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2014/02/11

もし相手の年収が自分よりも少なかったら?

「Bread Winner」という言葉をご存知だろうか。パンを勝ち取ってくる人、つまり一家の大黒柱、という意味だ。今やアメリカでは、18歳以下の子どもがいる家庭のなんと40%が女性の「Bread Winner」、つまり妻のほうが高収入なのだという(2013年5月『NY TIMES』より)。

しかし、収入格差は家庭内のパワーバランスに直結することも多い。もし自分が出世して、夫の給料を上回ったら? そもそも自分より年収の少ない男性と結婚したら? 実際に夫より高収入な女性たちに、家庭円満のために気をつけているポイントを取材した。

6歳下自営業の夫を持つKさんの場合 : 「熱心に働いていること」を評価する

Kさん(理系専門職)の夫は6つ年下で自営業、年収差は約2倍。将来を迷ったこともあったが、彼は過去の恋人たちに否定され続けてきたKさんの個性を、心から認めてくれた唯一の存在だと感じ、結婚を決めた。しかし結婚後、家賃の高い都心には住めなくなり、遠距離通勤を余儀なくされたうえ、家事も子育ても自分が多めに負担している事実に納得がいかなくなると、「もっと稼ぐ夫だったら」「せめて会社員だったら」などと不満に思ってしまう瞬間は今もあるそうだ。

それでも、「お金で責めるのは絶対禁句」とは十分自覚しているし、「彼はまだ若いし、とても熱心に働いている」と思うと責める気にはなれないという。むしろ自分よりも長時間働いており、「もっと収入が上がってもいい仕事だと思う!」と、夫の味方になった発言をしていた。

出世して公務員の夫より稼ぐAさんの場合 : 夫を立てながら、こっそりやりくりする

自身が出世して夫(公務員)の収入を上回るようになったというAさん(出版社勤務)。彼女の趣味は買い物だが、夫の前での散財には少し気が引けるようになり、最近は日用品以外、一緒に買い物に行かないようにしているという。子どもの洋服も、高いものは彼女がこっそり買うこともある。生活費は以前と変わらずお互いに出すが、子どもの学費の積み立てや、家を建てるときに足しにするつもりの貯金も内緒でしているという。夫を立てながらこっそりやりくりする、これこそ“できた嫁”!?

契約社員の夫を持つTさんの場合 : 普段はどんぶり勘定、大きな出費は妻が負担

契約社員の夫を持つTさん(大手企業勤務)。年収は夫の3倍近く、マンションも彼女名義で買ったが、その他はすべて“どんぶり勘定”だそうだ。互いにお金に細かくない性格で、食料品等は「買えるほうが買う」、家事も「やれるほうがやる」というルール。子どもがいないため、「男どうしの気楽な共同生活みたいな感じ」とのことだった。

実はTさん夫婦には、夫が突然仕事を辞めて無職だった時期があった。さすがに喧嘩になったが、意外にもこれが幸せな半年間だったそうで、彼女の考え方はより柔軟になったという。超激務な彼女にとって、帰宅すればご飯もお風呂もあって、洗濯も終わっていて……という生活はものすごく楽で、夫も穏やかで優しかった。「嫁が欲しい男の気持ちがわかった(笑)」と言い、このまま専業主夫でもいいな、とまで思ったそうだ。

どの女性も、「私のほうが大黒柱だから」といった強気な姿勢ではないのが印象的。「“奥さん”として家にいられない私を選んでくれた夫に感謝している」といった意見もあった。多忙が極まると、「(専業妻の友人たちと違い)自分は絶対に仕事を辞められない」と辛くなることはある、とのことだったが、共に外で働く以上、「お互いの苦労を理解し、支え合う意識」がより必要な時代になってきているように思う。どんな家庭にも多少の不満はあるだろうが、何よりも「相手が側にいてくれることのありがたみ」に気づけていることこそが、収入差に関わらず夫婦円満でいられる秘訣ではないかと感じた。

外山ゆひら