木原友見の「食いっぱぐれない仕事道の歩み方」第3回

実は非正規雇用の方が得? 転職コンサルタントが語る「正社員が上」のイメージが生む誤解

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る
実は非正規雇用の方が得? 転職コンサルタントが語る「正社員が上」のイメージが生む誤解

正社員は非正規雇用者よりも上なのか?

昨年末、ある政党が流したテレビCMで非正規雇用職らしき女性が「夢は正社員になること!」と言うシーンが物議をかもした。正社員になりたい人もいるだろうが、自分で選んで派遣社員や契約社員で働く人もいよう。そのあたりを考えずに「派遣OLは正社員になれないかわいそうな子たち」というレッテル貼りが感じられたからだろう。おじさんに想像力がないのは今に始まったことではないが、20代30代にも「正社員の方が待遇はいい」という印象を持つ人は多いだろう。実際はどうなのか? 今回は純粋に給与や安定という「食いっぱぐれない度」基準で、どうなのかを転職コンサルタントに訊いた。

■非正規雇用者の待遇はさらによくなっていく

Q: 厚生労働省の「平成26年賃金構造基本統計調査結果」のデータをみると、非正規雇用者の平均賃金は正社員より低めで、男性で6.5割。女性で7割となっていますが。

A: 男性よりは女性は差が小さいですよね。そのデータでも、最も賃金の上げ幅が大きかったのは、女性の非正規雇用者です。今後は労働人口が減りますから、人材は不足するので、非正規雇用者の待遇はさらによくなっていくと思いますよ。従来から、契約社員には退職金の支払いをしない分を前倒しで賃金に上乗せする企業は多いです。正社員と同じ仕事をさせるなら、同等の報酬を与えないと、能力がある人材は雇用できません。

ところが“正社員は非正規よりも上”というイメージが浸透しているために、そのあたりを理解してくださらない方もいらっしゃいますね。私が担当している中堅メーカーではしばしば事務職の募集をします。“年俸350万円、2年間契約でその後は正社員に登用”という条件です。正社員になると退職金が発生する代わりに、年収が下がります。理由は正社員になれば退職金が発生するから、その分、毎年払う賃金は下がるわけです。それに対して“知らなかった! 正社員になるのに年収が下がるなんて!”というクレームがあって、それ以来説明するようにしています

■子育て後に仕事を探すより、今の職場で働き続けた方がいい

Q: 雇用の安定ではどうでしょうか。

A: 非正規雇用者への福利厚生が整備されてきたので、女性に関して言うと、実は契約社員の方が長く働けるケースができました。大手以外は、正社員は女子も営業やエンジニアのみでしか採用しない、事務職は契約社員のみというパターンが増えてきました。そうなると、女性正社員は超ハードワークなので、育休後に仕事を続けることは難しいから結局は退職していきます。

一方で、契約社員は時短勤務でも仕事がこなせるので、辞めずにすむわけです。もちろん、勤務時間が短くなった分、年収は減りますよ。でも、いったん辞めて年収がゼロになって、子育てが終わってからパートを探すより、今の職場で働き続けた方がいいですよね。

■正社員という肩書きをえさにサービス残業

Q: 女性は正社員と非正規の格差は縮んでいるんですね。今後はその傾向がより強くなると思いますが、それでも正社員信仰が強いのはなぜでしょうか。

A: 職業に対するカースト意識やイメージって20年前のままなんですよ。東洋経済オンラインが2014年10月15日に配信した『最新版!“40歳年収が高い会社”トップ300』の中で最も衝撃だったのは、25位のTBSでした。年収が1,098万円と高いことよりも、社員の平均年齢が51歳ということです。そういうおじさんたちがテレビを通して流している情報がいまだに幅を利かせているわけですよ。

特に男性は若くてもカースト意識が強いでしょう。彼氏に「非正規雇用者とは結婚できない」と言われて、正社員の仕事を探しているという20代後半の女性も実に多いです。ブラック企業がはびこるのはそういう心理につけこんで、正社員という肩書きをえさに、サービス残業をさせるわけです。仕事を選ぶ時は、ちゃんと情報を集めて、自分の頭で判断して選んでもらいたいですね。

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

実は非正規雇用の方が得? 転職コンサルタントが語る「正社員が上」のイメージが生む誤解

関連する記事

編集部オススメ

多少の肌トラブルがあっても若さで乗り切れるのは20代まで。用賀ヒルサイドクリニック院長の鈴木稚子先生と一緒に、30代からは自己流の習慣を見直しましょう。

激務の通勤生活、今年で何年目? ふと気づけば、プライベートの暮らしは仕事に押しつぶされてぺちゃんこに。何のために頑張っているのかわからなくなることさえありますよね。「いつまでこんななんだろう」「働き方を変えたい」「でも方法が分からない」この連載では、そんな悩みや迷いをえいやっ!と乗り越えて、“ライフ”に“ワーク”をぐんと引き寄せてしまった彼女たちに話を伺います。

記事ランキング