の女性閣僚のような感じといいますか……。

:もちろん、パーティーの場ならそれでいいのですが。また、女性エグゼクティブの方の立場によっても服装は変わってきます。たとえばオーナーカンパニーの女性社長で、個性的なキャラクターを前面に出して名物社長と広く知られているケースもありますよね。こういった場合は自由に着ていただくのがいいかと思います。一方、今まさに増えてきている、一般的な企業における女性役員というお立場では、「男性社長や他の役員がいて、その中の自分」という位置づけに配慮する必要が出てきます。「具体的に何を着ればいいのか分からない」という声も多くいただきましたので、国際イメージコンサルタントの日野江都子さん監修の元、女性エグゼクティブのための装いルールをまとめました。また、オーダー服の銀座英國屋さんでは、日野江都子さんのルールにのっとったオリジナルのスーツを開発しています。

できる女性に相応しい服装ふるまいとは

オリジナルのスーツ

応接室での対応が多い上級管理職はスカートの丈に注意が必要

――こちらのスーツ、出過ぎないながらも女性らしい品があって、株主総会から謝罪会見までこなせそうな幅広さを感じますね。スカートの丈も品のいい長さですね。

:スカートの丈には気を使いました。エグゼクティブの方の場合、会議室ではなく応接室で取材を受けるというシーンも想定されます。応接室ですと、椅子ではなくソファーですよね。スカートの丈が短めですと、ソファーに座ったときに脚が出すぎてしまい、気になってしまって……、ということになりかねません。

――応接室というのがエグゼクティブならではの状況ですね。こちらのプログラムではスーツだけでなく、下着の選び方までアドバイスされている、とあって驚いたのですが……?

:スマートにスーツを着こなしていただくためには、土台となる身体のラインを整えるための下着も重要になってきます。百貨店さんのご協力のもと、ボディメイクに必要なアイテムをご紹介する体制も用意しています。

――応接室のスカートの丈、記者会見の補正下着といい、状況の想定と対応がとても細やかなんですね。

:また、靴についてもご質問をよくいただきます。こちらも、謝罪会見であれば太目のヒールで安定感を出すというように、シーンごとに規定しています。

明日から使える! 会議中「できる女性」と思われる手の使い方

――服装以外で、男性と女性で異なるところはありますか?

:言葉遣い、振舞いも違う所が多いですね。たとえば座っているときの腕の位置ですが、男性の場合ひざの上に手を軽く握った状態にして置いておくのに対し、女性でしたらひざは閉じて、手も重ねて置くと美しいです。

――こちら、実際にやってみると、指先は机の下で隠れているはずなのに、正面から見た時の体の見え方が全然変わってきますね。

:また、これは男女共通ですが長時間の会見になると、手をテーブルの上に出して、指先を組んだ状態にしても安定しますね。逆にいけないのは手持ちぶさたになって手元の資料などを必要もなく取ったり置いたりしてしまうことです。落ち着きがないように見えてしまいます。

――「テーブルの上に手を出して指先を組む」はニュースキャスターもよくしていますね。最後に、このプログラムの今後の展開について教えてください。

:女性エグゼクティブの方はまだ数は少ないですが、急増しています。現場で評価され、若くして役員になる女性も今後増えてくるでしょう。プレゼンの経験などがほとんどないまま管理職になる、というケースも出てくるかもしれません。ただ、せっかく現場で高い評価があってそのポジションについたのに、服装やふるまい、プレゼンなどの表現の技術がないだけで軽んじられてしまってはもったいないですよね。そういった方のお手伝いをさせていただければ、と思います。そして、「女性のビジネスシーンでの服装」という分野を確立していきたいですね。

石徹白 未亜

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