「ゆう活」で長時間労働は解消するか

政府は7月1日より、働き方改革の一環として「夏の生活スタイル変革(ゆう活)」を実施している。明るい時間が長い夏季は朝早くから働き始め、夕方には家族や友達と過ごせるようにしようという夏の生活スタイルを変革する取り組みだ(参照:厚生労働省HP)。

    実施から9日 「ゆう活」の効果は?

ゆう活初日には、ツイッターで「ゆう活初日という事で強制的に16:15退庁。明るいうちに退庁したのいつぶりだろう」という声も見られたが、9日経って、効果は表れているのだろうか。

・ゆう活月間で帰れ帰れ言われるから今週定時で帰ってるけど、この時間電車も混まないしいいなぁ
・早朝の間にちょっと自宅の庭木をいじるとか、草をむしるとか出来ないのが残念。長距離通勤なので早く勤務から解放されても、自宅に明るいうちに着かないんだな。残念
・嫁の勤務先がいまはやりの「ゆう活」に似た活動を取り入れはじめたそうなのだけど、案の定、「これまでより一時間早く来てこれまで通りの時刻に退社」になりつつあるそう
・ゆう活とかで前2時間早く会社来てるけど、寝る時間2時間前倒しにしないとダメなんじゃないかと、当たり前のことに今更気付いた
・ゆう活と言う名の残業禁止令でホントに今月残業ゼロやで。効率性を高めないと仕事終わらん
・この1週間ですっかりゆう活に慣れてしまったからか、今日は2時間ちょっとの残業が何とも言えずつらかった

実施から10日弱で、生活スタイルが変化したことへの戸惑いや、朝早くに勤務を始めても退勤時間が変わらなければ長時間労働が加速するのではないかと懸念する意見も多く見られた。一方で、「ゆう活効果か、どことなくラッシュが軽減されているような気がする」と、効果を感じている声もあった。

    KDDIや伊藤忠商事など、長時間労働抑制に乗り出す企業も

今回の「ゆう活」の目的には、長時間労働の抑制、ワーク・ライフ・バランスの実現、仕事の効率化を通じた労働生産性の向上、余暇充実による需要創出が掲げられている。日本の長時間労働については、2012年の一人あたり年間労働時間が1,745時間と、他の先進国に比べて比較的長い点が指摘されており(参照:三菱UFJリサーチコンサルティング「長時間労働と残業代の実態」)、こうした背景を踏まえたものと考えられる。

また民間企業でも、KDDIは全社員1万4,000人を対象に、退社から出社までに11時間以上空けることを促す人事制度を始めたと報じられている(朝日新聞(7月8日)「深夜残業→翌日必ず遅出 勤務間休息ルール始まってます」)。

また、伊藤忠商事は2014年5月から朝方勤務を導入しており、正式導入した2014年の一人あたりの時間外勤務時間実績(月/平均)は総合職で46時間2分。一人あたりの時間外勤務時間が49時間6分だった2012年と比較すると、3時間4分の削減になっている(参照:伊藤忠商事「朝型勤務」制度の導入」)。

実施に際しては、経営トップからのメッセージ発信や組織長説明、割増賃金や朝食配布などの制度設計、資料削減や会議厳選などの業務合理化と、さまざまな側面から取り組みがなされた(参照:『日本の人事部』)。

    子どもを持つ母親には戸惑いの声も

このように様々な取組みが行われているが、一方で具体的な問題も生じている。

例えば、退勤時間が早いと保育園の迎えに行きやすい面もあるが、「朝が早いため、早朝保育の必要が生じる」など子育て世帯や保育所からの懸念もあるという(首相肝いりの『日本版サマータイム』 “女性活用”に思わぬ矛盾)。

ツイッターでも

・そもそもゆう活(朝型勤務)は、義務教育世代の子どものいる家庭のこと考えてるのかな

と、いう声も見られた。

とはいえ、「ゆう活」は、労働時間や業務効率を見直すきっかけにはなっているのは確かなようだ。だが業務量や効率性の問題が解決しなければ、長時間労働の抑制やそれに伴うワーク・ライフ・バランスの充実、余暇充実には至ることができない。本来、長時間労働の抑制自体は悪いことではないはずだ。しかし、実現には制度的な部分が追いついていないという現実も垣間見え、今後仕組みを整えていくことが必要なのではないだろうか。

飯田樹

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