「教員を減らすべき」VS「むしろ増員すべき」 財務省と文科省の意見が対立する理由

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「教員を減らすべき」VS「むしろ増員すべき」 財務省と文科省の意見が対立する理由

少子化だから教員数削減は合理的?

5月、財務省は日本の厳しい財政状況を鑑み、「2024年までに教員を4万2,000人を削減すると、国負担を780億円削減できる」と教員の削減案を示した(朝日新聞(5月12日) 小中の教職員、4万人減で780億円削減 財務省試算)。一方、文部科学省は、6月、それに反論する異例の資料を公表、「いじめへの対応など教育課題は増加しており、機械的削減でなく、戦略的充実が必要だ」と主張している。(日本経済新聞(6月5日) 教員数削減案に「教育課題は増加」文科省、財制審に反論

財務省「教員削減は少子化に伴う合理化のため」

財務省の試算を受けてまとめられた財務省の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の主張はこうだ。

今後の少子化見通しを踏まえて機械的試算をすれば、(1)平成36年度までに37,700人の自然減を反映した上で、(2)2,214人の加配定数を「当然減」として合理化することが可能。「定数合理化計画」を策定し、毎年度の予算編成過程で更なる合理化等を検討すべき(財政健全化等に関する建議)。

加配とは、障がいをもつ児童生徒のための特別支援教育(通級指導)やいじめ・不登校への対応、貧困による教育格差の解消、外国人児童生徒への日本語指導など、 学級数等に応じて算定される基礎定数では対応困難な教育課題に対して措置するものだ。つまり「子どもが減るんだから、今、難しい問題のためにつけている教員はなくても大丈夫でしょう」という主張だ。

文科省「時代に合わせて教育を充実させるべき」

対する文科省はこうだ。

少子化によって生じる財源については、(1)アクティブ・ラーニングやチーム学校の推進など、新しい時代の教育を実施するために活用すべき (2)加配定数は特別支援教育、いじめ問題、貧困問題など現代的な教育課題の増大に対応してむしろ増員が必要(財政制度等審議会の「財政健全化計画等に関する建議」に対する 文部科学省としての考え方

つまり、時代に合わせた教育ニーズと、子どもたちの困難な状況の対応に充てるべきだという。

少人数クラスの効果

むしろ、教員を増やすべきだという文科省はさらに、学習集団(クラス)の人数が少ないほど、不利な家庭環境におかれた子どもたちへの教育効果が高く、自己肯定感も高まる、とする。

これは、困窮世帯の子どもたちを支援している筆者の経験でもうなずける。しかし、これは学習の問題だけではない。学級の人数は単に授業をする時に何人子どもがいるのか、という問題ではなく、何人の子どもたちの家庭生活も含めた状況を把握し、適切に支援していくかという問題でもある。

教員の人数確保だけで解決しない

しかも、これらの問題は、学校だけで解決できる問題ではなく、児童相談所や市町村の関係部署、地域の人々と連携しながら解決していかなければならない。障がいを持つ児童生徒や、外国にルーツを持つ児童生徒への対応も同様だ。アクティブ・ラーニングなど時代の要請する教育のあり方についても、外部の人材や学外の知恵を活用しながら進めていく必要があるだろう。いずれも、学校内で教員の人数を手厚くするだけでは、効果はあがらないのではないか。これは縦割り行政を超えて、学校現場に意識や組織の改編を迫るものでもあるだろう。予算を使う分、文科省や学校関係者にも、こうした覚悟が必要だ。また、地域も学校を応援することが求められる。

教育は国家百年の計。これから子どもを産み育てるかもしれないアラサー女性は未来に借金をなるべく残さない合理化と、子どもが手厚い教育を受けれらる教育の充実、どちらを支持するだろうか?

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