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2015/04/23
母の日にお母さんの名前を呼ぼう運動

YouTubeより

母親になったことを機に「○○ちゃんママ」となり、自分の名前を呼ばれなくなった……そんな女性はきっと、少なくないのではないでしょうか。

最近では同じ学校に通う子どもの母親同士で交換される「ママ名刺」も話題になり、また「ママブロガー」で検索すればおびただしい数のブログがヒットします。「○○ちゃんママ」であることに自分を見出すのは決して悪いことではありませんが、一方で、自分の名前がなくなってしまったような寂しさを感じている人もいるかもしれません。

そんな中、“母親の名前を取り戻そう”とのキャンペーンが始まりました。

「母の日に、お母さんの名前を呼ぼう」

仕掛け人となったのは、女性の地位向上に取り組む国連機関であるUNウィメンです。「#MyMothersNameIs」と名付けられたこのキャンペーンは、母の日に母親の名前を呼ぼうというもので、主にツイッターやフェイスブックなどのSNS上で流行しています。

حملة تطلقها هيئة الامم المتحدة في المنطقة العربية تقديرا لدور كل أم بمناسبة عيد الام في العالم العربي. ندعوكم لتشاركونا …

Posted by ‎(UN Women) هيئة الأمم المتحدة للمرأة‎ on 2015年3月23日

 

母親の名前を書いたボードとともに、誇らしげに、また少し恥ずかしそうに写真にうつる人々。こうした投稿は中東からのものが多いようですが、それには理由がありました。

産むことは、名前を失うこと――男性に母親の名前を聞いた結果

母の日にお母さんの名前を呼ぼう運動

エジプトをはじめとした中東諸国には、「子どもを持った女性は『母親』となるのであり、
個人の名前で呼ばれるべきではない」という価値観があります。そのため出産後の女性は“名前のない存在”になってしまい、母親の名前をある種の恥ずかしいものとしてとらえる人も少なくない、という状況なのです。

UNウィメンの公式ビデオによれば、中東の男性たちに「あなたの母親の名前は?」と聞いた結果、このような反応が返ってきています。

「ふふふふふ……(10秒以上笑い続ける)」
「なんだって?(頭をかきながら)本当に言わなきゃいけない?」
「(厳しい顔で)母の名なんか言えない。父の名はいい、でも母の名を言うなんて……ありえない」

(UNウィメン公式YouTube動画より、筆者抄訳)

こういった背景もあって、このキャンペーンは中東を中心に展開されたのです。公式動画には「西欧の価値観の押し付けだ」との批判もみられますが、UNウィメンの担当者はこう語っています。

「女性の名前が恥ずかしいもののように扱われることはあってはならない」

女が“名前のない存在”になるのは中東だけではない

日本でもかつて、女性の名前が家系図に書かれなかったことがありました。現代でも結婚や出産を機に、まるで自分の名前に「○○ちゃんママ」「○○さんの奥さん」「○○家の嫁」と上書きされたような感覚になっている人もいるでしょう。

ですが人には、ひとりひとり名前があります。自分の名を思い出し、人の名を尊重する。そんなシンプルなことから、よりよい関係性が生まれることもあるかもしれませんね。

牧村朝子