「腎臓を200万円で売ってくれ」 貧困層が狙われる臓器売買の背景

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「腎臓を200万円で売ってくれ」 貧困層が狙われる臓器売買の背景

貧困層と無知が狙われる臓器売買ビジネス

先日、腎臓を200万円で提供する約束をした上、虚偽の養子縁組をしたとして指定暴力団住吉会系組幹部の男らが臓器移植法違反などの疑いで逮捕された。臓器売買が摘発されたのは今回3件目。

日本における臓器売買の禁止は臓器移植法で定められている

逮捕された幹部の男Aは、元組合員の男Bの腎臓が悪いことを知り、ホームレスの男Cに「腎臓は2つあるから200万円で1つ提供してほしい」と臓器売買を持ちかけた。そして男Bとの嘘の養子縁組届を豊島区役所に提出したとしている。暴力団によるこうした貧困ビジネスは、水面下ではまだまだ行われていると予想されている。

臓器売買とは、臓器移植のために金銭授受を伴って、人間の臓器をあっせん・提供する行為のこと。日本では、「臓器移植に関する法律(通称:臓器移植法)」が平成9年に定められ、供与臓器の提供やあっせんの対価としての財産上の利益供与を禁じている。臓器提供のあっせん業に関しては厚生労働相の許可が必要であり、営利を目的とすること自体は禁じられている。また、書面による意思表示があれば親族優先提供ができることも定められており、先の容疑者たちは養子縁組にすることで、合法である親族間の提供に仕立て上げようとしていたと見られている。

貧困層と無知が狙われる臓器売買ビジネス

腎臓は健康な人間であれば左右一対に存在する臓器であるため、臓器売買の的になりやすい。今回のように、お金のないホームレスに金銭をちらつかせて臓器提供をさせることは予想できるが、実は落とし穴はそれだけではない。

日本で初めて公になった臓器売買事件は2006年。とある女性に200万円の借金をしていた患者男性とその妻が、男性の症状悪化と医学的理由によって妻からの臓器提供を断られたため、女性に「腎臓を提供してくれたら300万円上乗せして返す」と依頼。女性は患者の妻の妹と偽り病院で検査を受け、腎臓の提供をしたものの、約束の金銭が返ってこなかったため被害を警察に相談して明るみになった。

驚くことにこの女性は臓器売買が犯罪だと知らなかったのだという。患者男性とその妻は逮捕、臓器提供をした女性も書類送検された。お金に困っていたのではなく、むしろ貸していた側であったものの、臓器売買について無知であったがために事件に巻き込まれる形となったのだ。

解決されないドナー不足

こうした事件の背景には、深刻なドナー不足の問題がある。日本臓器移植ネットワークによると、2015年6月末現在で移植希望登録者数は約1万3,000人だが、移植希望登録をした後も、ドナーの血液型、体格、組織適合性など、一定の決められた基準により選ばれるため、移植できるまで何年かかるかもわからない。だから、法の目をかいくぐってなんとかして臓器を手に入れて移植したいという思惑が、臓器売買事件の引き金となるのだろう。

今回の事件を機に、自分が無意識のうちに事件に巻き込まれることがないよう、臓器売買についての知識を蓄えておくことが大切だ。また今では、インターネットで臓器提供の意思登録ができる。自分の意思が、誰かの命を救うことができることも頭の中に入れておきたい。

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