ジェーン・スーが語る諦めて楽なる生き方

『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)などが大ヒットし、多くの女子から支持を集めるコラムニストのジェーン・スーさん。

このたび、彼女がパーソナリティを務めるTBSラジオ番組『相談は躍る』が書籍化された。同書は、番組に寄せられたお悩み、たとえば「不倫をしています。彼のことが頭から離れません」、「好きなことを仕事にするのは、あきらめたほうがいいですか?」などの深刻な相談から、「ゼリーの汁をこぼさずに開けるコツを教えてください」など、思わずクスっとしてしまう質問までを網羅。

今回ウートピでは、そんなジェーンさんに、「現代女性の生きづらさを解消する方法」をインタビュー。前編、後編に分けてお届けします。

    マイナス感情に支配されないためには「ドロドロしきればいい」

――『相談は躍る』の中で、「40代男性との不倫がやめられない」という20代女性の相談に対し、「不倫は、相手の男性が若い女性の時間を奪う行為だ」とお答えになっていたのが印象的でした。

ジェーン・スーさん(以下、ジェーン):家庭があって、奥さんと別れる気はない男性にとって、若い女の子は都合のいい相手じゃないですか。女の子の方も、不倫は「非日常を味わえる」という意味で、同世代男性と一緒にいたら経験できないことを経験できたりする。でも一度そういうものを知ってしまうと、そういうことを提供してくれる人じゃないと、満足できなくなってしまいますよね。

――本書では、不倫中の20代女性に、「相手の男性は嘘をついていると思いますよ」とズバッとおっしゃっていますね。

ジェーン:男女関係なく、人間は都合のいいことしか基本的に話さないと思うんです。でも不倫は特に、両方手放したくないとなると、両方に嘘をつかなくてはいけない。だから相手の男性は、家族にも嘘をついていると思うんです。無茶なものを成立させようとしているわけですから。

嘘をつかない人はいないし、みんな何かしら嘘をついて生きていると思いますけど、それを後から聞いたら傷つきますよね。私の周りにも、奥さんがいるのに「恋人はいる」とか、平気で話す人は多かったんじゃないかなと思います。

――アラサー世代の女性にとっては、恋愛感情が仕事にマイナスの影響を与えたりすることもあると思うのですが、そういうドロドロした感情に支配されない方法はありますか?

ジェーン:ドロドロしきるしかないですね。ドロドロしきると、発酵して、ある日、栓が抜けるようにポンと楽になる日が来る。だから、自分の悔しいとか妬ましいとかいう気持ちをごまかさないこと。

「彼は私に対して『甘えさせてくれる』とか、『理解してくれる』と言って求めてくれていたのに、理解してあげられなかったのは私が子供だったからだわ」と思っても、周りからは、「イヤイヤ君、遊ばれていただけだから」というケースはありますね。そういうふうに、女性の側が自分でも薄々気づいている自分が軽んじられていたという状況に目をつぶってしまうと、いつまでも栓が抜けない。酷いことをされたと打ちのめされて、ドロドロしきって栓が抜けると、自分の執着心が軽減されたりとか、諦めがつくかな。いろんなことに。

    相手に執着してしまうのは、「思い通りになる」と思っているから

――「過去の彼氏のSNSを見てしまう」、「恋人との割り勘問題で悩む」など、他者に執着している女性も多いように感じました。ジェーンさんにも、そういう時期はあったんでしょうか。

ジェーン:もちろん。携帯の前でずっと連絡を待っていたこともありましたよ。どうして私が執着していたかというと、相手が自分の思い通りになるという前提があったからなんですよね。その初期設定が間違っていたんです。世の中、自分の思い通りになることなんかほぼない。私も30代後半になってから気付きました。

視野狭窄(しやきょうさく)だったと思うんですよ。視野が狭くなっているから、「相手には相手の人生がある」ということが分からない。「私はどうしてこんなにつらい目に合うんだろう。どうして思い通りにならないんだろう」。いや、人生デフォルトがそれだから、ということが分かってからは、「なーんだ」という感じになりましたけどね。

――元カレとか不倫に執着するのは、自分の「執着」が出発点だと考えると楽になりますね。

ジェーン
:元カレをストーキングしている自分を嫌だと思わずに、ただ「何だよ、あいつ幸せそうでムカつく!」と思ってればいいんです。そんな自分も自分だと諦めるというか。

恋愛って、依存とか自己投影をしやすいんですよね。「夜中、友達と飲みに行って連絡してくれない」ということが、「私のことを軽んじている」ということと完全に直結しているとしたら、「彼の人生は、あなた中心に動いていないといけないことになるけど、そんなことはないでしょう?」っていう。

    他人が自分に価値を与えてくれると期待しない

――女性の方が、より「メンヘラ」とか「ワガママ」で相手を振り回すタイプになりがちなのはどうしてでしょう。

ジェーン:女性に限らず、世の中には「束縛男」もいっぱいいますし、相手を振り回すタイプに、性差はないと思いますよ。ただ、女性の方が「メンヘラ」という弱者っぽい言葉でくくられがちなのは、男性は、暴力性というと語弊がありますが、体が大きいというだけでも威圧的じゃないですか。女性は比較的、威圧感が少ないから「メンヘラ」という印象になるだけで、男の人の場合、それはモラハラのように、「お前はダメだな」と言ってコントロールすることにつながりやすい。

――女性は弱者であることを通じて相手をコントロールするという……。

ジェーン:「もう死ぬ!」とか言ってね。でも、他者をコントロールしようとすると、9割9分9厘うまくいかないし、自分も不幸せになっちゃう。難しいですけどね。コントロールされてみたりしてみたり、それは表裏一体だと思うんですよ。自分に自信があると、はっきりノーと拒めるようになると思います。

――多くの女性は、自信がないからこそ、恋愛に「承認」を求めてしまうんでしょうか。

ジェーン:「自分に自信がない」と、「自分に価値がない」と思っていることとは、ほぼイコールだと思うんですが、そういう人は他者が価値をつけてくれると思っている。他者に過大な期待をして、自分の期待している「価値の承認」をしてくれないから、グルグルと「メビウスの輪」にはまっちゃう。では、どうやって自分に自信をつけるかというと、他人にあまり期待しないことじゃないかな、と思うようになりました。

>>【後編へ続く】なぜITセレブと合コンする女にイライラするのか? ジェーン・スーが伝授するコンプレックスを楽しむ方法

●ジェーン・スー プロデューサー・作詞家・コラムニスト。ガールズユニット「Tomato n' Pine」の共同プロデュースや作詞など。『相談は踊る』(TBSラジオ)に出演中。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』 (幻冬舎)、最新刊は『ジェーン・スー 相談は踊る』(ポプラ社)。

北条かや