職場の女性とうまくやれてる? 『女子校力』著者に学ぶ「女性コミュニティ」で生き残るコツ

近年女性の社会進出によって、女性ばかりの職場環境や、女性上司の下で働く人も増えている。そのような状況の中で、「職場での女性との付き合い方」に頭を悩ませている人も多いのではないだろうか。

女性同士だからといって、コミュニケーションが円滑に進むとは限らない。むしろ、女性同士だからこそ、関係性がこじれるなんてこともあるはず。今回お話を伺ったのは、『女子校力』(PHP新書)の著者である杉浦由美子さん。思春期に女性だけのコミュニティを生き抜いてきた「女子校出身者」に聞いた、女性コミュニティを上手く渡り歩くためのヒントとは?

嫉妬心を持たず、相手の女性を素直に敬う

――女子校出身者が年上女性の扱いが上手いというのは本当でしょうか?

杉浦由美子さん(以下、杉浦)
:上手いと思います。女子校は6年間の中高一貫教育であることが多いので、早くから年の離れた同性の上級生と交流を持つことが多いんですね。そういう環境の中で、先輩を敬うように学んだ人も多いので、年上の女性の扱い方に長けていくのではないかと思います。

――年上女性との接し方において、一般女性と女子校出身者との違いは何なのでしょうか?

杉浦:女性の高学歴化や社会進出の結果、女性の自意識が高くなっている中で、競争心も強まっています。なので、男性が優秀だと素直に「すごい」「かっこいい」と尊敬できても、同性のエリートには嫉妬や反発を覚えるという感覚が、実はまだまだ多いようにみえます。一方で、女子校出身者は、男性だから、女性だからという意識がないですね。ですから、優秀な女性上司なら、素直に敬える面があります。

――女子校出身者は性別に関係なく、正直に接するタイプの人が多いんですね。

杉浦:女子校出身者は、素直に思っていることを全部口に出してしまうんです。ある意味「空気が読めない」とも言えるのですが(笑)。女性上司に対しても、オンナ同士でも上下関係が分かった上で、いつでも「本音」で接するので、安心感を与えるのではないでしょうか。そのせいか、男性サラリーマンのなかには「女子校出身者は偉い女の人に取り入ったり、懐に入るのが上手い」と話す人が多いですね。

空気を読みすぎず、地味な仕事も積極的に引き受ける

――「空気を読みすぎない」というのもポイントなんでしょうか?

杉浦:空気を読みすぎて、おとなしくしていると、相手は「この子は何を考えているの?」と不安になることもあります。女子校出身者は空気を読もうとしないわけではなく、「どれだけ面白いことができるか、言えるか」ということを優先しちゃうんですね。おしとやかにしている若手女性社員よりも、その場を盛り上げるために一生懸命になる女子校出身者の方が、女性上司にとっては扱いやすいのかもしれません。

黙っている相手とはコミュニケーションが取れませんが、相手がつまらないギャグを言ったら、「すべってるよ!」「寒い!」と突っ込めるでしょう。そうやっていじられることで交流が生まれて、親近感が出てくることあります。

――サービス精神が旺盛なんですね! 飲み会の幹事など、面倒な仕事に積極的なのも女子校出身者の特徴のような気がするのですが、そうした背景には女子校ならではの教育が関係しているのでしょうか?

杉浦:女子校のなかには、「奉仕の精神」を教え込む学校が多いんです。取材の中で女子校出身者が「女子校女子はおせっかい」とも表現していましたね。飲み会の幹事や掃除など、地味な仕事も嫌がらない人も多くて、そういう姿勢が、同性の信頼につながるというケースもあるのだろうと思います。

“地雷”の危険性があるプライベートな話題は避ける

――なるほど。その他に女性上司とのコミュニケーションで気を付けるべき点はありますか?

杉浦:女子校出身者たちが「女の人は怖い。一度、怒らせるとずっと許してくれないから」とよく話します。男性は、過去に嫌なことをされた相手でも、都合がいい存在になれば、すぐに昔の恨みは水に流します。女性はなかなかそうはいきません。何かのきっかけで、会社の女性に一度嫌われてしまうと、挽回は難しいことも多々あります。女性は子供を産んで育てる性なので、自分に危害を加えたり、攻撃的な発言をする相手に過剰に反応する……という説もありますね。それは女性の上司も同じかもしれません。特に女性同士はプライベートの話題で亀裂が入りやすいですね。女子会で沈黙が続いた時に「彼氏はいるんですか?」とか、つい恋バナを振りがちですが、意外とそういうところに地雷が埋まってたりするじゃないですか。相手は失恋したばかり、ということもあるでしょう。あと、女性はやはり他人をよく見ていますよ。「あの子はパンケーキをシェアしたときにいつも大きい方を取るのよ」とかつまらないことを覚えていたり(笑)。

――なるほど……。確かに小さなことでも「一度やられたら忘れない」のが女性というものですよね。

杉浦
:共学だと女子同士のコミュニケーションツールは恋バナだと聞きますが、女子校だと恋バナができないので、趣味についておしゃべりするしかないんですね。結果、女性同士のコミュニケーションツールになる話題の引き出しが多くなって、女性上司が気軽に耳を傾けられる知識や情報を提供できるんですね。例えば、男性アイドルの話題とか、流行の美容法とか。そういう話題だとまず亀裂が入ることはないですからね。こちらからそういうたわいもない情報を提供することによって会話を盛り上げるというのも、良いコミュニケーション手法かもしれません。

杉浦さんに伺った話の中で、女子校出身者から学ぶべき、「女性同士の付き合い方におけるヒント」が見えてきました。女性同士だからって油断は禁物。会社やママ友コミュニティなどで、上記のようなポイントに気を付けながら、円滑なコミュニケーションを心がけてみては。

●杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)
日本大学農獣医学部卒業後、会社員や派遣社員を経て、2005年から「AERA」(朝日新聞出版)でフリー記者として活動をはじめる。「婦人公論」「VOICE」「文藝春秋」などの総合誌を中心にルポタージュ記事を寄稿。「女子校力」(PHP研究所)、「腐女子化する世界」(中央公論新社)、「ママの世界はいつも戦争」(ベストセラーズ)など、著作多数

末吉陽子