HIV感染者は同性愛者が多いって本当? ブルボンヌが解説する「宝塚がHIV感染の中心に」発言の問題点

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HIV感染者は同性愛者が多いって本当? ブルボンヌが解説する「宝塚がHIV感染の中心に」発言の問題点

兵庫県宝塚市がLGBTを支援する条例を検討していることに関し、6月24日、自民党議員団の大河内茂太議員が市議会本会議の一般質問で「宝塚に同性愛者が集まり、HIV(エイズウイルス)感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出る」などと発言したと報じられました。これに対し、ネットなどでは差別的だと批判の声が殺到。ウートピ世論のアンケートでも88%が「差別的」との回答でした。そこで、ウートピの連載でもおなじみの女装パフォーマーのブルボンヌさんに、この件についてご寄稿いただきました。

議会で発する前に、ちゃんと専門家に聞けば良かったのよ

HIVの感染経路に、男性の同性間の性行為が多いというのは事実なのよね。

それは、そもそもの性に文化的・身体的な差がある以上、「手っ取り早くヤリたい」人が多い男性側同士の組み合わせというのは、全世界的にほいほいヤリがちになるということでもあると思うの。

さらに、厚生労働省のエイズ対策政策研究事業の一環として過去に何度も行われているアンケート調査などから、「どうせ社会的に認められていない日陰の立場」だったり、「家庭や子供という歯止めの契約や存在がない状態」だからこそ、無防備な行為に拍車がかかるという傾向も見えている。

そもそも、HIV感染の確率については異性愛行為よりも低い女性同性間を、完全に無視して巻き込んでいる発言なのも問題よね(つまり、本質的にはこれは同性愛の問題ではなく、男性の性欲の問題に近い)。

さらに言えば、ほんの少し優遇される制度のためにどれほどの同性カップルがその自治体に揃って転入してくるものかも分からない。またそうした社会的認知を求める想いの強いオープンなカップルの性行動であれば、現時点での男性同性間の奔放な性行動の傾向とは違うかもしれない。

そういう、原因も現状も予測も何もかも、きちんと向き合って調べ考えたわけでもないであろう、浅い言葉だったってこと。

いや仕方ないわよね。こんな特殊な事情、まっとうな世界で生きてきた異性愛議員さんなら知らなくても。

アタシは、居酒屋でノンケのオッちゃんが酔っぱらいながら、誤認した知識を元にオカマをバカにするのは、今の日本じゃまだ普通のことだと分かってる。そんな無理解を今ある現実として受け止め、これからどう変わってほしいかを考えていくことが大事だもの。(まぁアタシの横でそんな話してたら、多少からかっちゃうかもしんないけどぉ。)

でも今回のは、調子こいて「偏見に基づいて集団をディスるのって、ひどいことかもしんないけど楽しいもんねー」なんて薄々わかりながら、酒場で悪ぶってニヤけてるってことじゃないのよ。

議員さんが議会で、ご本人的には「正しいことを言っている」と思って発言した、日本の公の議事録に残るものなんだから。

集団の一部が持つ側面で全体をラベリングして、他者の人生を抑制し、貶めるかもしれない発言。そんな恐ろしいものを議会で発する前に、ちゃんと専門家に聞けば良かったのよね。「そっちの事情に疎い俺はこんな風に思うんだけど、合ってる?」って。そしたら詳しい人ならみんな「そんなこと議会で言っちゃうの? ヤバいよヤバいよ~」って教えてくれたでしょうにね。残念!

発言は取り消し、市議は謝罪

大河内議員の発言については、別の議員から取り消しが求められていました。そして、6月26日、議会運営委員会で協議され、発言のうちHIVに関する部分について議事録から削除されることが決まったそうです。

大河内議員は当初「同性愛者を差別する意図はない」などと述べていましたが、委員会終了後、「同性愛者とHIVとの関連性に密接な関わりがあると誤解を与えかねない表現をしてしまった。不適切であった。申し訳ございませんでした」と謝罪しました。

(編集部)

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