保育士と介護士の「資格統一」に77%が反対 人材確保の政策が、現場の圧迫に繋がる?

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保育士と介護士の「資格統一」に77%が反対 人材確保の政策が、現場の圧迫に繋がる?

保育士と介護士の資格統一に77%が反対

今から10年後の2025年、団塊世代が一斉に、75歳以上の「後期高齢者」になる時代を迎えます。一般的に、後期高齢者は病気になる確率が高まるといわれており、このままでは10年後、医療施設はパンクし、医師や介護士など、福祉関係者が不足する恐れがあるのです。そんな現状を打破しようと、政府が進めているのが「福祉資格の一本化」。厚生労働省に設置されたチームでは、「高齢者介護・保育・障害者向け施設の一体化」や、「介護福祉士・保育士などの資格の一本化」の推進が検討されています。ところが、この制度改正について、保育に従事する女性の多くが「反対」していることが分かりました。

    資格の一本化にほとんどの保育士が反対

保育関連の人材紹介サービスを手がけるウェルクス(本社・東京)が今年4~5月、自社が運営するサイトの読者を対象に「福祉資格の一本化に賛成か反対か」尋ねたところ(参照データ)、77%が「反対」と答えました。「賛成」は13%、「どちらとも言えない」は10%でした。回答者の職業は「保育士」が72%、「幼稚園教諭」が10%、で、両者を合わせて8割以上。次いで、「その他保育教育関連」(2%)、「学生」(3%)、「主婦」(8%)、「その他」(5%)となっています。回答数は100人で、平均年齢は34.0歳でした。男女割合は、女性が96%です。ほとんどの保育士、幼稚園教諭が、「介護福祉士と保育士の資格の一本化」に反対している。その理由は一体、なんでしょうか。自由回答をみると、現場の切実な声が伝わってきます。

    資格が一本化されると、試験は難しくなるの?

まずは、「現場のことを考えていない。自分たちが見学及び働いてみて、現場の現状や違いを自分の目で確かめてほしい」(30代女性)、「排泄、食事、日常生活全般のサポートをすることはどちらの資格も同じですが、排泄ひとつでも子どもと高齢者とでは重要性は異なります。幼稚園教諭、保育士、介護福祉士の資格を持っていますが、統一は反対」(20代女性)など、「現場のことをわかっていない政府が、資格の一本化を進めるのは反対」という、不安の声。

さらに、「子どもと老人では対応が全く異なると思います」という人からは、「それによって学ぶべき内容が変わり、統一資格にしてしまうと膨大な知識が必要となり、資格を取りたくても時間がかかってしまう、お金もかかってしまう、勉強を短期で済まそうとして知識不足のまま資格を取れてしまうなど様々な問題が多いと思います」(20代女性)との意見も。確かに、統一資格ができた場合、試験の難易度は当然、難しくなる可能性が高いですから、かえって人材不足になることも考えられます。

    そもそも、福祉現場の賃金が低すぎることが問題!

また、「医療の進歩とともに、障がい児も増えている。保育や介護どちらかだけの分野では補うことができないことを感じているが、行政の求めることが増えれば、携わりたいと思っている人にとって、狭き門になってしまう。一方で、広げてしまえば間違えた接し方をしてしまう……。そんな厳しく難しく、求められるものが多い割に、この分野の地位や名誉、給料が低過ぎる。そこを一緒に上げていくべきだ」(40代女性)と、命を支える責任の重さとは裏腹に、賃金が低すぎると指摘する声もありました。確かに、福祉現場の待遇改善は喫緊の課題です。資格の一本化で、万が一、資格取得が難しくなった場合、試験は難しい、さらに賃金は低いとなれば、「ケアを担いたい」人は減るでしょう。

個人的には、厚労省が同じく進めている、「高齢者介護・保育・障害者向け施設の一体化」の方が、まだ可能性があると考えます。これはおそらく、富山県にある有名な福祉施設「このゆびとーまれ」を参考にしたものでしょう。「このゆびとーまれ」では、お年寄りから赤ちゃん、子どもや障害を持った人々が、一緒に時間を過ごしています。こうした施設は、特に「過疎地域」で有効な気がしますが、都市部ではどういう業態になるのか、未知数です。政府の動向を、注意深く見守る必要があるでしょう。

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