オフィスドレスブランド「ケイミー」女社長の挑戦

クライアントの元に行くときの服装は、モノトーンのスーツかジャケットに白か水色のシャツ。女性らしさを強調するような服装は、異性からも同性からも信頼を損ねてしまう――。そんな「思い込み」はどこから来たの?

「女性らしい華やかさを服装に取り入れることで、もっと人は話を聞いてくれるようになる。そんな思いからブランドを立ち上げました」

そう話すのは、働く女性のためのオフィスドレスブランド「kay me(ケイミー)」を運営するマオジェンワークス株式会社の毛見純子社長。ケイミーで販売するアイテムは、華やかな柄のワンピースでありながら「手洗いができてアイロン不要」「動きやすいジャージー素材」など、働く女性にとってうれしい特徴を兼ね備えている。毛見社長に、ブランドにかける思いを伺った。

キャリアを重ねた女性が「無難なスーツ」ではつまらない

――大学卒業後、ベネッセコーポレーションなどを経てコンサルタントとしてマオジェンワークスを立ち上げていらっしゃいます。ケイミー事業を始められたのは2011年7月から。立ち上げのきっかけを教えてください。

毛見純子社長(以下、毛見:ベネッセ時代は営業やマーケティングを担当し、退社後はコンサルタントとしてクライアントと接してきました。自分がある程度キャリアを積んだ段階で、改めて女性のビジネス服について考えたときに、「華やかさが自信や余裕の表れにつながるのでは?」と思ったのです。たとえば、大学卒業後の20代前半だと「自分を社会人に見せるための装いとして」、リクルートスーツに身を包んで働く人が多いと思います。でも、その先は? 今は昔より年齢を重ねてからも働き続ける女性が増えて、責任のある立場に立つ女性も増え始めました。自分自身をマネジメントしなければいけない立場になったときに、モノトーンのスーツばかりではつまらないと感じました。

――クライアント先に出向くことが多い仕事だと、「華やかさ」を封印したり、「女性らしさ」は二の次と考える女性は多いように感じます。

毛見:そうですね。でも、周囲の男性に話を聞いてみると「華やかな格好で来てくれるほうがうれしいし、余裕があるように見える」という意見が多かったのです。「華やかなほうがいいけれど、そんなことを言うとセクハラになるから言えない」とおっしゃる男性もいました。意外に気にしているのは女性自身なのかもしれない、というのは男性と女性両方にヒアリングしてみての感想です。「仕事服だから」と割り切って考えている女性も多いし、男性の反発を受けたくないと思っていたり、同性間で目立ってしまうことで、無駄な労力を使うかもと思っていたり。「女性らしさを出す=特権を使っていると思われる」というような、先回りしたガードの気持ちがあるのではないかと思います。無難な服装にすることで自分を守っているというか。

「SATC」人気に見る、日本女性の潜在的な欲求

――欧米のドラマだと、キャリアを積んだ女性たちはきれいな装いで仕事していることも多いです。胸元が大きくあいた服装でオフィスにいたりして「あれってアリなの?」って思ったり(笑)。

毛見:「SEX and the CITY」は日本の女性にもすごく人気です。なぜ人気があるのかなって考えてみたら、すごく自己開放的ですよね。それぞれの個性を洋服で表現しているところがある。弁護士のミランダが、キャリアを積むに従って服装が華やかになる感じとか。日本の女性が「SATC」の世界に憧れるのは、潜在的にふつふつと、ああいう自分の表現方法を求めているところがあるのかな、とも思います。

――第一のターゲットは、どんな職業の女性たちですか?

毛見:営業職、コンサル業、会計士や弁護士、経営者、セミナーや講演を行う講師業など、仕事上で「ちゃんとして見せないといけない」という女性たちには、ぜひ知ってほしいと思っています。堅い話を堅苦しい服装で話すと相手にも構えられてしまうけれど、服装に華やかさを取り入れることで話を聞いてもらいやすくなるということがある。「硬」と「軟」をうまく取り入れるのが女性の仕事のうまいやり方ではないかと思います。

【後編につづく】オフィスで「ジャージーワンピ」が流行る! オフィスブランド「ケイミー」の挑戦

●毛見純子(けみ・じゅんこ)
早稲田大学卒業後、ベネッセコーポレーションで営業・マーケティングを担当。その後、コンサルタントとして数社を経て、2008年1月にマオジェンワークス株式会社を設立し代表取締役に就任。IT情報通信、金融、エネルギー、製造などの業界で法人営業と新規事業開発支援のコンサルティング事業を開始。2011年3月11日の東日本大震災をクライアント先で経験したことなどから働き方を改めて考え、同年7月からケイミー事業を開始。9月にオンラインショップをオープンし、その後銀座に本店を出店するなど事業を拡大し続けている。銀座店は2月2日にリニューアルオープンしたばかり。kay meブランドサイト

小川 たまか/プレスラボ