8割が元夫から養育費をもらえない現実

シングルマザーの貧困が問題視されている一方で、「独身の自分にはそんな話は関係ない」と思っていないだろうか? 約3組に1組の夫婦が離婚すると言われる現在。そのうちの3分の1が、わずか同居5年未満で離婚している。

また、108万人いるシングルマザーのうち約13万人は「未婚の母」(総務省統計研修所「シングル・マザーの最近の状況(2010年)」より)である。安藤美姫さんが未婚の母になったニュースも記憶に新しいが、年齢的な問題で今後妊娠のチャンスが薄いとなれば、シングルマザーを選択してでも産むという可能性もある。

しかし一方で、子どもを産み育てるにもお金が必要。一人親世帯向けの公的支援も色々あるが、子どもは女性一人ではできないわけで、男性にも資金的援助をする責任はある。いざという時のために今から知っておきたい養育費の基礎知識をみていこう。

 シングルマザーの8割が養育費をもらっていない

離婚して母子家庭になったシングルマザーのうち、父親と養育費の取り決めをしているのは37.7%(厚生労働省「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」)と全体の3分の1程度である。その中でも書面で取り決め内容を残しているのは、7割に留まる。つまり、ちゃんと書面で取り決め内容の証拠を残しているものは、全体の27%弱となる計算だ。

しかも、実際に現在も養育費をもらい続けているのは全体のわずか19.7%しかいない。残りの8割は主に母親だけの収入や親等家族の援助、場合によっては生活保護等の社会保障で生活していることになる。厳しい状況だ。

養育費が払われないのは「強制力」がないから

なぜこんなにも養育費の支払いがなされていないのか? 家庭裁判所の離婚調停員であるAさんによると、一つの理由は、「父親に支払い能力がなく、養育費を送ることができない」というもの。そしてもうひとつは、「日本の離婚は世界でも特殊で、約9割は協議離婚であること」だという。

世界的には、通常離婚は裁判所を通じて行われるのに対し、日本では話し合いによって離婚届を提出するだけの「協議離婚」という離婚方法が多い。

前出の厚労省の統計をみると、裁判所を通じた離婚(調停離婚、審判離婚、裁判離婚)をしたシングルマザーは74.8%が離婚時に養育費についての取り決めをしているのに対し、協議離婚では30.1%しか取り決めをしていないのだ。その理由のうち「相手に支払いの意思や能力がないと思った」は半分以下の48.6%。残りは「相手と関わりたくなかった」「話がまとまらなかった」等の理由である。

さらに、Aさんは「裁判所を通じた離婚では取り決めをしておけば、支払いがなされなくなったときに、履行勧告や差し押さえ等の法的手段がとられる。協議離婚の場合、強制力がなく泣き寝入りになる」という。なお、未婚の母の場合は、出生児に父親に子どもを「認知」させることが大切だ。認知させた上で、養育費等の取り決めを行おう。

まだ間に合う! いざとなったらまずは相談

離婚の方法、養育費やその他のお金のこと(財産分与や慰謝料等)で迷ったら、まず専門家や専門機関に相談してみよう。全国で弁護士に気軽に相談できる窓口として法テラスがある。

また、「弁護士さんは敷居が高い」と感じる人は、各自治体の女性相談窓口や、全国にある男女共同参画センター等、女性の相談に応じてくれる場所もある。また、離婚時にはどうしてもダメージが大きく、取り決めができなかった、という人でも、後から請求することも可能なので、一人で迷わずに相談してみてはどうだろうか。離婚時に話し合いができなくとも、財産分与は離婚後2年以内、慰謝料の請求は3年以内、養育費の請求は子どもが未成年のうちなら家庭裁判所での申し立てが可能である。

鈴木晶子