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2015/05/26
まきむぅと考える「セクシュアル・マイノリティ―ズ」との付き合い方 LGBTsさんといっしょ。
最近とかく話題の「セクシュアル・マイノリティ」(LGBT)の人たちとの付き合い方について、一緒に考えてみませんか。フランス人女性とフランスの同性婚法で結婚し、現在パリ在住のタレント・牧村朝子(まきむぅ)が、短いストーリー形式で妻「モリガ」との会話をもとにお送りします。
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セクシュアル・マイノリティーズとの付き合い方について、短いストーリー形式で考える連載「LGBTsさんといっしょ。」

私こと「まきむぅ」と、私の妻「モリガ」との会話をもとにお送りします。おしゃべりする気分でいっしょに考えていきましょう。

今回のテーマはこちらです。

仲の良い女友達から、「レズビアンなの」と告白された
Q.私は女性で、仲の良い女友達がいます。もう長い付き合いなのですが、先日「私、実はレズビアンなの」と突然告白されました。これからどう接すればいいのでしょうか?

まきむぅ「なるほど、突然『レズビアンなの』とだけ言われても、お友達が何を求めてそう言ったのかわからないわね。モリガは友達にカミングアウトしたことってある?」

モリガ「うーん。会話の流れで『好きな異性のタイプ? 特にないな~、私は女が好きだから』とかなら言ったことはあるよ。でも、特に『私はレズビアン』っていう意識はないなぁ」

まきむぅ「そうねー。女が好きな女だからといって、「私はレズビアン」って思っているとは限らないのよね。『レズビアン』って言葉は、人間の種類を指す言葉じゃないもの」

別に友達が「レズビアンさん」に変身しちゃったわけじゃない

まきむぅ「『レズビアン』って言葉は、そう名乗らなければ勝手に異性愛者だということにされてしまう社会で、いないことにされないために名乗る言葉なわけ。ということで、まず安心してほしいのは、なにも女を好きな女が“レズビアンさん”っていう異世界の生き物だというわけじゃないってこと。今まで通りに接すればいいってことね。」

モリガ「でも、あえて『レズビアンなの』って言ってきたからには、何か理由があるはずだよね?」

まきむぅ「そうねぇ。カミングアウトをする理由には、大きく分けて3つあるんじゃないかしら。

(1)異性愛者のフリという魔法が解けてしまったの――シンデレラ型
(2)あなたとは住む世界が違うから、もう月に帰ります――かぐや姫型
(3)ありのままの自分で生きるのよ、レリゴー!!――エルサ型

どういうことなのか、ひとつひとつお話していくわね」

女友達からレズビアンだと告白されたら?

(イラスト:小池みき

1.シンデレラ「もう魔法が解けた、異性愛者のフリはできない」


まきむぅ
「相手が親友や頼れる人だからこそできるのが、この『シンデレラ型カミングアウト』ね。つまり『本当の自分を隠し、異性愛者のフリというドレスをまとって生きてきた。でも、もう魔法が解けてしまって――“彼女”を“彼氏”と言い換えたり、男女間の合コンで盛り上がるフリをしたりすることに疲れてしまって――もう社交界には戻れないと考えている』っていう」

モリガ「本当に疲れちゃって相談してきたってことだね」

まきむぅ「うん。要するにシンデレラ型カミングアウトでいう『私、レズビアンなの』っていうのは、『もう異性愛者のフリをし続けられないの』って意味よね。そして、『あなたには本音で話していいよね』? って聞いてるのよ」

モリガ「信頼されてるってことだね!」

まきむぅ「そうね。別に“かわいそうな人”扱いはしなくていいと思うのよ。『彼女がレズビアンだって皆に知らせてあげよう!』って話でもないの、信頼する相手にこそ話したことなんだから。ただ、『私に対しては異性愛者のフリをしなくていいよ』と言ってくれる、そんな友達がいるだけでずいぶん心強いんじゃないかな」

モリガ「知っていてくれる人がいれば、『実は継母にいじめられてるの……』みたいな相談もしやすいしね」

2.かぐや姫「私はこの世界の人間じゃない」

まきむぅ「周囲で結婚ラッシュが続くとありがちなのが、この『かぐや姫型カミングアウト』ね。『そろそろ結婚も考えなよ~』『いい人いないの~?』に疲れて、『もう月に帰る!』ってなっちゃうっていう」

モリガ「つ……月!? ロケットに乗って飛んでっちゃうの!?」

まきむぅ「そうじゃなくて。『私はこの世界(女は男と恋愛結婚して当たり前と思われる世界)の人間じゃない、月世界(レズビアンバーやクラブ)で生きていくしかないんだ……』みたいな。本人が思いつめちゃってるのよね。それで、いきなり音信不通になったり、SNSのLGBTs関係用アカウントだけ残して消したりして、今までの人間関係を全部切り捨てちゃうわけ。『異性愛者とは分かりあえない』って思いこんで」

モリガ「でも、本当に分かりあえないと思うなら、『私はレズビアンだから』なんて言わずに黙って消えちゃうはずじゃない?」

まきむぅ「うん。だから、これを言ってくるってことは、あなたとは友達として離れたくないって意味なのよ。別に住む世界が違うわけじゃないし、変わらず友達だよって返したらいいんじゃないかしら」

3.エルサ「ありのままの姿見せるのよ!!」

まきむぅ「最後の『エルサ型カミングアウト』は、まさにレリゴーの歌詞通り。『誰にも打ち明けず悩んでたけど、もうやめよう。私は自由!』っていう」

モリガ「えっ!? それ、氷の城に閉じこもっちゃうってこと!?」

まきむぅ「そこなのよ。エルサ型の場合、『魔法(同性愛)を秘めた私にみんな敵意を持ってるんだ』っていうすごい警戒心を抱いてることがあるのよね。私も昔、そうだったなぁ。異性愛者は差別的だと決めつけ、やたら女の子にベタベタして“レズキャラ”を演じることで、『同性愛者は身近にいるのよ! みんな理解して!!』ってメッセージを発してた」

モリガ「それからどうしたの?」

まきむぅ「それはそれでありのままじゃなかった、ってことにようやく気づけたの。それをちゃんと指摘してくれた友達がいたおかげでね。

ということで、カミングアウトの背景を3パターンに分けてお話してきました。もちろんこの3つに留まらず、人にはそれぞれの事情があるけれど、どんな場合にも言えるのは『カミングアウトは信頼の証』ってこと。言える相手だと思ったから言ったのよ。その信頼関係を大切に、『あんたはレズビアンだから~』『あんたはノンケだから~』とか特別視しないことが一番大切じゃないかしら、お互いにね」

今回のまとめ

友達に「レズビアンなの」と打ち明ける心理には、大きく分けて3種類ある!

1.シンデレラ型
「私、レズビアンなの(もう異性愛者のフリをすることに疲れちゃって……)」
2.かぐや姫型
「私、レズビアンなの(だからあなたとは住む世界が違うんだと思う)」
3.エルサ型
「私、レズビアンなの(そんなありのままの私を生きるのよ!)」

 

カミングアウトは信頼の証。今までと変わらず接していけばいいだけ!

×(かわいそう、皆にも彼女が同性愛者だって知らせてあげなきゃ)
○「私にはなんでも本音で話してよ。変に言いふらしたりもしないよ」
×(レズビアンだなんて、私とは違う世界の人だったんだ……)
○「そっか。言ってくれてありがとう。今までと何も変わらず、友達だよ」

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