写真は陰山康成理事長(高輪クリニックHPより)

写真は陰山康成理事長(高輪クリニックFacebookより)

2003年にヒトDNAの99.9%を読み取ることに成功してから、多様化する遺伝子検査。現在、ネットでも低価格の検査キットが簡単に手に入るようになりました。昨年はアンジェリーナ・ジョリーが、遺伝子検査で乳癌のリスクが高いと分かり、乳房を切除し話題になったことも記憶に新しいのではないでしょうか。

いま再び注目を集める遺伝子検査ついて、8年前から実施している高輪クリニック理事長の陰山康成先生にお話を伺いました。

そもそも遺伝子検査ってどんなもの?

――現在、世の中にはどのような種類の遺伝子検査が存在しているのですか?

陰山康成先生(以下、陰山):一般的に行われているものは「性格」「かかりやすい病気」「肥満の傾向」「アルコール感受性」の4つを調べるための遺伝子検査です。遺伝子には、「生まれてから死ぬまで変わることのないDNA」と、「環境によって左右されるRNA」の2種類があります。近日身近になっている遺伝子検査は、前者のDNAの検査によって判明するものとなります。

――検査から診断まではどのような流れでしょうか?

陰山:まず、唾液や口腔内の粘膜、爪などを採取します。そこから約10日後に判明する結果をもとに、今後の健康設計についてのカウンセリングを行います。

――「結果を出すだけで終わり」ではないんですね。

陰山:結果を示すだけではなく、遺伝子検査においてはカウンセリングが非常に大事だと考えています。例えば、肥満に関わる遺伝子が分かったら、患者さんには今後のダイエットや食生活などをどのように変えていく必要があるのかをアドバイスしていきます。

体質に合ったダイエット法や自分のアルコール耐性を知る

――肥満に関わる遺伝子を調べると、具体的にどんなことが分かるのでしょうか?

陰山:遺伝子自体は計5種類ありますが、それぞれの遺伝子をいくつ持つか、人によって数が異なります。そのため、肥満体質の傾向は全部で243パターンにのぼります。自分がどの遺伝子をいくつ持っているかで、脂肪の付き方や「炭水化物によって太る体質なのか、それとも脂質によって太る体質なのか」といったことも分かります。この判定をもとに、効果的なダイエットや食行動をオーダーメイドで導き出すことができるのです。

――より健康的で安全な食生活の指針になりますね。では、遺伝子で測れる「お酒の強さ」はどのようなものでしょうか?

陰山:アルコールの感受性を左右する遺伝子は、全く飲めない人からアルコールの代謝がいい人まで9段階に分かれています。レベル1~2は、わずかな飲酒ですぐに顔の赤くなる、いわゆる下戸の人で、急性アルコール中毒のリスクも高くなります。また、お酒に強いからといって安心できないのが、レベル7の人。酔っている時間が長く、アルコールによる快楽感を得やすいため、アルコール依存症になりやすい傾向にあります。

――なるほど。病気のリスクや体質を知るうえでも、自分の遺伝子について事前に知っておいて損はないですね。

陰山:遺伝子検査は、究極のところ予防医療への足がかりだと思っています。例えば、飲めるけどあまり強いとは言えない4~6段階の人が、7~9段階のアルコール分解能力が高い方と同じペースで飲酒を続けますと、 癌リスクが3倍に増えるというデータがあります。これを、実際に4~6段階の人に告知したところ、その後の飲酒量が3分の1に減ったという結果になりました。遺伝子検査がかなりの説得力を持って、その人の行動に影響力を及ぼすか分かる話だと思います。

費用には幅がある

――ちなみに、高輪クリニックで実施されている遺伝子検査の内容と費用は、どのくらいでしょうか?

陰山:当院では「代謝、食、性格に関しての遺伝子検査」「アルコール遺伝子」「運動に関係する遺伝子」「メンタルの健康に関係する遺伝子」を実施しており、5,000円から6,500円(税別)という価格になっています。それにプラスして、1万円(税別)で医師によるカウンセリングを受けることができるというかたちです。

注:なお、筆者が調べたところ、一般的にネットなどで販売されている遺伝子検査も、肥満やアルコール関連から子供の潜在能力を判定するものまで幅広く揃い、価格帯は、2,000円から高いものだと6万円以上するものまで、遺伝子検査の内容や医師によるカウンセリングの有り無しなどで金額が変わってくるようです。

遺伝子検査が抱える倫理的問題

――遺伝子検査という予防医療のこれからの課題はありますか?

陰山:検査をきっかけに、生活をいい意味でコントロールできるようになったという方が多いのは事実です。とはいえ、治療法がない難病が分かってしまうなど、精神的なダメージが大きい検査もあります。当クリニックではそういった診断は行っていないのですが……。こうした検査は、かなりデリケートで心理的なケアが必要です。今後は科学の進歩に対し、倫理的な問題をどのようにクリアしていくかが課題でしょう。

いま、その人に最適な薬を調べるために遺伝子検査を行い、その結果をもとに処方される抗がん剤もあるとか。今後さらに、遺伝子検査をもとにしたオーダーメイドの治療が広がっていくかも知れません。

【後編はコチラ】【体験レポ】遺伝子検査で彼との相性をチェック!? いまひそかに話題の遺伝子を使った性格診断を実体験!
<出演番組情報>
高輪クリニック理事長、陰山康成先生が出演!
「林修の今でしょ!講座 林修VSスーパードクター 人間の臓器ってスゴい!3時間スペシャル」 3月25日(火) 夜7:00-9:48  「今やる!ハイスクール」がパワーアップして、ゴールデンタイムに進出!テレビ朝日系で放送

末吉陽子