パリコレのファッションショーといえば、私たちと同じ人間とは思えないような細い体形のモデルが登場している風景を思い浮かべるだろう。ところが、そのパリで「ぽっちゃり体型」のモデルが集結し、ぽっちゃり体型の女性向けのファッションショーが行われて話題になっているのだ。

ぽっちゃり体型になることは欠陥品だと言われている気がした

そもそも、どうしてこのファッションショー「Pulp Fashion Week」が行われることになったのか? その背景には、主催者であるブランシュさんが個人の体験をもとに行動を起こしたことに始まる。

「私は出産を経験したことで体重が増えた後、洋服を買いに行っても、自分に似合うものがないことに気づいたんです。サイズの大きな服は全て古めかしいデザインばかり、まるでぽっちゃり体型になることは欠陥品だと言われている気すらしてしまいました。ぽっちゃりサイズだって、存在する意義はあるのに!」

この思いをもとに動き始めた彼女を支えてくれたのは母親だった。実は彼女の母親は、パリ・ファッション界で働くファッションデザイナーのひとりだったのだ。こうした環境もあって、幼い頃からファッションの世界に慣れ親しんだブランシュさんは、ぽっちゃり体型の女性のためのファッション・イベント「Pulp Fashion Week」を開催するに至ったのだった。

大きめサイズの女性が多いのに、実際は小さめの服の選択肢のほうが多い

2013年10月、服のサイズが40号から56号まで(40号は日本の13号にあたる)のぽっちゃり体型の女性モデルを集めた最初のファッションショーを実現。

実際、フランス衣服組合によると「フランスでは1970年代に一番多くの女性に着られていた服のサイズは38号、ところが現代では40号が最も一般的なサイズ」であることが発表されている。また、注目したいのはフランス人女性の42%以上が42号以上のサイズであるということだ。

それなのにフランスのファッション業界は、この事実にそぐわないビジネスを展開している事実が以下の調査からもわかる。

フランス服飾・テキスタイル研究所によると「34号サイズの女性たち(0.7%存在する)が市場で選べる洋服の割合は13.7%、46号サイズの女性たちが選べる服の割合は0.6%」。

つまり、市場には大きめサイズの女性が多く存在するにも関わらず、実際には小さめサイズの女性の方が洋服を買う時の選択肢が多いということなのだ。

実際、洋服ブランド側はこの状況を分かっていつつも、イメージや生産費が高くつくことを理由に、市場の需要の現実に対応していない現状もあるという。

本当の自分のサイズに合った洋服を楽しめること

こうした現状をふまえて開催される「Pulp Fashion Week」は今年で3回目。ブランシュさんの意見に賛同、協力するブランドも今では20以上と徐々に増えつつある。

「フランスで需要はあるのにまだ存在しない『ぽっちゃり女性用のサイズ』のファッションを創りたいと思っています。とはいえ、特別『ぽっちゃりサイズ』を押し出そうというのではなく、本当の自分のサイズに合った洋服を楽しめる、ということが一番のテーマなのです」

こう語る彼女の活動は、昨今フランスで話題になっている「痩せ過ぎファッションモデルが法律上禁止」ということにも関連してくる。細い体型が、美しいファッションなのではなく、全ての「リアルな女性」に合った、それぞれのファッションが存在すべきだ、ということに、誰もが気づき始めているということだろう。

「Pulp Fashion Week」で姿を見せた、ぽっちゃり系女性たちの姿は、生き生きとした生命力に溢れ、なによりもセクシーに見えるのがとても印象的だ。

参考記事:20minutes

中村綾花

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