アカデミー賞女優ジュリアン・ムーア独占インタビュー

【独占取材】アカデミー賞女優ジュリアン・ムーアは語る 若年性アルツハイマーを演じて感じたこと

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【独占取材】アカデミー賞女優ジュリアン・ムーアは語る 若年性アルツハイマーを演じて感じたこと
ジュリアン・ムーア独占インタビュー!

LOCATION (a) Harbor Room, SOHO GRAND HOTEL, NEW YOEK CITY
Photo: Michika Mochizuki

「家族や自分がアルツハイマーになったら」そんなことをふと考えてしまうことありませんか? ちょっと物忘れが激しいと「もしかして」と怖くなったり、親がそうなったらどう介護しようと考えたりすることもあるでしょう。

映画『アリスのままで』は、50歳の言語学者アリスの若年性アルツハイマー発症から記憶を完全に失うまでを描いた映画です。

そのアリス役の名演でアカデミー賞主演女優賞を受賞したジュリアン・ムーアさんをウートピはニューヨークで独占取材! 若年性アルツハイマーという病について、演じる上でのリサーチについて、ジュリアン・ムーアさんに語っていただきました。

キャリアも才能もある人でも、ある日突然、発症する

――ジュリアン・ムーアさんがアリス役を演じるにあたって、アルツハイマーの患者さんや関係者の方にリサーチをたくさんされたそうですが、印象に残っているエピソードはありますか?

ジュリアン・ムーアさん(以下、ムーア):たくさんあってひとつを選ぶのは難しいわね。多くの人が最初の症状を語ってくれたわ。ある教師の女性は黒板に文字を書くとき逆さまに書いていたり、ある人は新しく何かを学ぶことができなくなったり、あとコンピューター関連の仕事をしている人は、簡単なプログラムができなくなってしまったと言っていたわ。でもみんなとても優秀なキャリアウーマンだったのよ。まずアルツハイマーの症状が出ると、最初に仕事に支障をきたすのね。それが興味深かったわ。

――多くの関係者に会ったり、この映画に出演したりしたことで、アルツハイマーに対する認識が変わったりしましたか?

ムーア:確かに変化したわ。だってこれまでアルツハイマーに対する知識はなかったもの。この病気について何も知らなかった私が、いろいろな知識を得たわ。特に脳の機能について深く考えるようになったの。どのように思考したり、感じたりしているのか。脳がどれだけ私たちをコントロールしているのか考えるようになったわね。そういう情報をたくさん得ることができたのが良かったと思う。

アルツハイマーになっても子供たちの世話になりたくない

――アリスはアルツハイマーを発症してから、家族を頼りににし、夫や子供たちもそれに応えてくれますよね。中でも家に寄りつかなかった次女が一番懸命にアリスの心に寄り添います。ムーアさんは、もしもアリスと同じような状況になったら、家族やお子さんにはどう接してほしいですか?

ムーア
:難しい質問ね。子供たちにとって、とてもハードなことだもの。子供たちには自分の人生を歩んでもらいたいから、どの親も子供の重荷や世話にはなりたくないんじゃないかしら。少なくとも私はそうね。それに私の子供たち(18歳の息子、13歳の娘)はまだ大人じゃないもの。

――ただ、もしかして自分がなってしまうかも……と怖くなることはありませんか?

ムーア:アリスの若年性アルツハイマー病は遺伝だったでしょう(注:映画でそのように診断される)。でも私の家族にアルツハイマーになった人は幸いなことにいないの。今、祖父母は97歳だけど認知症は発症していないわ。だから私も大丈夫だと信じているの。

――おそらくアリスと同世代の女性やもっと若い女性も「アルツハイマーになったら」と恐れることはあると思います。そんな女性たちに、アリスを演じる上でアルツハイマーの知識を得たムーアさんは、どんな言葉をかけてあげますか?

ムーア:医者に診てもらいなさい! 真剣にそうアドバイスするわ。恐れているからこそ、もしかして……と思ったら診てもらうべきなのよ。私が病院へリサーチしに行ったとき、研究者や医師たちにこんな質問をしたの。アルツハイマーらしき症状があった場合、どういう検査で診るのかって。医師たちは、脳の中の各部を検査して、どこの何が不足しているのかを細かく診て、適切な診断をすると語っていたわ。だからちょっとでも恐れているときは検査した方がいい。ホルモンの問題かもしれないし、ストレスを抱えすぎているのかもしれないし、睡眠不足のせいかもしれないのだから。自分自身に起こっていることは知るべきだと思うわ。

“この映画は私の真実”と言われ感動!

――映画をご覧になった方の感想で印象に残ったことはありますか? アルツハイマーの患者さんもご覧になったのでしょうか?

ムーア:「自分たちのことを表現してくれた!」と言われたときは感動したわ。アルツハイマーだと診断された45歳の女性がこの映画を見てくれて「自分の人生が描かれている。この映画で描かれていることは真実です」と言ってくれたの。これは嬉しかった。

――ムーアさん自身は完成したこの映画を見て感じたことは?

ムーア:う~ん……何も感じなかったわ(笑)。最初に見たときはまだ撮影途中の段階で、演技プランのためのメモを取ったりしたけど、それ以来見てないの。

――完成した映画をまだ見ていないのですか。これから見る予定は?

ムーア:たぶん見ないと思う(笑)。私にとっての映画体験は、製作すること、演技をすることなの。映画鑑賞ではないのよ。

『アリスのままで』でのジュリアン・ムーアさんの演技は、アカデミー賞主演女優賞ほか数々の映画賞を独占した名演技なのに、ご本人が見ないというのにビックリですが、おそらく根っから映画の現場が好きな方なのでしょう。

若年性アルツハイマーになった女性の葛藤と病気の進行がどのようなものか、家族にもたらす影響などが克明に描かれている映画『アリスのままで』。それはとても胸が苦しくなるけど、知るべき事実でもあるのです。ぜひ映画館へ足を運んで、ジュリアン・ムーアさんの名演を通し、アリスの人生をしっかり見届けて、この病への理解を深めてください。

(C)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.

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アリスのままで
6月27日(土) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

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【独占取材】アカデミー賞女優ジュリアン・ムーアは語る 若年性アルツハイマーを演じて感じたこと

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