『地獄のガールフレンド』著者・鳥飼茜さんインタビュー

友達って3人くらいでちょうどいい アラサー女性漫画家が語る、女友達との上手な付き合い方

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友達って3人くらいでちょうどいい アラサー女性漫画家が語る、女友達との上手な付き合い方
アラサーが女同士の友達関係を保つ方法

鳥飼茜さん

女友達。ある時は恋人や配偶者よりも頼もしく、またある時は家族のように気のおけない存在。だけどたまに何を考えているか分からなかったりすることも。アラサーとなると自分自身も、また相手も環境が変わり、それまでの関係に変化が見られることもあるのではないでしょうか。

鳥飼茜さんが描く漫画『地獄のガールフレンド』(祥伝社『FEEL YOUNG』にて連載中)は、それぞれ「友達がいない」アラサー女性たちがシェアハウスを始め、付かず離れず付き合う中で、ポロっと垣間見える本音や悩みが見所です。

強い絆で結ばれた友情ではない、でもイイ感じの関係を保つ方法って……? 鳥飼茜さんにお話を伺いました。

自分が満たされてない状態だと、他人が羨ましくなって妬みやケンカの種になってしまう

――作中の「自分の人生が楽しいと人に言いづらいのは何でだ」というセリフが印象的でした。せっかくなら「私もあなたもお互い楽しくてよかったよね」と言えるほうがいいと思うのですが、「大変」「私も大変」と言い合わなくてはいけない空気はどこから来るのでしょうか? これって女性特有の風潮なんでしょうか?

鳥飼茜(以下、鳥飼):私は実をいうと「大変なんだー」とはあんまり言わないほうで、逆に「楽しいよー」と言ったことで顰蹙を買ってしまったこともあります。顰蹙を買って初めて「言わないほうがよかったんだ!」って気付いたり。だから「楽しい」って言いづらいなって思うことが多かったんです。職業柄、女性の集団に身を置いているわけでもないから「何でだろう?」って疑問に思ったりしますし。

「私も楽しいし、そっちも楽しそうだよね」って言えるのが一番だけど、自分の生活に対して「楽しいな」って納得できて初めて、自分と違う境遇の人の楽しさも認められるんだと思うんです。自分が満たされてない状態だと、どうしても羨ましくなって妬みやケンカの種になってしまうのかもしれないですね。

自分が「足りてない」と、相手が「足りてる」ように見えることに対して敏感になる。逆に自分が「足りてる」ように見られると、相手の妬みを刺激してしまう。女性はそういうことを敏感に察知してしまうから「私なんて」と牽制し合ってしまうんだと思います。

誰かひとりが「私は満たされてる」ってOKを出さないと「足りない」「楽しくない」って苦しさを争う競争になってしまう。だから私はあえて「満たされてます」って言っていきたいとは思います。なるべく自慢話にならないようにですけれど!

実は先日、ある男性からこの件で一言いただきまして。自分が「これができてない、あれが足りない」ってつまずいているときに「私はこれできるよ。私は幸せだよ」って言われると焦ってしまうし、劣等感を刺激することになってしまうんだって。だから「私にも大変なことがあるよ」って言ってあげることが人間関係において優しさである場合もある、と言われて「なるほど!」って思いました。

――その意見に対して賛成はできましたか?

鳥飼:賛成というのか、じゃあそうしようとはならなかったですね。だけどその優しさは、世の中の潤滑油なんだって学びました。この話を描いていた時は思いもしなかったんですけど、人のために、って考えられる人が世の中の大半なんだな、と。それは言われて初めて気付きましたね。

いい関係を続けていきたいなら、あえて今後あと5年か10年会わなくてもいい

――シェアハウスをしている登場人物3人は、28〜36才と年齢こそ近いけれど、未婚だったり、バツイチシングルマザーだったり、境遇も違えば、恋愛観も異なっていますよね。パーソナリティーはバラバラなんだけれど、それが却っていい関係を築いているように感じました。立場が違う者同士が気持ちよい関係を保つ秘訣って何だと思われますか?

鳥飼:たとえば学生時代の友人で集まろうとしたときに、30歳前後になると立場がバラついてきますよね。ずっと働き続けている人も、結婚して子どもがいる人もいる。そういうときに一番ケンカの原因になるのは「時間の使い方」の違いだと思います。

みんなで旅行に行こうって計画しても、働いている人はギリギリまで時間が読めなくて「何時に行けるか分からない!」ってこともあるし、かたや子どもがいる人は7時までには帰らなきゃいけなかったり。合わせられないことを責め合ってしまったら、時間軸が合う人たちが仲良くなってグループになっていくしかない。

それはそれで自然なことなんだけど、立場が違う人とうまくやろうと思ったら、「時間の使い方」が自分と同じと思ってはいけない、相手には相手の「時間の使い方」があるってことを尊重するのが一番重要だと思います。

――いつまでも自分の都合を押し付けていたら、平行線ですもんね。

鳥飼:立場の違う友人と時間を合わせて会おうとするのはどんどん難しくなるので、いい関係を続けていきたいならば、あえて「今後あと5年か10年会わなくてもいいや」って感じでもいいと思います。たまに電話をするくらいの関係を続けて、「いずれどちらも落ち着くだろうからそのときはまたお茶でもしようよ」って気持ちでいたらいいんですよ。お互い待っててあげる、くらいの距離が一番うまくいくとは思いますね。

――鳥飼さん自身も実際そういう経験をされたことはありますか?

鳥飼:学生時代の友人とはほとんどそういう状態で、会うことは滅多にないんですよ。だけど、本当に些細なこと、「あなたの本が出てるの見たよ」とか「昔こんなことを言ってたよね」って唐突にメールで連絡し合ったりします。そこでちょっと会話が続いても「会わなきゃ」と思わなくていい関係でいたい。「会えない」ことに重きをおくのではなく、ただ連絡をするだけ。

――でも今はSNSとか手段がありすぎる分、ちょっとした連絡は腰が重くなったりもしますよね。

鳥飼:そうですよね、だから私はなるべくメールとか、何だったらハガキとかで、相手に返事を急がせないような連絡をするようにしています。ずっと繋がってなきゃいけないって思うのは疲れてしまいますしね。

友達って3人くらいでちょうどいいんじゃないですか

――一方で、「マウンティング」なんて言葉がネットでは話題になっています。鳥飼さんの『先生の白い嘘』(講談社『モーニング・ツー』にて連載中」)でも友達を値踏みしたり、はたまた裏切ったり、一言で「友達」と表現するのも難しかったりしますが、人間関係の煩わしさをうまく解消するコツって何だと思いますか?

鳥飼: 今でこそ「マウンティング」って名前がついてるけど、「私の方が」「いや私の方が」って小学生女子くらいならみんなやってる行為なんですよね。結局「幼稚」ってだけで、その幼稚さに気付いた人からその行為をやめていく。でも人間だから自分の方が勝っていたいと思うことは当然だし、近所のおばあさんなんかもよくやってますよ。

仲いい友人と喋っていてもそういう雰囲気になることは十分あるけど、自分がそれに「勝とう」みたいな気配を出さなければいつかは終わることだと思っていて。私自身も人を傷つけるつもりはなくても、どこかでやってるのかも知れないですしね。

だけどあまりにエスカレートして、付き合いに悩むくらいのレベルであれば、ギャグにしてあげればいいかと思います。ただ「あなたのそういう姿、滑稽だよ」ってバカにしてしまったらカドが立つから、それを言わずして伝えたいですよね。

――それができたら神の域ですね……。

鳥飼:たとえばその状況を1対1だと捉えるんじゃなくて「ここにギャラリーがいる」って考えるとか。

――まさにプロレスのマウンティング!

鳥飼:そう、ほんとプロレス。いかに自分が面白さで「勝ち点」を取れるかって考えるんです。1対1の関係に乗っかってしまったら腹が立つから、カメラが回ってると思って、「こんな無茶振りしてきた、じゃあどう返したら面白い!?」ってエンタメみたいに捉えたら、相手を嫌いにならずに済むかも、なんて思います。

だけど、結局こういうことで悩む人って全て共通して言えるのはみんな友達が多いんですよね。交友関係が多すぎ! 自分が管理できる人数を超えてるんですよ。だって学校でひとりの先生が担任持てる人数って35人くらいなのに、SNSだと何百人と繋がるんでしょう? 3人くらいでちょうどいいんじゃないですか。『地獄のガールフレンド』の人間関係だって3人だけなんですから!

『地獄のガールフレンド』特設サイト
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