官能小説サイト編集者が語る女性を満足させる条件

女性向けの官能小説サイトとして2013年2月にオープンした「fleur(フルール)」。無料でウェブ小説を読めるこのサイト、オープンから半年で月間100万PVを達成するほどの人気だといいます。小説のタイプは、“男女の濃密な恋愛が読みたい”人向けの「ルージュライン」と、“痺れるような男同士の恋愛が読みたい”人向け「ブルーライン」の2つ。9月からは文庫版を創刊し、これも好調なのだとか。

女性向けの官能小説サイト「fleur(フルール)」より

女性向けの官能小説サイト「fleur(フルール)」より

コンセプトは「女性による女性のための官能小説」で、5人いる編集者は全員女性。女性が作るエロだからこそ、女性に受け入れられるのかもしれません。フルール編集部の小沼奈穂さんに、編集部の様子や「女性がグッとくるエロ」とは何か聞いてみました。

女性にも「エロス」の力が必要

―「フルール」が始まったきっかけは……?

小沼奈穂さん(以下、小沼):「男性向けのアダルトコンテンツはたくさんありますが、女性向けは圧倒的に少なく、どことなくタブー視されてきました。そこでフルールは、女性の手で女性が気持ちいいものを作りたいという思いから始まりました。

とはいえ、声高に『女性にもエロスを!』とアピールするのも違うので、あくまでも自然体に。『ここにいろいろ用意しているのでお好きなものをどうぞ』というスタンスでやっていますね」

女性だけの編集部は“独自ルール”が

―現在、フルール編集部は女性5人だそうですが、女性だけというメリットはどんなところですか?

小沼:「編集会議では女子校みたいに盛り上がることもあります(笑)。『女子会ではエグい話題が多い』って言われたりしますが、それでも女子会って彼氏とのセックスの話が多いですよね。自分の願望とか妄想とか、萌えポイントについて話すことは少ないです。でも、編集会議で話してみて、女子でも自分の妄想を語りたい気持ちってあるんだなと分かりました」

―とても楽しそうな編集会議ですね(笑)。

小沼:「先日、どの体位がもっともエロいのかという話で白熱し、ハッと気付くとフロアはシーンとしていて私たちの声が丸聞こえ。皆さんに悪いことをしてしまいました。ちなみにそのときに至った結論は『体位はバリエーション』。体位によって2人の心の距離感や関係性も表わすことができるよねってことで、ひとつには絞れませんでした(笑)」

女性のセックスは「欲張り」?

―日々熱いエロストークを繰り広げているようですが、フルール編集部としては男女のエロスの違いは何だと思いますか?

小沼:「女性は男性と違って“出して終わり”じゃないから満足を得るには、やはり愛が必要なんだと思います。肉体の繋がりだけだと女性は物足りない。女性にとって最高のセックスは、まず、ときめく相手とするものであり、その人から愛される喜びで心が満たされて、さらに肉体的な快感で体も満足するという、この3つが揃った瞬間です。こう考えると、女性って欲張りですよね(笑)」

女性が「グッ」と来る官能小説は、「お料理のフルコース」?

―では、女性がエロさを感じる官能小説にはどんな特徴があるのでしょうか?

小沼:「ただエロいシーンが続けばいいというわけでなく、心の交流を大切にして心から惹かれる物語を目指しています。魅力的なキャラクターがいて、一筋縄ではいかずハラハラドキドキして、……そしてセックスに至る。例えるなら、お料理のフルコースのような感覚でしょうか。」

―どんなキャラクターが人気なのでしょうか?

小沼:「どのタイプも人気ですが、特に俺様系のSキャラと、手ほどきしてくれる年上のキャラクターは支持を集めます。俺様系といっても、愛のあるSキャラであることが前提。2つのキャラクターに共通するのは、『自分にどれだけ情熱を示してくれるか』だと思います」

予想以上の反響 イベント『官能女子会』に集まる女たち

―『官能女子会』というイベントも行われているそうですね。

小沼:イベントをやってみて感じたのが、女性は仲間を見つけて情報を共有したいと思っていたこと。公にしづらいことですが、どういうものを読んだらいいのかとか、エロスとの上手な距離のとり方とか、話してみたいことは多いんだと思います」

―読者の方から、「こうして欲しい」という要望は出たりしますか?

小沼:「『小説をコミック化してほしい』という声が多いかと思っていましたが、それよりも多かったのが『セリフを声優さんの声で聞きたい』というものでした。『官能女子会』でも、小説をフルール創刊イメージキャラクターで、人気AV男優の一徹さんに朗読してもらったところ、すごく反響が良かったです。女性は耳からの刺激に敏感なのかもしれませんね。あと、1通だけですが『男×女』『男×男』があるのだから『女×女』いわゆる百合ものが読みたいという声もありました。今後もいろいろな声を取り入れつつ、読者の方が喜ぶものを提供していきたいと思います」

これまであまり表に出てこなかった「女性のエロス」ですが、恋愛トークのように女同士で語り合うとすごく盛り上がるコンテンツなのかもしれません。2月にもイベントが企画されているようなので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

●フルール編集部 小沼奈穂
登録不要&閲覧無料のウェブ小説マガジン。女性による女性のためのエロティックな恋愛小説を毎週金曜日に更新中。「フルール」ウェブサイト

田中 結/プレスラボ