タグ
2015/04/28

毎年4月は性的暴行防止月間(Sexual Assault Awareness Month)。1970年代にアメリカのフィラデルフィアで始まった社会運動ですが、今では各国で様々なキャンペーンが展開されています。そのうちのひとつ、「真っ赤な口紅を塗って」(Red My Lips)キャンペーンは、性暴力被害者叩きを世に訴える目的で始まり、日本を含む世界約90か国の賛同者たちから支持されています。「戦士」と呼ばれる彼らは、赤い口紅を塗ったセルフィー(自分撮り)をソーシャルメディア上にアップし、被害者たちが「レイプされたのは自業自得」と非難され、その結果泣き寝入りしてしまう現状に異議を唱えています。

真っ赤な口紅で性暴力被害者をサポート

「私の着ているものは“OK”というサインじゃない」/Instagramより

レイプ被害に遭った女性が屈辱をバネに運動を開始

このキャンペーンは4年前の今日、2011年4月28日の夜に、発起人のダニエルさんという女性が友だちと外出した際、幼馴染の男性に連れ出されてレイプされ、続いて同居人にレイプされたことが発端となりました。その後、警察や法廷による数々の屈辱的な応対がトラウマになるも、最終的にこの事件は告訴されませんでした。

女性地方検事から言い渡された理由は、「陪審員はお酒を飲むような女が嫌いなのよ」。この時彼女は、社会体制が被害者を貶めているのではなく、人々の偏見がそうさせているのだと悟ります。更にショックだったのは、家族や友人まで「ただの被害妄想ではないか」、「本人にも隙があったから、相手がその気になってしまったのでは?」と、あたかもダニエルさんに非があったかのように言いだしたことでした。中には事件の話を聞くことすら拒否する人も。

奇しくも同じ頃、カナダの警察官が「被害に遭いたくなければスラット(売女という意味のスラング)のような格好をすべきではない」と発言したことに抗議した、「スラットウォーク」と呼ばれる女性差別運動が世界中に広まっているところでした。性的暴行にまつわる偏見や被害者への口封じが、ソーシャルワーカーとして、社会運動家として、「戦士」であるダニエルさんの中で強烈な怒りとなって爆発し、翌年「真っ赤な口紅を塗って」運動を立ち上げるに至ったのです。

真っ赤な口紅で性暴力被害者をサポート

Instagramより

性的暴行の問題は、被害者の服装や言動にあるのではない

そもそもなぜ真っ赤な口紅なのか?

性的暴行に対する最大の誤認は、被害者の性的魅力によって起こったのだ、というもの。これによって被害者の外見―何を着ていたか、どんなメイクをしていたか、更には加害者の気を引こうとしていなかったか等、被害者へ問題の矛先が向きがちです。ダニエルさんはこの誤認に対抗するために、あえて「誘っている」と誤解されやすい真っ赤な口紅を「武器」とすることに決めました。

もう一つの理由は、被害者が羞恥心から被害を語ることをはばかり、独りで抱え込んで泣き寝入りしまうこと。赤い口紅なら入手しやすく、とにかく目立つので、多くの賛同者たちが塗っていれば人の目につき、被害者の声も届くのではないかと考えたからです。Red My Lipsのソーシャルメディア上でも「私は真っ赤な口紅を塗っている。何故ならー」と書き、性暴力反対の姿勢を声高に示すよう促しています。

真っ赤な口紅で性暴力被害者をサポート

Instagramより

被害者叩きでよく使われるフレーズが「自業自得」。「なんでそんなところに行ったの?」、「そうなることを予想できなかったの?」、「隙があったんじゃない?」などと被害者の非をほのめかすことは、意図の有無に関わらず被害者を追い詰めることとなり、第二のトラウマ、いわゆるセカンドレイプを引き起こしてしまうのです。性的暴行の問題は、服装や言動にあるのではなく、相手の体と尊厳を暴力で奪うこと。真っ赤な口紅は、問題の本質に目を向けさせ、断固として性的暴行に反対し、被害者をサポートするという意思表明なのです。

(ボーグイクコ/From Littl’e’ Things.)

この記事を読んだ人は答えてね!
人が回答しています