鍼灸師が語る「若々しさを保つ方法」

>>【前編はこちら】アゴの吹き出物は子宮トラブルのサイン 鍼灸師に聞く、顔で体の不調がわかる「顔望診」のすすめ

肌は内臓を映し出す鏡

――最近、肌がカサカサしたり、くすんでいるような気がするのですが、30歳を超えると、日々お肌の調子が変わっていき、老化か不調かよくわかりません。

辻内:肌が乾燥しているのは、お肌の栄養不足です。原因は2つあり、1つは血を作る栄養が足りていないこと。つまり、食生活の不摂生です。血を作るための栄養分をしっかりと取ってください。

それから、もう1つの理由は体の中の水分調節がうまくいかないこと。体が疲れたり、冷えたりしてると、ダメージを受けやすくなるので、体を温めて食事も温かいものを食べたり、飲んだりすることを心がけて下さい。顔がくすむ場合、黒っぽくくすんでいる時は冷えや疲労、塩分の取りすぎ。黄色っぽくくすんでいる場合は、不規則な食事、猫背などの胃を圧迫する不自然な姿勢が原因で、消化吸収能力が低下していることが考えられます。

東洋医学では、「肌は内臓を映す鏡」と言われています。25歳がお肌の曲がり角と言われ、28歳から35歳というのは、乱れた生活習慣を続けていると、だんだんと肌の回復や体の元気の回復が追いつかなくなっていき、本来持っている元気よりもパワーダウンして、少しずつ老けて見えてきてしまうんですね。とくに、30代半ばからは女性の肌に大きな影響を与える女性ホルモンのひとつ・エストロゲンが卵巣機能が低下していくにつれて減少してしまいます。

また、老化といちばん関係が深い臓は、血液から余分な老廃物を排出する腎臓や生殖器が仲間の「腎」と言われ、若々しさを維持する生命エネルギーのもととなる物質の「精」を蓄えています。そんな腎を健康に保つには、体を冷えから守り、食生活を正しくして、胃腸への負担を軽くして、栄養に富んだ血を全身にめぐらせることです。老化の原因は加齢だけではなく、夜更かしやタバコ、無理なダイエット、過剰なアルコール飲酒、食事内容などの生活習慣が老化に影響するので、気をつけてくださいね。

職場で休憩代わりに気軽にできるのが足踏み

――髪のトラブルでは何か注意することはありますか?

辻内:「髪の毛は血の余り」と言われ、血で作られています。髪には肉、魚、卵や大豆製品などのタンパク質、亜鉛やビタミンB群など、肉や魚介類、豆類、海草類などバランスのとれた食事が何よりも大切です。とくに30代の方に多いんですが、仕事が忙しいと、どうしても食べ物を適当に食べてしまいがちです。

しかも、甘いものや油っぽいものをどんどん食べてしまう。そうすると、脂質の分解力が落ちてきて、おでこから地肌にかけて、すごく脂っぽくなり、頭皮が不衛生になったり、ふけになったり、脂漏性の皮膚炎がおきやすくなります。また、加齢に伴いホルモンバランスも乱れて、結果的に髪の毛が抜けやすくなっていきます。

自分の体を作っているのは食事です。無理なダイエットや食生活の不規則、睡眠不足を避け、2か月、3か月後、今食べているものが血となり、肉となっていくんだと考えて行動して欲しいですね。

――ほかにも、何か気をつけた方がいいことはありますか?

辻内:パソコンを使っていて、目がしょぼしょぼするなぁ、目が乾く、目から涙がボロボロこぼれちゃう。そういう人は肩が凝ったり、息が詰まってしまったり、血圧が上がって、顔だけがカーッと赤くなって、のぼせてしまうのに足元は冷たいことが多くみられます。

本当は50分ぐらいパソコンに向かったら、10分ぐらいはお手洗いへ行ったり、お茶を飲んだり、それぐらいの休憩時間があればいいんですけれど、職場で「あいつ、いっつも居ないな」と言われたら困っちゃいますからね(笑)。そんな時、気軽にできるのが足踏みです。頭にのぼってしまった血を上手に下の方へ下げていくイメージを持っていただきながら、足の指先全部をぐーっと広げて動かしてください。そうすると、足元が温かくなりますよ。

――最後に顔望診に興味を持った方にメッセージをお願いします。

辻内:みなさん、朝起きて顔を洗う時やお化粧をする時に鏡で自分の顔を見ますよね。その時に1分でも、30秒でもいいので、肌の色や毛穴の開き、しみやくすみ、吹き出物、髪の毛に枝毛がないかなど、顔にトラブルがないかチェックしてみて下さい。

毎日見ていると、ちょっとした変化がわかってくるようになります。いきなり内臓に痛みが出るのは、よっぽど具合が悪い時です。多くの場合、日常の積み重ねが病気を招き、、病気の前の不調を呼び起こすので、そうなる前に毎日鏡で自分の顔を確認して、何か変だなということを感じてあげて下さいね。

●辻内敬子(つじうち・けいこ) 「せりえ鍼灸室・広尾」院長。鍼師、灸師、按摩マッサージ師。女性のストレスケア、不調の改善、産後ケア、ベビーケアなどを行なう。心と体を切り離さない、1人ひとりに合った施術が評判を呼び、日々多くの女性が訪れる。著書に『東洋医学で自然治癒力を高める 0ヶ月からのベビーマッサージ&つぼ療法』(技術評論社)、『出産教室準備教室東洋医学を取り入れた妊婦さんの体作りセルフケア』(医歯薬出版)、監修者に『お灸のすすめ』(池田書店)などがある。全日本鍼灸学会、日本東洋医学会、日本母性衛生学会所属。女性鍼灸フォーラム代表。「せりえ鍼灸室」で検索。

上浦未来