『仕事に使える動画術』動画ディレクター・家子史穂さんインタビュー

転職で勝てる自己PRとは? プロが教える、動画で採用担当の心をつかむ方法

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転職で勝てる自己PRとは? プロが教える、動画で採用担当の心をつかむ方法
自己PRは動画で。今どきの勝てる就活術

家子史穂さん

いま、新卒や転職の入社試験で、履歴書とともに、自己PR動画提出を求める企業が徐々に増えています。YouTubeで「自己PR」と検索すれば、就活生が作成した動画が山のようにヒット。スマホの自撮りPR動画を登録し、企業にアピールできるサイト「レクミー」は、利用者数3万人を突破しています。

今回は、元リクルート社員として7年間、企業の採用をはじめとする広告制作に携わり、2013年に動画ディレクターとして独立、『仕事に使える動画術』(翔泳社)を上梓した家子史穂さんに、入社試験に使える動画作りのコツをおうかがいしました。

「そのうち転職希望」なら趣味で仕事の幅を広げる

――まず、ほとんどのアラサー女性が動画制作に慣れ親しんでいないと思います。となると、何から手を付ければよいのでしょうか。

家子史穂さん(以下、家子):転職に対する温度差によって2パターンあります。まずひとつは、「いますぐ転職したいわけじゃないけど、ゆくゆくは好きなことを仕事にしたい」という人。こちらは、普段から自分のSNSに、好きなことに関する動画をアップするのがオススメです。

たとえば今回『仕事に使える~』で取材させてもらったカフェ勤務の方は、ラテアートを描くのか好きだということで、毎日コツコツ、ラテアートを描く様子を、練習も兼ねて動画に撮り、YouTubeにアップしていました。そもそも勤務しているのはマシンで淹れる店で、仕事にラテアートは必要がないので、完全に趣味だったのですが、動画の視聴者から「ラテアートの作り方を教えてほしい」「ラテアートでイベントをしませんか」など声がかかり、仕事の幅が広がったそうです。そして今ではラテアートを仕事でも使うようになり、バリスタとして活躍されています。趣味が動画発信を通じて仕事につながっていったのです。

切実ではないからこそ、コツコツ続けられて、同時にスキルもアップでき、好きなことを仕事にする可能性を探ることができるのではと思います。

今すぐ転職組は動画の「構成」を理解すべし

――「近いうちに転職したい」と思っている人は、どんなPR動画を撮って面接に持ち込んだら有利に働きますか?

家子:そうですね。採用側になって考えると、よく知らない人の「僕が! 私が!」という自己PRを聞き続けるのって、ものすごく苦痛ですよね。そこで必要なのが、“構成の力”です。

テレビの場合、「起承転結」という構成の鉄則がありますが、動画の場合は飽きたらすぐ閉じることができるので、時間を有する「起承転結」は使えません。ではどうすればいいか。「フランス料理」と覚えてください。

まず、フランス料理店で「メニュー」を開くと、一番美味しそうなメインの料理に目が行きますよね。動画も同様に、最初に美味しそうなポイントを見せて、視聴者に見るマインドを作ってもらいます。次に、「前菜」で、メインにどれだけ価値があるのかを伝えるなど、メインを楽しむ状況を整えて、いよいよ「メイン」の動画が出てきます。そして「デザート」で、「もっと知りたい場合はココにアクセス」などの情報をお伝えする。これが動画構成の基本です。

過去の実績は“前菜”、メインは「入社後にやりたいこと」

――具体的に、転職では「メニュー」「前菜」「メイン」は、どういった内容に該当しますか?

家子:たとえば、現在、営業職に就いている女性が、マーケティング部門の強化を考えている会社に転職したいと考えているとします。「メニュー」は、「私はB to B(企業間取引)での営業についての実績がある。詳しくはこれからお伝えします」という内容。そして「前菜」には、「B to Bのマーケティングに関する部署で、このようなプロジェクトをやってきた」という、過去の実績や経歴が該当します。それを踏まえ、「メイン」は「御社に入社したら、こんな活躍ができると思います」となります。

よく誤解されがちなのが、「メイン」に「過去の実績」を当てはめることですが、企業が一番知りたい「メイン」の情報は、「この人がうちにとってどれだけ有用な人なのか、何ができる人なのか」ということです。しかし、過去の実績だけだったり、意気込みだけを語る人に対して採用側からは、真偽が怪しいと穿った見方をされたり、「ただの痛い人」と思われがちです。

実績は自分で語らず、文字で伝える

――どうすれば「痛い人」と思われずに、実績を伝えることができるのでしょうか。

家子:私は『情熱大陸』(TBS)や『プロフェッショナル仕事の流儀』(NHK)などのドキュメンタリー番組が好きなんですが、これらの番組には法則があるんです。その人の凄い実績や事実を伝えるとき、その人自身が語ることって、ほとんどないんですよ。売上表やコンペに勝った企画書などの映像をバックに、テロップやナレーションで実績を伝えているんです。そうすると説得力が増すんですね。

その後、なぜこういった結果を残せたのかの心情を本人に語ってもらうことにより、人物像により厚みが出てくるんですよね。一言で言うと、「事実は文字で、想いは言葉で」ということです。

――『情熱大陸』と同じようなことが、スマホひとつでできればいいのですが……。

家子:十分に可能です。編集も、繋げることからBGM乗せ、テロップ入れまで、iPhoneならiMovieひとつでできます。

他にも無料の編集アプリはたくさんあって、可愛いエフェクトが多く、iMovieに劣らない編集機能もある「Cute CUT」と、動画に文字入れができて可愛いフォント満載の「Vont」は、オススメです。

差が出る小道具、「ミニ三脚」と「自撮り棒」

――ほかに、動画を撮る上での基本的な鉄則はありますか?

家子:ミニ三脚や自撮り棒などの小道具は持っておいて損はありません。手ブレしていると見づらいし、自撮り棒があればアングルに幅がでます。それから大切なのは明るさ。昼間の自然光が入る場所で撮るのはマスト。スマホって暗い場所に弱いんですよ。

――最後に、これから動画にチャレンジする女性にメッセージをお願いします!

家子:動画には力があります。以前、リクルートで、企業側で採用の仕事をしていたとき、企業の動画を作ったところ、志望者数が一気に上がったことがありました。

また、動画に慣れ親しんでいる今の10代と違い、20~30代にとって動画の自己発信はまだまだ照れもあるかと思いますが、キャリア選択の幅が確実に広がってくると思います。ぜひ、まずは好きなものから撮ってみてください。

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